元国連事務次長の明石康等が提言した支援策が出された。福田官房長官の私
的諮問機関の「国際平和協力懇談会」が18日に、小泉首相に提出したものが
それだ。国連決議で派遣される多国籍軍の後方支援が目的で、内容はPKO5
原則の適用緩和も要求している。右傾化した風潮を考慮せぬのか、或いは迎合
するかの内容に軽薄な内容との見方もある。首相や外相の蒟蒻答弁から推すま
でも無く、政府は既にイラク攻撃や「占領後」の対米支援は既定のものとして
いる筈だ。
報告書では平和維持活動に他先進国と比して、規模や展開能力に大きな差が
ある事が国際社会の現状にそぐわぬので、多国籍軍支援で迅速且つ柔軟な参加
が必要としている。しかし、これは現在も将来も政府方針を踏み越える面があ
るし第一、小泉政権には明石氏らが期待する様な中長期的課題に取り組む余裕
はない。米国のイラク攻撃を支援する為の論拠や、対米追従路線に利用するの
が精々だと朝日新聞辺りは言う。そうで無くとも内容が諸外国、特に米国を意
識した「日本を良く評価して下さい」との良い子振りっ子アピールに過ぎる。
小沢一郎が過日の報道番組で実に適切な発言をした。「簡単に後方支援と言
うが、戦争に後方も前線もありません。」、「後方支援は即ち、参戦すると云
う事なのですよ。」と実に明快な発言だった。言葉を弄び摩り替えと誤魔化し
で、戦争を語る無く在れと云う事なのだろう。小沢一郎の人品は兎も角、発言
は至極まともなものだ。
「国際平和協力懇談会報告書の要旨」はここに格納したが、私が感じた問題
点を書き出してみたい。先ず、第1部の「国際平和協力の理念と枠組み」と第
2部「現状と課題」では、先に述べた「新しい形での世界に伍する」国際平和
協力を国民にも課している。そして「第3部提言」で具体的な内容に言及して
いる。主なものを列挙し、検証して見たい。
AとBでは文民警察の業務を警察庁の正式業務とし、新たな業務の追加も提
言している。法律上も明確化を求めている。PKO参加5原則に捕らわれない
拡大解釈や、「独自の解釈」を主張する様な言い回しだ。自衛隊法改正にまで
言及するのは、御先走りと言うよりはパラノイア(偏執病)か。
CからGではNGO等の民間組織の更なる活用に言及、ODAの効果的運用
も言っている。此所でも「法の整備」を繰り返しているが、此所は新聞に代弁
して貰う。・・・「国連決議があっても、集団的自衛権の行使におよぶ可能性
のある多国籍軍への協力は行ってはならない。法制度を整えるには国民の合意
が必要だ。」・・・と云う事である。HからJまでは当然の事だ。
「国際平和協力懇談会」会員名簿と「PKO参加5原則」を下に示す。
PKO参加5原則
@停戦の合意が存在している
A受け入れ国などの合意が存在している
B中立性を保って活動する
C以上三つの条件のいずれかが満たされなくなった場
合には、一時業務を中断し、短期間のうちに回復しな
い場合には派遣を終了