3.[you're only lonely]

                      12/30 pm5:35

           Zを格納庫に収容し、MSから降りてくるジン。ジンは、ビショットの自爆行為

           に、どうにもやりきれない思いでいっぱいだった。

           格納庫のメカニックマン達は、何故かいつもより忙しそうにしている。

           ビルがジンに声をかけた。

      ビル  「ジン、帰ったのか」

      ジン  「なんか皆忙しそうだな」

      ビル  「それがよ、新人のやつがディスクの解析していたらよ・・・」

           ジンは思い出した。

キタジマがディスクの中にウィルスが入ってる可能性を示唆した事を。

      ジン  「ウィルスか?」

      ビル  「そうなんだよ、親父の言うとおりだったんだ」

      ジン  「・・・・なんでお前らが騒いでんだ」

      ビル  「当り前だろう!もしかしたら、ウィルスの影響でここのMSのデータが全部消

           えてるかもしれないんだぞ!!」

      ジン  「マジ!?それはまずいな・・・」

           ジンがつぶやいているうちに、ビルは他のメカニックマンに指示を出していた。

     ビル  「おい、ザクのコクピットのほうも見ろよ!認識番号まで消えていたら大変だぞ!!」

     メカ1  「はい!!」

     メカ2  「データのほうは何とか復帰できそうです!」

      ビル  「よし、よくやった!!」

           なにやら大変そうなので、ジンは格納庫から出て、ブリッジへ向かった。

                              12/30 pm5:41

           ブリッジに到着したジン。だが、ジンの到着に気づいたものはいない。ウィルス騒ぎはこちらのほうがすごい。あらゆる人間がうごめきあって、なにやら大声を上げている。ジンはキタジマを探すが、見つからない。ジンは、大声を上げて言った。

