眉に唾をつけて 10/19/2002

 小泉訪朝前後に行われた米朝会談の席上、北鮮側の開き直り発言が出たと云
う。以前にも核開発を匂わす発言はあったが、今回は日本や韓国をも巻き込ん
だ戦争を遣っても良いとか、米朝何れが核戦争に勝つかは遣って見ないと判ら
ない等の発言もあったと言う。対する米国のケリーは相当激しい反発を見せた
様で、それが今回の著しい軟化の原因だともされる。未だ断定するのは早いが、
過去の発言から推しても頷けるものがある。

 北鮮の場合はイラクやアフガンと違い、分断国家と云う背景があるので、性
急な武力行使は出来ない。離散家族や日本人妻の問題だけで無く、未解決拉致
事件の被害者数百人が存在する可能性もある。ロシアの影響は薄れたものの、
未だに支那とは緊密な関係とされるからだ。支那、日本、ロシアに住む朝鮮族
や在外朝鮮人は、アフガンやイラクへ行使した様な武力外交を許さないだろう。
兎に角、絶対に無いと思われていた拉致の「自白」、急激な軟化などの真因は
謎の部分が多い。

 北鮮の恫喝にしても実効は疑問で、事情通は揃って未だ核ミサイル等、高度
或いは完成された攻撃システムは無いと言う。金正日体制が早急に解消するか、
弱体化する必要は誰もが認めるところだ。テロの定義は未だ確立していないと
思うが、北鮮の遣った事はそれに准ずるものには違いない。偽ドル製造行使、
国家としての覚醒剤製造と輸出、拉致事件は疑いの無いものだろう。上品な対
朝外交で済まないのは事実だが、米国任せでは如何にも危険過ぎる。米国自身
が過去も現在もテロ実績を持つ国であり、陰謀と疑惑に充ち満ちた帝国だ。


 我が国でも忘れられた存在であった森、橋本が色々とぶち上げて居り、テロ
一辺倒のブッシュ米国も益々勢い付いている。遣り口は如何でも、米国の対朝
外交が一定の成果を挙げたのは確か。その上で米国からの情報を全て信用する
のは拙速、針小棒大で危機を煽る遣り方はイラク問題でも明らかだ。また、仮
令危機の幾つかが真実であっても、米国流が最善でも次善でも無い乱暴な遣り
方である事は変わらない。朝鮮動乱時に核兵器の使用を目論んだ事実は、歴史
時計の上ではつい先頃の事である。追加報道では中川・元防衛庁長官が昨年に
北鮮との秘密会談で、大戦中の謝罪と補償を条件に「拉致問題」での情報提供
などを密約されたという。これはこれで種々の問題に成る事だ。