第3話 内乱
各地で内乱が起きていた、軍備縮小に反対していた部隊が。連邦軍基地に対して奇襲 攻撃をして来たのは、サハリが落ちる予定の一時間半前から始まっていた。体制が整 わない連邦軍にとって、思いがけない攻撃であった。本来なら場、ジェイス率いる小 隊も撃破成功後にこの作戦に参加する予定で有った為、予定より大幅に遅れを取って いた。全体的に戦力が散らばっている為、連邦軍に気取られる前に速やかに各基地を 制圧もしくは一時的に混乱させるのが目的にで、時間との戦いでも有った。ジェイス は、この遅れを取り戻すべく、この一体の指揮を取っている陸上戦艦ランド・シャー クに連絡した。(ビッグ・トレーラーのような戦艦で、ミノフスキー化の中での広範 囲の連絡を可能にした艦である事と。長時間にわたる作戦において、強襲揚陸艦に比 べエネルギーの消費が少なく止まり続けられるので、こん作戦に用いられている。)

ジェイスは、二機のMSと共にホバー走行をしながら戦艦に連絡をした。司令塔でも 有る戦艦は慌しいのかノイズ混じりに聞き取りにくい物だった。ジェイスは、次に目 標で有る基地をモニターから呼び出し確認しながら行った。
「こちらグリンパーク(彼らの小隊名)。空飛ぶ豚の撃破に成功、約ニ時間の遅れに 成ったので、このまま任務を続行します。」
この船の艦長であるボーマンが言った。
「遅れを取り戻せよ、大尉!」
「ハッ、速やかに行います。」
そう言って通信を終えたジェイスが、ようやく折り畳んだランチャーを背中に着けな がら、他の二人に伝えた。
「引続き任務を続行するぞ。」
リースは、ランチャーの発射によるティ―ガ―のエネルギー切れを心配しながら言っ た。
「大尉、その機体では続行は無理なのでかと、一度艦に戻られた方が・・」
「気にするな、補助のエネルギーパックを使えば持つ。だが無理は出来ないな、お前 達が確り仕事をすれば問題無い。」
チャックは、豪快に笑いながら言った。
「ハハハ、違いねー。ハハハ。」
そうしながらも三機のMSは、うっそうと生い茂る緑に囲まれた所から、辺りの様子 が一変し果てし無く続くのではないかと思うくらいに荒野が広がっていた。
ジェイスは、その光景を見ながら言った。
「ひどい物だな、戦争の長期化で自然が死に絶えてるのか。」
「今時何所もこうですぜ大尉。あの地域は、政府の別荘が有る所ですから特別なんで すよ。」
チャックは、そう応え終わると。リースが、割り込んで入って言った。
「大尉、目的地まで後少しで着きます。」
「よし、リースは適当な所で待機しろ、偵察機では運動性に問題が有るからな。
チャック、俺の足を引張らないように。尚、任務遂行が無理の場合は出来る限り建造 物の破壊を優先しつつ、速やかに撤退する、以上だ。」
「リース機、了解」「チャック、了解した」

目標の基地では、各地で起きている攻撃に対しの防衛の準備を行っていた。
基地司令官は、あせっていた。
「急いで、作業に取り掛かるんだ!!何時奴らが来るかもしれん。くそー、連中は一 体何が目的なんだ。さてはあの野蛮人の集団め、戦争が無くなったから自分達で戦争 を起こしおたっな。」
彼の部屋に一人の兵が入ってきて言った。
「司令、四機のMSと試作機の配備が整いました。」
司令はうなずき、兵を下がらせた。
「来るなら、来てみろ愚か者ども。一機残らず倒してやる、フフフ・・・」
数分後、基地全体にサイレンが鳴り響いた。

ジェイスは、機体のエネルギー残量を確認しながらチャックに言った。
「チャック、基地侵入後は散開して、敵の数が不明だ、深追いせず自機の被弾状況に 応じて離脱しろ。俺の機体が全弾発射すれば、作戦開始だ。」
「腕が鳴るぜ!!」
ジェイスの機体から、ボッンと言う音と共にカバーが外れた。機体を一回り大きく見 せていた正体はミサイルポットであった。フル装備の名はここから来ている。
「恨みは無いが、上からの命令なんでなんでな。大人しく、行ってくれ。」
そう言うと、ジェイスはティ―ガ―のミサイル全弾を発射した。
猛烈な勢いで飛び出したミサイルは、基地全体を襲うような勢いを見せ。朝にも関わ らず、辺りはどす黒い煙で闇の世界に一変した。準備が出来たと言えど、突然の攻撃 に基地はパニックになり。動き始めた五機MSの内、そのミサイルの雨に二機がやら れた。連邦軍の試作機のパイロットである彼女は、実戦経験を持たない為に突然戦場 と化した事に恐怖で動けなかった。一機のMSが試作機に近づき言った。
「レナス中尉、確りするんだ。」
レナスと呼ばれたパイロットは、泣き出しそうな声を出した。
「無理よ・・・・出来ないは、隊長。」
「レナス・・・・」
隊長に、悲鳴混じりの無線が入った。
「隊長!助けて下さい、奴ら遊んで・・・しまった、もう片方の腕が。・・・う わぁぁぁ―・・・・・・。」無線が途絶えた。
「ちっ、全滅か・・・この基地も終わりだな。何!レーダーに反応、何所からだ。」

辺りを確認するが、散乱するガレキの山と真っ黒な煙だけだった。
「しまった、上からか!!」
気づいた時には、真上からMSが両足を自機の両肩に乗せ。手に持った青白い剣で、
頭上から突き刺した。隊長は、上で何が起こったか解からぬまま消えた。
「いや―――・・・隊長―――。」
突然襲い掛かって来たMSは、隊長機を真っ二つにしながら、彼女の乗るMSを見 た。
そのMSの上下に四つ有る眼が奇妙な輝きを見せながた、ゆっくりと彼女に近づいて 来た。彼女は、恐怖の余りに動く事が出来なかった。敵MSが目の前に来た時、四つ の内上二つの眼から強烈な光が現れ、試作機のメイン・カメラを焼き。中に居る彼女 にも、その光が入り込み。彼女は、長い間気を失った。

彼女が気づいた時には夜だた、ベッドの上に居た。周りには、多くの負傷兵もベッド に寝ていた。彼女は、目に涙が溢れ出し。「隊長・・・」と言いながら、また深い眠 りについた。

ジェイス達は、敵MSの破壊と抵抗する兵士達の排除を済ませ、試作機をほぼ無傷で 入手に成功した。その後、陸上戦艦ランド・シャークの到着をもって、基地の制圧に 成功し。その他各地での、奇襲作戦もある程度成功している報告を聞きながら。彼ら は、新しい時代の始まりを告げる、その時を待っていた。
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