訪朝希望に無理は無い 12月6日

 ジェンキンスさんが過労で入院と北鮮が伝えて来た。福田官房長官はこれを
北鮮の策動と評しており、来日して治療した方が良いと通告したそうだ。事実
は闇の中なので何とでも評論出来る、確かめ様の無い情報ではある。寡黙な曽
我ひとみさんは、「心配はしている」としか公に発言しない。左胸からはお馴
染みの金日成バッジが離れず、帰国者の中で唯一人特殊な立場に在る彼女の心
中を察する事が出来る。家族会などや外務省に抑えられているだろうが、北鮮
へ渡ってでも再会を果たしたいだろう。

 北鮮へ渡りたい人は他にもいる。11月下旬から渡朝していた寺越友枝さん
は帰国後、報道陣に「国が遣らないから私が遣っている」と吐き捨てた。特別
扱いの5人に比べて、支援の輪から外された思いがするのは当然だろう。寺越
武司さんは先頃来日したが、言動から推して「洗脳され切った」とか、本人が
北鮮での生活を希望している等の理由で、支援対象からも外された様だ。
清掃のパートタイマーをしながら貯めたものを、北鮮への送金や渡航費に充て
ているそうだ。その少なからぬ送金が、武司さんが北鮮での身分や安全を保つ
保証と成るらしい。

 札幌市出身の石岡亭さんの家族は、特に強く渡朝を希望している。家族会に
は入っておらず、独自に政府と交渉する立場だ。現在のところは家族会や救う
会、拉致議連の意見が強いので、個人の意見は中々通り難いのが現状だ。立場
の違いが大き過ぎるのに、一つ覚えの如くに一枚岩だの粘り強くと言われては
遣る方無しだろう。家族会は時期尚早として訪朝しない方針を貫くそうだが、
加入していない石岡さんには聞こえない事だ。地村・蓮池夫妻は手厚い支援と
保護があり、残留家族も安全だろうとの観測だ。コメ支援をしなくとも、飢え
る事も無い筈だ。大切な人質なのだから。

 その状況下で政府等は、曽我さんや石岡(兄の章)さんの渡朝は認めたがら
ない。石岡さんが家族会に未加入でも、その言動が全体に与える影響は見逃せ
ず、勝手な行動は許さないと言うのが本音だろう。政府や世論の注目を集め、
支援を受けられるのは「声の大きい者だけ」と云う事はないのか?日陰者扱い
だった田口八重子さんの家族、転向と決め付けられた寺越家、皇室報道の如き
扱いの日本テレビ等々、「一億総家族会」化した現状は怖い。