三国干渉
(一)独露仏三公使来省別々に面会せり其要求は金州半島を日本が永
久所有することは支那の都を危ふし朝鮮の独立を有名無実となす故此
条件を撤回することを勧告すと云ふにあり三通の覚書は直に電送すれ
とも長文なる故先つ概略を報す三公使共に至急の返答を望めり
(二)露国公使よりの勧告覚書
露国皇帝陛下の政府は日本より清国に向て求めたる媾和条件を査閲
するに其要求に係る遼東半島を日本にて所有することは常に清国の都
を危ふするのみならす之と同時に朝鮮国の独立を有名無実となすもの
にして右は将来永く極東永久の平和に対し障害を与ふるものと認む随
て露国政府は日本国皇帝陛下の政府に向て重て其誠実なる友誼を表せ
んか為め茲に日本国政府に勧告するに遼東半島を確然領有することを
放棄すへきことを以てす
〈日本外交年表竝主要文書〉
【三国干渉】
一八九五年(明治二八)日清講和条約(下関条約)締結後、ロシア・フラ
ンス・ドイツの三国が日本に干渉を加え、条約によって得た遼東半
島を還付させた事件
【日満議定書】
一九三二年(昭和七)に新京(長春)で日本の満州国承認に伴って締結された条約。
満州国はその領域内において日本が有する一切の権益を確認尊重すべきこと、両国は
共同防衛のため日本軍の満州駐屯を認めることなどを協定。
日本国は満洲国か其の住民の意思に基きて自由に成立し独立の一国家を成すに至りた
る事実を確認したるに因り満洲国は中華民国の有する国際約定は満洲国に適用し得へ
き限り之を尊重すへきことを宣言せるに因り日本国政府及満洲国政府は日満両国間の
善隣の関係を永遠に鞏固にし互に其の領土権を尊重し東洋の平和を確保せんか為左の
如く協定せり
一、満洲国は将来日満両国間に別段の約定を締結せさる限り満洲国領域内に於て日本
国又は日本国臣民か従来の日支間の条約、協定其の他の取極及公私の契約に依り有す
る一切の権利利益を確認尊重すへし
二、日本国及満洲国は締約国の一方の領土及治安に対する一切の脅威は同時に締約国
の他方の安寧及存立に対する脅威たるの事実を確認し両国共同して国家の防衛に当る
へきことを約す之か為所要の日本国軍は満洲国内に駐屯するものとす
本議定書は署名の日より効力を生すへし(1932年9月15日調印)
〈日本外交年表竝主要文書〉
韓国併合条約 頁目次へ
朝鮮支配を企図した日本が、一九○四年以降韓国の内政・外交権を次第に掌握した
末、一○年八月に日韓併合条約により韓国を領有したこと。
第1条 韓国皇帝陛下は、韓国全部に関する一切の統治権を完全且永久に日本国皇帝
陛下に譲与す。
第2条 日本国皇帝陛下は前条に掲げたる譲与を受諾し且全然韓国を日本帝国に併合
することを承諾す。
第6条 日本国政府は、前記併合の結果として全然韓国の施政を担任し、同地に施行
する法規を遵守する韓人の身体及財産に対し十分なる保護を与へ且其の福利の増進を
図るべし。
第7条 日本国政府は、誠意忠実に新制度を尊重する韓人にして相当の資格ある者を
事情の許す限り韓国に於ける帝国官吏に登用すべし。
〈日本外交年表竝主要文書〉
【三国同盟】 頁目次へ
ドイツ・オーストリア・イタリア三国間に結ばれた秘密軍事同盟。一八八二年成立。
一九一五年イタリアによって廃棄。
日本・ドイツ・イタリア三国間に結ばれた同盟。一九四○年成立。
第一条 日本国は独逸国及伊太利国の欧洲に於ける新秩序建設に関し指導的地位を認
め且之を尊重す
第二条 独逸国及伊太利国は日本国の大東亜に於ける新秩序建設に関し指導的地位を
認め且之を尊重す
第三条 日本国、独逸国及伊太利国は前記の方針に基く努力に付相互に協力すへきこ
とを約す更に三締約国中何れかの一国か現に欧洲戦争又は日支紛争に参入し居らさる
一国に依て攻撃せられたるときは三国は有らゆる政治的、経済的及軍事的方法に依り
相互に援助すへきことを約す
第四条 本条約実施の為各日本国政府、独逸国政府及伊太利国政府に依り任命せらる
へき委員より成る混合専門委員会は遅滞なく開催せらるへきものとす
第五条 日本国、独逸国及伊太利国は前記諸条項か三締約国の各と「ソヴィエト」聯
邦との間に現存する政治的状態に何等の影響をも及ほささるものなることを確認す
(下略)
(1940年9月27日調印)
〈日本外交年表竝主要文書〉
【ポツダム宣言】 頁目次へ
一九四五年七月二六日、ポツダムにおいてアメリカ合衆国・中華民国・イギリス(後
にソ連が参加)が日本に対して発した共同宣言。戦争終結、日本の降伏条件を定めて
発表したもので、軍国主義的指導勢力の除去、戦争犯罪人の厳罰、連合国による占領、
日本領土の局限、日本の徹底的民主化などを規定。日本ははじめこれを無視したが、
原子爆弾の投下、ソ連の参戦により同年八月一四日受諾して、太平洋戦争が終了。
一 吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート、ブリテン」国総理大臣は吾
等の数億の国民を代表し協議の上日本国に対し今次の戦争を終結するの機会を与ふる
ことに意見一致せり
二 合衆国、英帝国及中華民国の巨大なる陸、海、空軍は西方より自国の陸軍及空軍
に依る数倍の増強を受け日本国に対し最後的打撃を加ふるの態勢を整へたり右軍事力
は日本国が抵抗を終止するに至る迄同国に対し戦争を遂行するの一切の聯合国の決意
に依り支持せられ且鼓舞せられ居るものなり
三 蹶起せる世界の自由なる人民の力に対する「ドイツ」国の無益且無意義なる抵抗