      ジン  「オッサン!!オッサンはどこだ!!!」

           ジンの声に気づいたのは、リンであった。

      リン  「ジン!オッサンはジュンの部屋にいるわ!!」

      ジン  「分かった!」

                           12/30 pm5:43

               ジンは、休むまもなくジュンの部屋に向かった。

           ジュンの部屋のドアの前に来た。ノックをしながら

      ジン  「おい!オッサン、いるのか!!」

   キタジマ  「い〜ま〜す〜よ〜」

      ジン  「入るぞ!!」

           ジンが勢いよくドアを開けた。

           そこはブリッジや格納庫とは違い、静寂の世界だった。

           奥の部屋で、ジュンがなにやらカタカタとキーボードを打っており、それをキ

           タジマがイスに座って見ている。

     ジュン  「・・・・あと少し・・・・」

           ジュンはジンなどそっちのけで打ちまくっていた。キタジマがジンに声を掛け

           た。

   キタジマ  「よう、お疲れさん」

      ジン  「オッサン、写真は見たかよ」

   キタジマ  「見た見た。よう取ってきたな」

      ジン  「それでよ・・・・」

   キタジマ  「残念だったなあ、生け捕り」

      ジン  「そう、その生け捕りにした奴だけどさ、あれは」

   キタジマ  「自爆だろ?」

      ジン  「な・・・なんで分かるんだ?」

   キタジマ  「普通、見りゃ分かるだろう」

      ジン  「見て分かるものなのか?」

   キタジマ  「よく自爆するって分かったな、お前。とっさにワイヤー切り離してさ」

      ジン  「ま・・・まあな」

           キタジマは、ジュンのパソコンの画面ばかり見ている。ジンの話はあまり関心

           が無いように見える。しばらくして、ジュンの手が止まった。

     ジュン  「はぁ・・・・終わりました・・・」

   キタジマ  「ご苦労さん☆」

     ジュン  「・・・・あ、ジン君」

      ジン  「おう」

   キタジマ  「じゃ、俺はブリッジに戻るから」

     ジュン  「あの・・・僕はどうすれば」

   キタジマ  「うーん・・・じゃあ、この部屋で待機しててくれ。ジンも自分の部屋で待機ね。」

     ジュン  「はい」

      ジン  「分かった」

           キタジマは部屋を出た。

           部屋は、ジンとジュンの2人きりだ。

      ジン  「・・・・さてと、」

     ジュン  「部屋に戻るの?」

      ジン  「どうしようかな・・・」

     ジュン  「あの・・・」

      ジン  「ん、何?」

     ジュン  「任務・・・お疲れさま」

      ジン  「え、ああ」

     ジュン  「・・・・あの爆発は、やっぱり自爆だったんだ」

      ジン  「ああ。正直、ショックだったな。あれは」

     ジュン  「大丈夫?」

      ジン  「大丈夫大丈夫」

     ジュン  「そう・・・・」

      ジン  「・・・・・・・」

           しばらく沈黙が続く。普段ならジンから話しかけるのだが、ジンはそれどころ

           ではなかった。

           ジオン兵の死の覚悟 自分がニュータイプであること

           いままで信じていなかった世界が自分の目の前にあったことが、ジンには衝撃的だった。

           ジンの様子を見て、ジュンが話しかけてきた。

     ジュン  「お茶でも出すよ」

      ジン  「そんなに気ぃ遣わなくていいよ」

     ジュン  「そう・・・」

      ジン  「・・・あのさ、ジュン」

     ジュン  「何?」

      ジン  「お前について何か知りたいな」

     ジュン  「え・・・・」

      ジン  「これから一緒に仕事していく訳だからさ」

     ジュン  「う、うん・・・・」

      ジン  「どうしてここに入隊したの?」

     ジュン  「家庭の事情とかが色々あって・・・・最初は嫌だったんだけど・・・」

      ジン  「家庭の事情か・・・」

     ジュン  「うん・・・・でも、もう慣れちゃったから・・・」

      ジン  「そうか・・・・」

     ジュン  「ジン君はどうして入ったの?」

      ジン  「それがさ・・・・俺も家庭の事情ってやつでね!」

     ジュン  「そ、そうなの・・・」

      ジン  「親が両方ともティターンズに処刑されてさ、その復讐のために入ったんだ。」

     ジュン  「ティターンズに?」

      ジン  「何故だか知らないけど、戦犯扱いされたんだよ。それで」

     ジュン  「な、なんか悪い事聞いちゃったかな」

      ジン  「別にいいよ。てか、結局ティターンズは崩壊しちゃったからな」

     ジュン  「じゃあ、今はなんでここにいるの?」

      ジン  「一度踏み込んだら後戻りできないからな。軍ってのは」

     ジュン  「後戻りできない・・・・」

      ジン  「そんな深刻な事じゃないよ。それにここの連中はのん気だから、気楽に仕事できるし」

           「後戻りできない」その言葉を聞き、ジュンは深刻な顔になっている。

