第1話 新型
人類が増えすぎた人口を宇宙に移民してから早半世紀が過ぎた。
ジオン公国が地球連邦政府に独立戦争を挑み、圧倒的な力で地球連邦軍に攻撃を仕掛け、
ジオン公国が優勢のまま膠着状態に陥ってから半年が過ぎた頃、
地球連邦軍がモビルスーツ「ガンダム」を投入してから、地球連邦軍はジオン公国と互角に戦えるようになった。
この物語はそうなった矢先の0079年10月から始まる。 ・・・・・・・・
ここは戦艦の中の会議室。いろんな人の怒鳴り声がきこえる。
・・・・・「なんですってぇ!」
カーン大尉が一層でかい怒鳴り声を上げている。
「新型MSのパイロットをまさか、まさか、あいつにするんですかぁ!!」
「中佐っ!!」
その怒鳴り声に対してシコルスキー中佐は両腕を組み冷静にこう言った。
「そうだ、あいつだ。あいつしかいない。」
「本当に、本当にあいつにするんですかぁ!!!」
カーン大尉はさっきよりも更にでかい声でそう言った。
「何度も言ってるだろう!あいつしかいない。」
「正気ですか!?中佐!!」
カーン大尉は泣きそうな声でそう言った。
「私はいつだって正気だ。」
シコルスキー中佐は更に冷静にそう言った。
「冗談はそこまでにして下さい!」
「いや冗談ではない。あいつしかいない!」
「中佐っ!!いい加減にして下さい!!!いくら中佐の提案でもあいつを出すわけには・・・・・」
その言葉を無視してシコルスキー中佐は独り言のようにこうつぶやいた。
「あいつ・・・・・あいつしかいない・・・・・・」
「デュラン・クラウナー。そう、あいつしかいない。」


・・・・場所はかわってここは戦場。無数の数のジムとザクが乱れ狂うように戦っている。
「いけぇ!!」
ものすごい速さでデュランのザクUはジムを射撃し、破壊していく。
「1匹目ぇ!」
ジムの射撃も次々とかわしていく。
「2匹目ぇぇ!!」
背後から斬りかかろうとしたジムの攻撃を鼻で笑いながら避け、バックパックを射撃していく。
ダダダダダッ!!ドォォォォン!
「3匹目ぇぇぇ!!!」


普通のパイロットのザクと比べたらその姿はまるで流星のようだった。
「帰還して下さい。帰還して下さい。」
オペレーターの声が聞こえる。
「よし!今日も絶好調!!」
デュランのザクUは余裕の表情で戦艦に戻っていった。

「ふうっ。」
「よぉ!デュラン!おつかれ。」
幼なじみで戦友のジョセフ・マクレガーが声をかけて来た。
「おつかれ。今回は何機倒した。」
デュランはミネラルウォーターを一気に飲み干した後そう聞いた。
「三機だ。デュランは何機だ。」
「ふっ、五機だ!勝ったな!」
「ちっ!又負けたか。これで何連敗しただろう。いい線いってんのになぁ!」
「一生オレには勝てねえよ!」
そう言ってデュランは笑った。
「クラウナー少尉!マクレガー曹長!」
カーン大尉が二人を呼び出した。
「あっ何でしょう!大尉!」
二人はカーン大尉に敬礼した。
「シコルスキー中佐がお前らの事をお呼びになっている!今直ぐ会議室に来い!」
「あっ、はい!」
二人はきょとんとした表情になっている。
二人は会議室に向かって歩いている。
黙々とした空気の中最初に切り出したのはデュランだった。
「なあ。オレ達何かやったっけなぁ。」
「う〜ん・・・もしそうだとしたらデュランだな!何でオレまで来なきゃ何ねぇんだよ!」
「んだとぉ!」
デュランはジョセフの胸倉をつかんだ。どうやらケンカ友達でもあるようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
又静かな空気になったようだ。
「本当に何の為に呼び出したんだろう?」
今度はジョセフの方から切り出した。
「さあな。悪い事じゃないように祈る。」
二人の足音だけが廊下に響いている。
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