国際間の不平等と欺瞞 2002年10月23日
国際間不平等と、それを補填する正義
国際間紛争を未然に防止すると共に緊張緩和措置として、各国の武力を削減
或いは抑制するものには幾つかの取り決めがある。核兵器関連では、@核拡散
防止条約(NPT)A核実験防止条約(CTBT)等がある。
そして、世界的な非核機運の中で問題に成っているのが、米国などが行う臨界
前核実験である。考えるまでも無く、これらの取り決めや制限、違反した国へ
の罰則・制裁は典型的な不平等条約だ。
現在のところ、地球外生物が襲って来る訳でもないし、核兵器の平和的利用
も考えられない。だから核兵器の使用と保有は直ちに止めて、現有核兵器など
は相互監視の下で安全処理するのが最も理想的だ。ところが保有国は削減はす
るとは言うものの、安全保障の観点からしても廃絶する気は全く無いと言う。
米国に於ける個人の銃所持と一緒で、正直者が権利を放棄しても悪人が隠し持
っていれば、秩序は崩壊して犯罪が蔓延ると云う理屈が金科玉条に成っている。
奇麗事ばかりを聞かされても困る。非保有国への制限は、保有国の身勝手極
まる利権やカルテルに過ぎない。どの国も誰もが持たないと云う「南極条約」
の様なものならば兎も角、特定の国だけが既得権として温存、活用出来る等と
は不平等の一語に尽きる。それが許される条件は唯一つ、保有国が無私・無欲
且つ無謬である事が絶対条件だ。適合する国などある訳が無いし、核保有国は
過去も現在も幾多の問題を引き起こして来た国々ではないか。
諸国の反発を無視して大気圏や地中、海中での核実験を幾度も繰り返して技
術とデータを蓄積、現在ではそれらの核実験を行う必要が無くなった。そうし
て置いてから他国の開発に厳しく反対し、自国は臨界前核実験等、コンピュー
ターシミュレーションによる核開発に邁進する。これらは核実験では無いと強
弁する身勝手は、何処を如何見ても不平等の極みである。核拡散防止を叫ぶな
らば、進んで実効ある核廃絶を言うべきである。
それならば、日本も核を持つべきだと言うのではない。どの国も自由に核保
有が出来る様にとも考えない。核を廃絶するのが最善なのだが、それは如何も
難しいらしい。それならば核削減と管理の徹底が肝要なのに、既保有国には些
かの良心も見出せない。現実に出来るのは保有国の欺瞞を暴き、無軌道に走り
勝ちな保有国を牽制する事だろう。その事が何時の日にか核廃絶に繋がり、横
暴な「五大国」の既得権益を潰せるかも知れないから。