つ覚えの「国益」

 「当世事情」で女性代議士の「国益」発言に触れたが、この国益と云う聞こ
えの良い発言が誤用されているのではないか。高市早苗が討論番組内で「事実
であっても、国益に成らぬ事は認めるべきで無い」と放言したのを称える声が
ある。何と云う危険な思想なのだろう。確かに米国などは皆で決めた事(国連
決議等)でも米国の国益に成らぬ事には従わないと妄言して居る。

 この様に非常識な発言には当然、各国の反撥や批判が付いて来るものだ。
世論(内外)に耐え、有形無形の制裁も予想せねば成らない。米国や支那の場
合にはそれらに耐えうる国力があり、正邪に拘わらず国内世論の同意も取り付
けられるからこその「国益」発言だ。国力も發言力も不足している我が国が、
闇雲に大国の真似をしても無益であるばかりで無く、却って害に成ると言う事
を理解していない考えではないか。

 外交や内政で何かと他国から干渉されている日本を情けなく思い、謝罪外交
に辟易する中で、この様な「勇ましい発言」に快哉を叫ぶ感情は理解出来る。
しかし、何と言っても「女の腕まくり」・・・勿論、女性代議士の発言だから
「女の腕まくり」と揶揄するのでは無い。元より「力による背景」の無い日本
がその様な発言をするのは稚拙で危険だと言うのである。この様に不用意な放
言は、極々限られた内輪での「人気取り」の為に放つべきである。迷惑千万だ