落語の名人の「名人話」の中に入っていた「芭蕉翁」の逸話

芭蕉翁が永平寺を訪れた折り、若い修行僧達のひとりが、「あれが今話題の
俳句の世界でちょっとは知られた芭蕉という奴だ。」
「ちょっと、問答をぶって言い負かしてやれ」と芭蕉翁にちかずいて、二言三言言葉を交わし
なにやら簡単に、翁に言い負かされてしまった。
その若い僧が「それほど悟りを開いていらっしゃるのに、なぜ正僧になられないのか?」
と問うたところ
「人間は、野蛮人からせいぜい礼儀知らずまで、忘れたもうな涼風を」と
言って、悠然と去っていったというお話。

旅の中、夏に峠をあえぎあえぎ、登った折り、さーっと気持ちの良い涼しい風が
吹いてきて、心身共に、安らいだ、ありがたさを感じた経験。