オロロン鳥―天売島の空飛ぶペンギン―

  オロロン鳥という鳥を知っていますか。本来の名前はウミガラスといい、その姿はとてもペンギンに似ています。国内では北海道の天売島だけが唯一の営巣地となっています。海鳥の楽園として知られるこの島に、かつては8,000羽ものオロロン鳥がいたといわれています。しかし現在では、その数は激減し、1999現在10羽が確認されたにとどまっています。(←寺沢さんのホームページより)
 それでは、なぜ、このようにオロロン鳥は減ってしまったのでしょう。それにはこの鳥の生態と、人の暮らしとが深く関わっています。この鳥は海に潜ってえさとなる魚を取りますが、その際海中飛翔といって海中を深く潜水します。その時に、人間が漁をする
刺し網に引っかかってしまうのです。この被害は、天売島で漁業が大規模化するようになってから増大しました。また、島にオオセグロカモメが増えるようになったことも減少の一因となりました。なぜならこのかもめの性質は狂暴で、他の鳥の卵や、雛を襲って食べるからです。このかもめは、カラス同様ごみもあさるなど人間の生活に入り込む能力を持っています。また、さらに、天売島では飼い猫が野性化し、海鳥を襲っているという報告もあります。このように、天売島の生態系は、人間の生活の影響により、本来の姿を失いつつあるようです。

 そこで、天売島では、この鳥自体を観光資源とし、オロロン鳥ウォッチングのための遊覧船を運行したり、また動物写真家の寺沢孝毅さんを中心としてオロロン鳥のデコイによる営巣の誘導、かもめの間引きなどに取り組んでいるようです。詳しくは、寺沢さんのホームページを参考されるようお勧めします。(Yahoo!などでオロロン鳥で検索すると行けます。アドレスは http://city.hokkai.or.jp/~teuri

 また、私たち自然保護研究会でも、昨年98年の6月に実際に天売島の実際を見に行ってきました。その際、下調べとして使用したのは以下の通りです。

 実際に行ってみて、遊覧船からケイマフリ(世界的にはこちらの方が数が少なくなっているらしい)を見たり、猫に対しての柵や、捕獲のための仕掛けを見ることができました。また、60万羽はいるといわれるウトウの大帰巣、そしてえさをねらうかもめとの追いかけっこなども見ることもでき、圧巻でした。

 このように、身近な北海道内でも、さまざまな生物、そして生物同士の関わりがあるんだなあということに驚きます。また、そこでその多様な自然を残していくためには何ができるのだろうかと考える際に、自分はここをどうしても守りたい!と思うきっかけとなるよう、いろいろな自然を見に行くことをお勧めします。

 〜はみ出し情報〜

? 今夏、ウトウが大量死しているのが発見された。道はえさを取れなくなったための衰弱死であると発表しているが、寺沢さんはそれを裏付けるための調査は完全ではないとしている。

?ブラリーによる海鳥情報センター「海の 今年6月、寺沢さんの主宰するネイチャーライ宇宙館」が天売島にオープンした。羽幌町にある北海鳥センターとともに、海鳥に関しての海道情報を得るのによいであろう。

? 天売島を訪ねる際の宿は、かつての鰊番屋の建物を使っているユースホステルがお勧め。(私たちもお世話になりました。)

                                                  文責・ Y.S

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