第1話 発端
 ここは仮想世界......つまり本来存在することのない世界。その世界では地球 を、「フォース」と呼んでいる。仮想世界といえども人々の生活や風習などはほとんど変わらない。しかし歴史と科学技術は現実世界とは大きくかけ離れている。「フォース」は宇宙進出を現実世界より6万年早く成し遂げ、それ以降も発展の歴史をたどっていった。だが、「モビルスーツ」が開発されたことにより、 歴史は戦争の時代へ突入していく。
 「モビルスーツ」それは、宇宙開発事業団が宇宙作業用の巨大ロボットとして開発したものだった。
 だが、いつしかそれは「戦闘用人型兵器」として世に定着してしまった。
その考えを定着させた男が「カーン オニルクス」である。
彼は、人類は戦争の上でこそ成り立っていると考え、「モビルスーツ再開発プラン」をフォース軍に提示していた。
彼は当時軍の最高クラスの幹部であり、軍の上層部の風当たりもよかったため、「黙認」という形でプランを承認するにいたったのである。
  さて、ここで「フォース軍」について説明せねばなるまい。
「地球連邦軍」とは、全世界が戦争回避策として、全軍を統一して作られた軍である。
 政治の面でも同じで、全世界を統一して「オールフォース政府」が樹立された。
さらに、「連邦条約」が全世界で可決され、核兵器が完全廃止されるまでに至った。
 だが、核兵器を廃止したことにより、戦争を望むもの達が新たな兵器開発を模索していた。
 そんな中での宇宙開発事業団によるモビルスーツ開発・・・・。彼らにとってそれは大きなチャンスだった。そんな彼らを裏でまとめ、仕切っていたのが 「カーン オニルクス」であった。
そして、「モビルスーツ再開発プラン」成立から約四ヵ月後・・・。
カーンは、フォース連合会議の場においてクーデターを起こし、フォース本部を占拠した。
同時に自らを総帥とする「KOF」を設立。モビルスーツによる武力攻撃を 脅迫材料に次々と世界を制圧していった。
 だが、彼には更なる野望があった。それは、モビルスーツを超えたモビルスーツを開発することであった。その機体の名は「イェラグーン」。彼はこの機体を「KOF」の象徴的な機体とすべく、開発を急ピッチで進めていった。
 だが、この「イェラグーン」が、のちに、自らを悩ませる存在になろうとはこの時予測できなかったであろう。
 舞台は、「イェラグーン開発基地」から始まる・・・。
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