Ken Loach

1936UK イギリスの黒澤明的巨匠。ドキュメンタリー、TVに関わった後、映画に転向。
現代イギリス映画ブームの原点的存在である。

Kes (1969)   ケス

学校では落ちこぼれ家庭では無視と、孤独な生活を送 る少年が鷹との交流に「自由」を見出すが・・・

緑の美しい作品。その映像のみずみずしさに圧倒される。 「ケス!」と叫ぶ少年の声が耳に残っている。 今観ても古さを感じさせないが、ラストの描き方など悲し いのにずいぶんあっさりしていて、イギリス・リアリズム の伝統なのだろう。 饒舌な映像ではないが、切れ味の鋭さは素晴らしい。 ももうすこし感傷的なほうが私は好きだが、これはこれで 絶妙のコントラストだ。


Riff Raff (1990)   

リフラフ

労働者階級の悲哀を追っている。ホームレスのような生 活をしているロバート・カーライル演ずる青年と少女との 交流を描いたもの。 アングラチックなラブストーリー。 苦い青春の格闘を描きながらもユーモアと社会描写を 忘れないローチのタッチに痺れてしまった。 カーライルはもちろんいいのだが、脇役がいい。 でも最高にいいのは、人々を描く目に暖かさがこもって いること。 日本の寅さんシリーズが、イギリスだとこうなる。 イギリス人は涙が嫌いなのである。



Raining stones (1993)

レイニング・ストーンズ

少女に式のためのドレスを買ってやりたい父。 だが失業してるうえに借金だらけの彼にはそれが一騒 動である。

失業者の悲哀という点で「ブラス!」につながる作品。 この作品を観ると「ブラス!」がコピーであることがわか る。 なんとなくチャップリンを思わせる感傷も匂うのだが、そ こはイギリス、そしてローチ。泣かせるツボはおさえてい るが過度には泣かせない。

この題、大好き。題だけでなく映像とストーリーも。





Ladybird ladybird (1994)

レディバード・レディバード
アル中の性格破綻者であるために、産む子を次々と福 祉局にとられてしまう母親を描いたもの。 その子の数たるや一人や二人ではない。多分五人。嘘みたいな話であるが実話。 子と引き離される彼女の叫びが切ない。 これも題のつけ方がうまい。だがもっとうまいのは、母親を演じているクリシー・ロック。もう強烈そのもの。 こんな悲惨な話なのに描写はユーモアを忘れない。 だけど、私はヒステリーと女の涙が好きではないので、 ローチ作品のなかでは下のほう。 もちろん傑作ではあるが。


Land and Freedom (1995)

大地と自由
スペイン内戦におけるコミュニズムの分裂と闘争を描い たもの。孫が父の日記を見つけ、その戦いを追っていく という構成が面白い。 政治臭の強いドラマで、ちょっとストレートに出すぎてる 気もするが、ラストを迎えた時点で、うならされる。 ローチにしては感傷に流れすぎてるシーンもあるけど、 キッチリしめてくるあたりはさすが巨匠。 ローチが左翼思想の洗礼を受けてるのはこの作品を 観ても明らかだけど、 この作品はその思想にふれうる珍しい作品。 ラブストーリーでもある。



Carla's song (1996)

カルラの歌

ロバート・カーライル主演。南米女性と知り合ううちに、 彼女の国の内戦に巻きこまれる男の話。 平凡なバス・ドライバーと内戦との噛み合いという視点、 ユーモアとシリアス。コントラストは絶妙。 歴史の底をさらっていくようなフィルムですが、 同じ題材をオリバー・ストーンが描けばアクばかり強く なる。ローチだとクールですね。構成はすこし破綻気味だと思うけど、ローチらしさが随所に出てる作品でもある。

My name is Joe (1998)

マイ・ネイム・イズ・ジョー
町のサッカーチームの監督をやってるジョー。 彼のアルコールとの戦いを描いたもの。 毎度のことながら淡々としていて、脇役も描きこまれて いる。 ジョー役のピーター・ミュランが素晴らしい。 ラストのあたりは、時々ローチが見せる破綻、
冷静なはずが 感傷に冒されるむきになるが、 破綻とはエントロピーの増大のこと。 淡々としてばかりでは面白くないので、この監督のみせ てくれる映像的痴態もまた楽しいのである。





 

 

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