テロとイスラエル 12月10日
イスラエル入植民の被害には、心底からの同情は出来ない。
イラク査察で報道量の少ないイスラエル情勢だが、対イスラエルテロが国外
で2件発生した。1件はケニアのホテルでの自爆テロで17人が死亡、もう一
件はイスラエル民間機へのミサイル攻撃だ。ミサイルは3発か4発が発射され
たが、幸いにも命中はしなかった。イスラエル国内でも相変わらず、自爆テロ
と報復テロの悪循環だ。シャロンが再選された事やイラク・北鮮問題の流れの
中で、米英とイスラエルに順風が吹く現状は、強硬派の跳ね上がりが懸念され
る。
パレスチナ問題を考えて見たい。イスラエルなどは米英の言う「大量破壊兵
器所有、核開発、テロ行為、国連決議違反、世論軽視」の見本ではないか。
これ等の幾つかは米英や支那、ロシアにも言える事だ。イスラエル建国からし
て理不尽であり、その結果としてパレスチナ紛争がある。
報道がイスラエル高官に建国の正当性を問うたところ、「それは千年ほど前に
遡るので・・・」と言葉を濁している事は「思想と言論」頁で言及した。パレ
スチナ人を追い出して入植地を拡大し、ヨルダン川西岸地区から撤退せよとの
国連決議も受け入れない。国連決議を錦の御旗に或いは決議が無くとも、自国
の論理で軍事行動をする米英が、如何してイスラエルの無法を看過するのか。
アラファト議長やパレスチナ自治政府にも問題があり、指導力に疑問がある
のは事実だろう。宗教心と憎悪に基づいた自爆テロは、遺族に対する報奨金等
を餌に貧しい難民を使う行為との批判もある。勿論、全ての事例を単純に決め
付けるのは間違いであるが・・・。
イスラエルの強硬姿勢は半端で無く、人質交渉に応じない事は有名だ。可也前
の事だが誘拐続発に業を煮やしたイスラエルは、以後の人質交渉を断固拒否す
る決定をした。直後に閣僚が誘拐されて交渉を突き付けられたが、これを拒否
して閣僚は殺された。イスラエルは徹底した捜査と報復で応酬、以後はこのパ
ターンが定着した。
パレスチナの自爆テロでは犯人の自宅や実家をブルドーザーで破壊、家族を
逮捕したりもする。爆撃や暗殺も頻繁に行い、対象者の乗ったタクシーをミサ
イル攻撃するなど、パレスチナ人に巻き添えが出ても意に介さない。この辺は
米国の理屈である「アルカイダやテロリストを攻撃時に巻き添えが出ても、そ
れは米国の責任では無いから謝罪はしない。」、「米国に責任が無いから賠償
の要も無い」と同じ理屈だ。しかし、米国は支那領事館誤爆事件では謝罪と、
一人当たり1億数千万円の賠償をしている。相手によりけりと云う事か。
イスラエルや米英に対するテロが日本で起こり、我々が巻き添えに成るのは
堪らない。それに対する報復テロでの側杖も許さない。他人の土地に紛争を持
ち込むなと云う事だ。しかし、パレスチナでのテロは別物と考える。
私はそれをテロと言うよりは、パルチザンの抵抗運動とした方が正確だと考え
ている。「契約の地、カナン」との理由で伝来の土地を奪われ、抵抗すればそ
れに数倍する報復(テロ)を受ける。止むに止まれぬ抵抗を口実に、土地を不
法占領されて入植地に成って仕舞う。国連決議で撤退を勧告されても、イスラ
エルは馬耳東風だ。
これでは如何すれば良いのか。忍耐と服従などとは誰にも言えまい。パレス
チナ人が行動を起こせば過剰な報復があり、イスラエルのテロにはどの国も寛
容過ぎる。バレスチナ人の抵抗運動は当然ではないか。第三者が言うところの、
「テロをするならば対象をイスラエル政府や兵士に絞り、民間人には手を出し
たり巻き添えにするな」とは正論である。「バスの中や集客施設での自爆テロ
は無差別テロだ。」との意見も一応は正しい。それではパレスチナはどの様に
すれば良いのか。国際世論や国連にも訴えても、イスラエルが聞き容れなけれ
ば何にも成らない。
入植者もイスラエル政府と同類ではないか。北鮮の様に国民が情報遮断され
て居らず、自分等の住む土地がバレスチナ人の血で染まった事を知らぬ訳が無
い。入植の正当性を考えずには済まされず、紛れも無い「共犯者」である。
それでも婦女子の巻き添えは如何と言うかも知れないが、別の抵抗手段がある
のかと言いたい。他から自爆テロと言われる抵抗運動も、決して婦女子を攻撃
するのが目的ではなく、不本意ながらの巻き添えに過ぎない。自分達が奪われ
た土地で繁栄し、時には嫌がらせまでする「一般市民」は決して善意の第三者
ではない。単純に「巻き添えに成った子供が不憫」としか言い様が無い。