第3話 大会
ついに来た・・・・・大会の日がついに・・・・うずうずしてたぜ・・・が・・・このまじゃ間に合わねぇ・・・
・・・・・寝坊した・・・・・・
「くっ・・・俺としたことがこんなへまを・・・」
そう苦悩ををもらして街中を足早に歩いていった・・・・・間に合うか・・?いや、間に合わないだろう。
大会が始まるのが9:00からだ今は8:30・・・・ここから急いで会場に向かったとしても、1時間はかかる。
・・・・しょうがないタクシーでも使うか・・・お金がまた飛んでいってしまう・・・・

「ったく、お前はもうちょっと時間を守れよな」
「はぁはぁ・・う、うるさいな・・・はぁはぁ・・・」
どうにか間に合った・・・・APEがもう登録を済ませているようだ。よかった・・・・
「じ、ジュース買ってくる」
「ぁ、遅れたから俺におごってね。モカチョコね〜ヨロシク」
「・・・・・・・」
たかが120円をおごるとはいえなんかムカツク。自動販売機は入り口のとこに合ったよな・・・・

ガコン!
自動販売機の受け取りトレイからジュースの缶を取り出してのどを潤すためにジュースを飲み干した。
「ぷはっ・・・・なんとなく疲れた・・・・」
「よぉ、アズマじゃねーか」
・・・・まったくいやな奴に見つかったもんだ。こいつとだけはかかわりあいたくないよ・・・ほんとに・・・
「よ、よぉ!ビィじゃん。相棒のPマニはどうした?」
「ぁ?ポンか・・・あいつは買い物だ」
カッカッカッと笑いながらビィはそう答えた。
そうそう、ビィとPマニア・・・ポンコツは隣のクラスの友達・・・というか悪友だ・・・・こいつがここにいるということは大会に出場するのだろう・・・
一番当たりたくない奴だよ、実際。
「俺、友達待たせてるか・・・じゃぁな」
「おい、待てよ。ほれ」
「?」
ビィは右手をくいっくいっと手首のスナップをきかせて何か合図している。これはジュースをおごれというサインだろう・・・
今絡まれてはあとが面倒だ。ここは気がすすまないがおごってやろう・・・・
くそったれ。120円をビィに渡し、足早にその場を去った。

「ったく、アズマの野郎マジおせぇな」
「お〜い。買って来たよ」
「おせぇってんだよ!」
半切れのAPEにジュースを渡すといきなり激怒し始めた。俺が冷たいジュースを買ってきたからだ。季節は12月。冬真っ盛りだ。
「何でこのクソさみぃ日に冷たいコーヒーなんか飲まなくちゃ何ねーんだよ!あぁぁ!?」
・・・何だこいつは?俺がいなかったときに振られたのか?まぁよいよい。
「つべこべ言わず飲め」
「・・・・・」
いやそうな顔をしながらAPEはジュースのふたを開けて飲み始めた。それでいいんだよ俺はそう心の中でつぶやいた。
「そういや、トーナメント表もらってきたぞ」
何かを思い出したようにAPEが口をモガモガさせて語りかけてきた。
「ん?どれどれ・・・・」
俺はAPEからトーナメント表を受け取り、凝視した。・・・なんとそこには驚くべきことが・・・!
「シードじゃん」
よっしゃ!シードじゃねぇか!うれしさのあまり踊りたくなった。
「よし!がんばろうね!APE君!」
「何気持ち悪いことを言ってんだよ。その隣を見てみろ」
ぇ?何?チラッと横目で隣の組み合わせを見てみると・・・・”ビィ・ポンコツ組”と書いてあった・・・・最悪だ。
「くそったれがぁ!」
さっきのうれしさはどこかに飛んでいた。本当に最悪だ・・・・ビィ・ポンコツといったら最凶最悪の異名を持ついわば卑怯なコンビだ。
あいつらはいろんなあくどい手を使ってくる。例えば・・・・
「おい、何考えてんだよ!試合見に行くぞ」
もうそんな時間か・・・心の中でつぶやいて、APEのもとへと駆けて行った。

「・・・・・やっぱりあいつら強いな・・・」
そう、ビィとポンコツだ。
あいつらのコンビネーションは半端じゃない。うますぎ。それに加えて卑怯な手を使ってきた日には・・・・
「どうするAPE・・・」
俺はAPEに向かってそう言うと自信満々な答えが返ってきた。
「大丈夫!俺に考えがある!」
ほんとに大丈夫か・・・?俺は疑いのまなざしをAPEに浴びせた。
・・・・・はぁ。大丈夫かな・・・・
『ピロピロピロ』
「な、なんだ?この典型的な着信音は??」
携帯電話の着信音らしき音が耳に入ってきた。どうやらAPEのものらしい・・・
「ぁ。はい・・もしもし?」
APEは小型の機械に向けて語り始めた。
「はい・・・分かりました〜」
APEは会話を終えると携帯のボタンを一つ押してこちらに振り返った。
「すまん。さっきビィ・ポンコツ組みに対抗するカード注文したんだけどなかったらしいんだ」
「あぁ、そうか・・・ってかなんてカードよ?」
「”スピンベント”ってカードだよ。もしかして持ってた?」
「俺のドラグーンじゃ使えんからそんなの持ってても仕方ないだろ。だから持ってない」
「そうか・・・それじゃー仕方ないな・・・だったら例のカードを使ってみるか・・・」
「長い前フリだったな・・・なんだよ。そのカードってのは?」
「”サバイブ”だよ」
俺は言葉を失ってしまった。サバイブといえば世界で13枚しか存在しないベントカード。しかも禁止カードに指定されている。
「サバイブ・・・お前持ってんのかよ?しかも禁止カードじゃん」
「ストレンジを使う。そうでもしないと勝てん!」
「ストレンジか・・・って!確立かんなり低いぞ!」
「まぁ見てなって。」
にやりと笑ったAPEは自信満々に俺に言った。ほんとに大丈夫だろうか・・・
『さぁ〜いよいよ二回戦!次の選手の方は鏡の前へ!!!』
ナレーターの声が会場全体に響き渡る。さぁ、今日はじめての試合だ・・・・
「よし、気合入れてがんばるぞ。」
いつになく真剣な顔でAPEは言い放った。
「おぅ。負けるなんて考えなんよ。安斉先生も言ってたぞ『あきらめたらそこで終わり』って」
「安斉先生って何の話だよ・・・」
そんな会話をしながら鏡の前までたどり着いた。もうビィとポンコツはスタンバイしていた。
『それでは!デジタルファイト!レディ〜ゴーッ!!』
どこかで聞きなれた台詞に耳を傾けながら掛け声を言った。
「にゃ〜」
前に言ったかもしれないが掛け声は何でもいいのだ。

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