イージス艦派遣理由の御粗末 12月8日

 最早、自衛隊違憲論は過去のものとされた様だ。今回のイージス艦派遣論議
は、集団的自衛権と個別的自衛権の神学論争といわれている。真っ当に考えれ
ば自衛隊そのものが違憲なのだから、それに関わる派遣問題は成り立たないと
思うのではあるが。それでは話が進まぬので政府や野党、反対派の言い分を考
察して見た。集団的・個別的自衛権を論ずるのも妙な話で、自らが攻撃されれ
ば反撃が出来る。しかし傍にいる友軍が攻撃されても、法に触れるから助けら
れない。これは所謂「天皇に戦争責任無し」と同様に、国際的に通らぬ恥ずか
しい理屈である。元々がマッカーサー憲法に起因するとしても、笑い者に成る
には十分過ぎる条件だ。断言すれば支援自体が必要も正義も無い愚行なのだ。
米国追従も良い加減で辞めて欲しい。

 イージス艦派遣の蓋然性に付いて政府や自民党は、@艦船交代の時期だ。
A乗員の安全と快適を配慮。B他(米国)から言われて遣るのでは無い。C調
査能力に優れる。D集団的自衛権の行使には当たらず、それに至る心配も無い。
等としている。実に苦しく情けない言い訳の羅列だ。
艦船交代の時期だからイージス艦とは成らず、快適性を心配するなら始めから
出なければ良い。優れた調査能力を発揮する必要も無く、結果として集団的自
衛権行使に抵触せぬ筈が無い。旗を見せる好機との期待もあるが、元々は正邪
不明の作戦ではないか。

 如何転んでも派遣される自衛隊員とって、交代も快適も歓迎すべき事だろう。
どうせ無免許運転をするならばエアコンが効き、運動能に優れた車が良いと云
う屁理屈と変わらない。日本は法的にイラク攻撃への支援は一切出来ないのだ
が、政府からは説得力のある説明はされていない。政府筋の狙いは今回の派遣
が、対イラク攻撃を間接支援する事にある。読売新聞などは「平和ボケから脱
せよ」との社説を掲げて、今回の政府方針を援護する論調だ。福田官房長官は
「米国から要請を受けたから遣るのでは無く、自主的に決めるのが良い」と発
言している。これには報道も呆れて居るが、実際には再三に渡る米国からの強
い要請があったと云う。茶番劇である。
イージス艦の概要