オオカミって一体どんな動物?

オオカミ勉強会第一回

この文章は11/15の自然保護研究会の例会において発表された内容をまとめたものです。

 

あなたは、”オオカミ”と聞いてどんな動物をイメージしますか?

 上の質問に対する答えとして、残酷な動物恐ろしいかっこいいやさしい動物、……いろんなイメージが出てくると思います。否定的なイメージを持っている人、肯定的なイメージを持っている人、そのどちらでもない人、いろんな人がいると思います。あなたはどう思いますか?そして、そう思う根拠は何ですか?

 否定的なイメージは、幼い頃に聞いたり、読んだりしたグリム童話によるのではないでしょうか。”あかずきんちゃん”を筆頭にグリム童話の中ではオオカミは悪者として描かれています。それは、グリム童話が書かれた時代のことを考えるとオオカミが悪者として描かれているのもうなずけます。

 当時のヨーロッパは集落と集落の間には深い森林が広がっていました。そして当時はまだ、現在のように”人間が一番強い”という構造は出来上がっていません。つまり、武器を持っていない人はオオカミなどの肉食獣に食べられてしまう存在だったのです。

 グリム童話以外にも、西洋人はキリスト教を広めるときに多神教を排除するために、オオカミを悪の象徴に仕立て上げました。多神教を信じる人たちの中には、オオカミだけでなく自然の中に神を見出し、崇拝していました。宣教師達が一神教であるキリスト教を広めるためには、多神教が”神”としているものが”神”ではなく”悪”であるとする方が簡単だったのです。

 ところで、現在では、オオカミだけではなく肉食獣によって人が食べられるということはほとんどありません。オオカミに関しては、近年、人が襲われたという記録は残っていません。それどころか、現在までにオオカミは私達が一般に思っているよりもど残酷な動物ではなく、むしろ家族愛の強い動物であることが生物学者によって明らかにされてきました。それでも”オオカミは恐ろしい”と思ってしまうのは、幼い頃に読んだ童話の影響ではないのでしょうか?

 また、オオカミは非常に高度な社会性を持っていて、人はオオカミの群れのシステムをまねしたとも言われています。オオカミの群れのシステムについては、次回詳しく書くのでそちらを参考にしてください。

 ところで、原始時代の人とオオカミの関係はどうだったのでしょうか?なんと、人間はオオカミの食べ残しを食べていたのです。

 オオカミは獲物を捕らえ、満腹になるまで食べた後に獲物が残っていると、仲間にハウリングで知らせます。そのとき、ハウリングを聞いた人間は声のする方へ行き、残り物を頂戴しようとしまた。オオカミの中には当然抵抗するものもいれば、おとなしく渡して去っていくものもいます。その頃は、獲物が豊富にあったので、一つの獲物にこだわる必要はなかったのです。 

 次回は”日本人とオオカミの関係”についてです。

文 C.K

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