     ジュン  「これからうまくやっていけるかな・・・」

      ジン  「はは、心配ないよ」

     ジュン  「・・・・」

      ジン  「俺がいるから大丈夫だよ!!」

     ジュン  「そ、そうかな」

           ジンの励ましに、ジュンは顔を赤らめている。ジンはさらに話し続ける。

      ジン  「それにお前、顔が可愛いからさ、年上の彼女とかができるかもよ!」

     ジュン  「!? はあ?」

      ジン  「え、そんな、「はあ?」なんて・・・」

           ジュンの思わぬ回答に、ジンは戸惑っている。

      ジン  「あ もしかして・・・彼女がいるとか・・・・」

     ジュン  「え、いや・・・・そうじゃなくって・・・」

      ジン  「でも、モテそうな顔してるからさ・・・・」

     ジュン  「だから、そうじゃないんだ!その・・・・」

      ジン  「その・・・・何?」

     ジュン  「ぼ、僕は・・・・」

           ふとジンは、近くのイスに座ろうと、背もたれに手をかけた。

           すると、背もたれに布の感触が

           その布は、ブラジャーであった。ジンはブラジャーを手に握り締める。

      ジン  「ん、Aカップ・・・・あっ!」

     ジュン  「だ、駄目ぇ!!」

           ジュンは、慌ててジンの手からブラを奪いとった。

           ジンは、やっとジュンの事を理解した。

      ジン  「お、女だったのか・・・・」

           ジュンは顔が真っ赤になっている。

           ジンは大失態を犯したと思い、あわててひざまずく。

      ジン  「わ・・・・悪かった!!本当にゴメン!!俺がバカでした!!申し訳ありませんでした!!!」

           必死に土下座するジン。だが、ジュンはジンの方を向かない。

     ジュン  「そ、そこまでしなくても」

      ジン  「ゴメンサイ・・・」

     ジュン  「いいよ・・・「僕」なんて言ってる僕が、じゃないや、私が悪いから・・・」

           ジンはゆっくり顔を上げた。ジュンはまだ顔を赤らめている。

      ジン  「じゃ、訂正」

     ジュン  「訂正?」

      ジン  「結構可愛いから、年上の彼氏ができるかも!!なんてな・・・・」

     ジュン  「あ、ありがとう・・・」

           部屋の中に、気まずい空気が流れる。

           ジンは一度ジュンの部屋から撤退することにした。

 

                               12/30 pm5:59

               ジンは格納庫にやって来た。ウィルス騒ぎはすでに収まっており、メカニック

           マン達はガンダムしりとりをやっている。

      メカ1  「ぜ・・・・・!」

      メカ2  「た・・・・・タイタニア!」

      メカ3  「あ・・・・・あ、アプサラスV!」

      メカ4  「リ、量産型ガンキャノン!あ、「ン」だ」

      ビル  「バーカ!!お前1ミス!」

      ジン  「またやってんのか・・・」

           呆れて、Zのコクピットにいこうとすると、ビルが呼び止めた。

      ビル  「おう、ジン!お前も入れっ」

      ジン  「嫌だよ!どーせ罰ゲームあんだろ!」

      ビル  「何言ってんだ、当たり前じゃないか!!」

      ジン  「俺はZの整備に来たのっ」

      ビル  「後ですりゃいいだろう ほら、入れ!!」

           強引に手を引っ張られ、メカニックマン達の輪に入れられる。

      ジン  「しかたないなあ」

      ビル  「ルールは分かっているな?」

      ジン  「2ミスで罰ゲーム、答えるのは3秒以内、同じのは駄目、だろっ」

      ビル  「そうだ。じゃあいくぞ!また「リ」から」

      メカ5  「り、量産型ガンダンク(早口)!」

      ジン  「く・・・グフ!」

      ビル  「フ、フライ・マンタ!」

      メカ1  「また「た」・・・・・大気圏突入(超早口)!」

      メカ2  「う・・・・ウェイブライダー突撃!」

      メカ3  「き、キケロガ!」

      メカ4  「ガ・・・・ガブスレイ!」

      メカ5  「イ・・・・ExSガンダム!」

      ジン  「ム・・・・(来た ビルは「ム」で落とせるっ)ムーバルブフレーム!!」

      ビル  「ム・・・・ムサイ!!!」

      ジン  「やっぱり・・・・」

    メカ一同 「ブー!!」

      ビル  「え・・・さっき出たっけ?」

     メカ1  「出たよ、さっき。アッザムのあと」

      ジン  「だいたい「ム」って来たら「ムサイ」って出るからなあ・・・・」

      メカ2  「ジン、よくやった!!」

      メカ3  「やーい、言いだしっぺが負けてやんの」

      ジン  「ビル、お前もう2ミスしたのか プッ(笑)」

      メカ1  「じゃ、全員分の飲み物をおごりな!」

      ジン  「行ってらっしゃ〜い」

      ビル  「く・・・・くっそー!!」

           ビルが財布を持って格納庫から出て行く。

      ジン  「ムサイねえ・・・ム・・・ムラサメ研究所とか」

 

