ハート・オブ・ウーマン

What women want

監督:ナンシー・メイヤーズ
脚本:ジョシュ・ゴールドスミス、キャシー・ユスパ
撮影:ディーン・カンディ
音楽:アラン・シルヴェストリ

Paramount pictures;126minutes

メル・ギブソン、ヘレン・ハント
マリサ・トメイ、ローレン・ホリー、ベット・ミドラー

原題は「女は何を望むか」、映画もまさにこの問いかけだ。
大手広告会社のプロデューサー・ニック・マーシャル(メル・ギブソン)は、クリエイティブ・ディレクターの座を、社外から招かれたダーシー(ヘレン・ハント)に奪われる。
現代の最大消費者である女性にアンテナを向けてないというのが、その理由だ。
「女は何を望むか」その答えを求めて、ニックの悪戦苦闘が始まる。
ひょんなことから・・・(このシーンはハプニングの連続)・・・
女の声が聞こえるようになったニックは、
一時のショックから立ち直り、この才能を最大限に使ってリサーチを始める。
そして男性客もまたスクリーンに見入りながら、ニックの後を追いかけ、
「女は何を望むか」の実態を知らされる。女性客は「男がいかに女が望むものを望んでないか」を実感するのだ。
この映画でのメルには爆笑。
特に女性の必須アイテムを一個一個試すシーンが最高におかしい。
こんなに美容は痛いのか・・・・
女性は美しくなるためには手段を惜しまない。
そこに山があるから登るのだ
・・・どんな痛みも乗り越えて。
ニック(メル)はその痛みを通して、初めて女心の深みに達する。
メル・ギブソンは反フェミニスト的発言で物議をかもしたこともあり、いわばウーマン・リブの槍玉にあげられている男優だった。男の中の男を演じさせたら彼ほどはまる俳優はいない。
そんな彼にバチが当たるという映画上の設定が面白い。
でも映画を観る限り、女心がわかりそうな・・・人だ。
相手の的は巧みに外しながらも、演技においては的を得ているメルは、なかなかのラブコメ男優という評価を僕の中ではゲットした。彼と似たポジションにいるレッドフォード、イーストウッド、ハリソン・フォード、コスナー、リチャード・ギアといった顔ぶれ・・・
この中に「ハート・オブ・ウーマン」を演じきれる俳優がいるだろうか?
コスナーに演じさせたら、特に目も当てられない結果になるに違いない。
レッドフォード、コスナー、ギアといったナルシー御三家には女心のヒダを読みきる演技ができないのだ。ハリソンとイーストウッドにも苦手ジャンルに違いない。

この作品はメル・ギブソンのこのジャンルにおける隠れた才能を開花させた。
ロマコメの帝王・・・遅きに失した名称だが・・・。少なくとも彼はアクションとサスペンスだけの人ではなかった。
(ネタバレですが)

最初悪鬼のように憎んでいたダーシー(ヘレン・ハント)の心を読むうちに、彼女に同情し共感し、ついには愛してしまう心の動きが面白い。
誰も気にかけないオフィスの幽霊のようなエリンへの思いやり、珈琲ショップで働くローラ(マリサ・トメイ)とのいきさつなど、彼の心の変化が凄く印象的に描かれている。
ファンタジーだけどリアル・・・

さらに、この作品でのヘレン・ハントは受けがいい。
メルのファジーな変化球演技をしっかり受けとめている。女優界の名キャッチャーだ。
メグ・ライアンなどに比べると少し華が足りないのが難点だが、
鼻持ちならないキャリア・ウーマンの意外な素顔を巧く演じきってた。

監督のナンシー・メイヤーズは「プライベート・ベンジャミン」「花嫁のパパ1、2」「赤ちゃんはトップレディがお好き」などの脚本を書いた人。
監督としてはこれが「ファミリー・ゲーム」に続き二本目になる。
「ファミリー・ゲーム」も双子の騒動を描いて面白い映画だった。
情感演出の得意な人だ。