一緒に自然保護について考えてみませんか

〜自然保護なんて…とおっしゃるあなたへ〜

自然保護って何だろう?

「自然保護」、ちゃんとした定義があるのかもしれませんが、私なりの定義は、「自然へのダメージを減らすための努力」です。自然に人の手を加えることへの開発者に対する抗議、保護のための法律制定、自然資源の有効活用・リサイクル、自然への有害物質の排出が少ないモノづくり、自然のしくみに関する研究など、直接・間接的に自然へのダメージを減らすいろんな取り組みが、現在なされています。

そういった意味で、自然保護は、「自然保護団体」に属している人だけでなく、いろんな人が意識し関わっていくものであり、自然保護というものに必要以上に無関心でいる必要はないと思います。

自然を保護する理由

そもそも、なぜ自然を保護するのでしょうか。現在考えられているその理由の例を以下に挙げてみました。

@人間も自然の一部であり、自然生態系の破壊は結局人間自身の存在にも影響するから。
A現在、人間は自然から食料・燃料・医薬品・木材などを得ているから。
B将来、人間に有用なものが自然から得られるかもしれないから。
C自然は、バードウォッチングや登山など、人間のレクリエーションの場だから。
D他の生物にも人間と同様、生きる権利があるから。

@〜Cは、人間中心の考えです。それらに対しDは、人間の利益を度外視して、純粋に自然の尊厳を守ろうという考えです。もしDの考え方を誰もが認めるようになるならば、保護など考えなくても自然は壊れないでしょう。しかし、人間という生き物は(人間に限ったことではないですが)、多かれ少なかれ自分の利益を優先させる生き物であり、@〜Cの理由が意外と大事だったりするのではないでしょうか。

好きという気持ち

以上、自然保護について考えてきましたが、もう1つ自然保護を考える上で大事なことがあると思います。それは、保護する自然を好きだという気持ちだと思います。今までに自然保護のために努力している人々に接して1つ印象に残ったことは、その自然について話す時やその自然に接している時に、彼らが心から楽しそうであることです。私の自然保護はまだまだこれからですが、1つ自信を持って言えるのは「北海道の森が好き」であり、「森の中にいることがとても楽しい」ということです。

月並みな言い方ですが、自然には人間をひきつける何かがあると思います。私自身、以前は自然を求める気持ちがそれほどありませんでしたが、あるきっかけで「ひきつける何か」を感じるようになりました。私の場合そのきっかけは、植物の名前を人から教えてもらい、とりあえずその他の名前も自分で覚えようとしたことでした。その後、森に入ってそこらにある木を目にし、そいつが誰だかわかった時、今までただの木の集まりであった森が、とたんに色づき始め、動きを見せ、言葉を発してきました。

きっかけは人それぞれだと思います。ただ、あなたが自然保護に少しでも興味があったり、考えていかなくてはならない立場であるとしたら、実際の自然について無知でいることはとてももったいないことだと思います。頭で考えてもわからない自然保護の「理由」が、自然を知り自然を好きになることで、自分オリジナルのものとして見えてくるのではないでしょうか。

さあ、あなたも外へ出かけてみませんか。近くの森や川や公園では人の手が入った入ってないに関わらず、いろんな魅力的な自然が待っています。また、自然保護団体の人々がその自然についていろいろ教えてくれる、観察会も開かれていることでしょう。もしかしたらそこに私もいるかもしれません…。

<参考文献> 鷲谷いづみ・矢原徹一 保全生態学入門

T.W. 写真H.I.

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