           シリトリが終わり、Zのコクピットの点検(暇で来ただけ)に来たジン。

ジンはジュンのことを考えている。さっきのことをまだ後悔しているのだ。

      ジン  「まいったな、しばらく顔合わせられないかな・・・まだ色々聞きたいことあるの

           になあ」

           頭をかきながら悩んでいる。ジンは、本気でジュンと仲良くなりたいと考えて

ている。しかしジンは、まだジュンのことをほんの少ししか知らない。

           ふとジンは、ある事を思い出した。

      ジン  「そういえば、リンちゃんの事「先輩」って言ってたっけな」

           そこでジンは、ジュンに関する事を知っているかもしれない「先輩」であるリン

に会いに行くことにした。

           時間的に夕飯の時間なので、食堂に行ってみることにした。

 

                              12/30 pm6:30

               食堂に到着したジン。数人のクルーが食事をしているのがちらほらと見える

           リンは、カウンター近くで食事をしている。

           ジンがリンに近づく。リンはそれに気づいて、ジンに向かって叫んだ

      リン  「おごってやらないわよ!」

      ジン  「いや、誰も期待してないって」

      リン  「何よ?」

           ジンは、リンの正面の席に座った。

      ジン  「ジュンについてなんだけど」

      リン  「ジュン?」

      ジン  「あいつがリンちゃんの事「先輩」って言ってたからさ、なんか知ってるか

           な〜て思って」

      リン  「そんなの、本人に聞けばいいじゃん」

      ジン  「色々あってさ、今は無理なんだ」

      リン  「・・・あんた、ジュンに誤解されるようなことしたんじゃないでしょうね?」

      ジン  「い、いや!そんなことは・・・」

      リン  「・・・ジュンが「僕」っていってるから、男だとか思ってたんじゃないでしょう

ね!?」

      ジン  「そ、そんな事はない!!」

           ジンの顔から冷や汗が噴き出している。

      リン  「冷や汗だらけよあんた」

      ジン  「うっ・・・」

      リン  「かわいそうなジュンちゃん・・・ジン、反省してんの!」

      ジン  「シテマス・・・」

      リン  「ジン、ジュンに気があるの?」

      ジン  「あるよ、同い年だしさ」

      リン  「あの子と仲良くしたいでしょ?」

      ジン  「・・・ああ」

      リン  「じゃ、明日にでも話しかければ大丈夫よ」

      ジン  「そんなんで大丈夫なのか?」

      リン  「あの子もあんたに気があるみたいよ」

      ジン  「ま、マジで!?」

      リン  「むしろ話しかけないと。ジュンは人見知りが強い子だから・・・」

      ジン  「人見知りなのか・・・」

           ジンは少し安心した顔つきになった。

      リン  「おごってあげようか」

      ジン  「いや、俺はいいよ」

      リン  「遠慮するな!人がせっかく言ってやってんのに、殺すぞっ」

      ジン  「こ、殺すだなんて」

      リン  「そのかわり、ジュンと仲良くなるのよ!」

      ジン  「わ、分かった!」

           普段は誰にでも暴力的かつ軽率的態度のリンだが、部下や後輩をことを

誰よりも心配する、人情の厚い女性であった。

ジンはお言葉どおりに、リンからうどんをおごってもらった。

 

                  12/30 pm7:00

           食べ終わり、自分の部屋に戻ろうとしたとき、艦内放送が入った。もちろん、

           ティナの声である。

   艦内放送  「(口で)ピンポンパンポン♪ みなさ〜ん、たった今、連邦軍本部が、「シチリアアイランド」のネオジオン残党軍と交渉するために動き出しました〜☆ 本部からの連絡では、我々は命令あるまで待機してなさいとのことで〜す!

寝てない奴は、しっかり仮眠を取るようにしましょうね★特に徹夜2日目のジン君、あなたですよ〜!!繰り返しま〜す♪」

      ジン  「俺かよ・・・・」

           ジンは自分の部屋には向かわず、格納庫で仮眠をとることにした。

                            12/30 pm7:07

               格納庫に戻ってきたジン。

           すでに数人のメカニックマンが仮眠についている。

           ジンはZの近くのイスに座り、速攻で眠り始めた。

 

           そのころ、「シチリアアイランド」周辺宙域では・・・・

                                         To be continued

                4. [Dance Dance Dance]

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