ジェンキンスさんが過労で入院と北鮮が伝えて来た。福田官房長官はこれを
北鮮の策動と評しており、来日して治療した方が良いと通告したそうだ。事実
は闇の中なので何とでも評論出来る、確かめ様の無い情報ではある。寡黙な曽
我ひとみさんは、「心配はしている」としか公に発言しない。左胸からはお馴
染みの金日成バッジが離れず、帰国者の中で唯一人特殊な立場に在る彼女の心
中を察する事が出来る。家族会などや外務省に抑えられているだろうが、北鮮
へ渡ってでも再会を果たしたいだろう。
北鮮へ渡りたい人は他にもいる。11月下旬から渡朝していた寺越友枝さん
は帰国後、報道陣に「国が遣らないから私が遣っている」と吐き捨てた。特別
扱いの5人に比べて、支援の輪から外された思いがするのは当然だろう。寺越
武司さんは先頃来日したが、言動から推して「洗脳され切った」とか、本人が
北鮮での生活を希望している等の理由で、支援対象からも外された様だ。
清掃のパートタイマーをしながら貯めたものを、北鮮への送金や渡航費に充て
ているそうだ。その少なからぬ送金が、武司さんが北鮮での身分や安全を保つ
保証と成るらしい。
札幌市出身の石岡亭さんの家族は、特に強く渡朝を希望している。家族会に
は入っておらず、独自に政府と交渉する立場だ。現在のところは家族会や救う
会、拉致議連の意見が強いので、個人の意見は中々通り難いのが現状だ。立場
の違いが大き過ぎるのに、一つ覚えの如くに一枚岩だの粘り強くと言われては
遣る方無しだろう。家族会は時期尚早として訪朝しない方針を貫くそうだが、
加入していない石岡さんには聞こえない事だ。地村・蓮池夫妻は手厚い支援と
保護があり、残留家族も安全だろうとの観測だ。コメ支援をしなくとも、飢え
る事も無い筈だ。大切な人質なのだから。
その状況下で政府等は、曽我さんや石岡(兄の章)さんの渡朝は認めたがら
ない。石岡さんが家族会に未加入でも、その言動が全体に与える影響は見逃せ
ず、勝手な行動は許さないと言うのが本音だろう。政府や世論の注目を集め、
支援を受けられるのは「声の大きい者だけ」と云う事はないのか?日陰者扱い
だった田口八重子さんの家族、転向と決め付けられた寺越家、皇室報道の如き
扱いの日本テレビ等々、「一億総家族会」化した現状は怖い。