の結果は日本国国民に対する先例を極めて明白に示すものなり現在日本国に対し集結
しつつある力は抵抗する「ナチス」に対し適用せられたる場合に於て全「ドイツ」国
人民の土地、産業及生活様式を必然的に荒廃に帰せしめたる力に比し測り知れざる程
更に強大なるものなり
吾等の決意に支持せらるる吾等の軍事力の最高度の使用は日本国軍隊の不可避且完
全なる壊滅を意味すべく又同様必然的に日本国本土の完全なる破壊を意味すべし
四 無分別なる打算に依り日本帝国を滅亡の淵に陥れたる我儘なる軍国主義的助言者
に依り日本国が引続き統御せらるべきか又は理性の経路を日本国が履むべきかを日本
国が決定すべき時期は到来せり
五 吾等の条件は左の如し
吾等は右条件より離脱することなかるべし右に代る条件存在せず吾等は遅延を認むる
を得ず
六 吾等は無責任なる軍国主義が世界より駆逐せらるるに至る迄は平和、安全及正義
の新秩序が生じ得ざることを主張するものなるを以て日本国国民を欺瞞し之をして世
界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は永久に除去せられざるべ
からず
七 右の如き新秩序が建設せられ且日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることの確
証あるに至る迄は聯合国の指定すべき日本国領域内の諸地点は吾等の茲に指示する基
本的目的の達成を確保する為占領せらるべし
八 「カイロ」宣言の条項は履行せらるべく又日本国の主権は本州、北海道、九州及
四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし
九 日本国軍隊は完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し平和的且生産的
の生活を営むの機会を得しめらるべし
十 吾等は日本人を民族として奴隷化せんとし又は国民として滅亡せしめんとするの
意図を有するものに非ざるも吾等の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対し
ては厳重なる処罰加へらるべし日本国政府は日本国国民の間に於ける民主主義的傾向
の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし言論、宗教及思想の自由並に基本的人権
の尊重は確立せらるべし
十一 日本国は其の経済を支持し且公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き
産業を維持することを許さるべし但し日本国をして戦争の為再軍備を為すことを得し
むるが如き産業は此の限に在らず右目的の為原料の入手(其の支配とは之を区別す)
を許さるべし日本国は将来世界貿易関係への参加を許さるべし
十二 前記諸目的が達成せられ且日本国国民の自由に表明せる意思に従ひ平和的傾向
を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては聯合国の占領軍は直に日本国より撤収
せらるべし
十三 吾等は日本国政府が直に全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し且右行動に於ける
同政府の誠意に付適当且充分なる保障を提供せんことを同政府に対し要求す右以外の
日本国の選択は迅速且完全なる壊滅あるのみとす(1945年7月26日)
〈条約集〉
下関条約 頁目次へ
日清講和条約(1895年4月17日調印、20日批准)
第一条 清国は朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国たることを確認す因て右独立自主
を損害すへき朝鮮国より清国に対する貢献典礼等は将来全く之を廃止すへし
第二条 清国は左記の土地の主権並に該地方に在る城塁、兵器製造所及官有物を永遠
日本国に割与す
一 左の経界内に在る奉天省南部の地
鴨緑江口より該江を溯り安平河口に至り該河口より鳳凰城、海城、営口に亘り遼河口
に至る折線以南の地併せて前記の各城市を包含す而して遼河を以て界とする処は該河
の中央を以て経界とすることと知るへし
遼東湾東岸及黄海北岸に在て奉天省に属する諸島嶼
二 台湾全島及其の附属諸島嶼
三 澎湖列島即英国「グリーンウィチ」東経百十九度乃至百二十度及北緯二十三度乃
至二十四度の間に在る諸島嶼
第四条 清国は軍費賠償金として庫平銀二億両を日本国に支払ふへきことを約す
右金額は都合八回に分ち初回及次回には毎回五千万両を支払ふへし而して初回の払込
は本約批准交換後六箇月以内に次回の払込は本約批准交換後十二箇月以内に於てすへ
し
残りの金額は六箇年賦に分ち其の第一次は本約批准交換後二箇年以内に其の第二次は
本約批准交換後三箇年以内に其の第三次は本約批准交換後四箇年以内に其の第四次は
本約批准交換後五箇年以内に其の第五次は本約批准交換後六箇年以内に其の第六次は
本約批准交換後七箇年以内に支払ふへし(下略)
〈日本外交年表竝主要文書〉
【日ソ中立条約】 頁目次へ
一九四一年四月、日本とソ連との間に締結された中立条約。有効期間は五年であっ
たが、四五年四月ソ連は不延長を通告し、八月対日参戦して破棄された。
第一条 両締約国は両国間に平和及友好の関係を維持し且相互に他方締約国の領土の
保全及不可侵を尊重すべきことを約す
第二条 締約国の一方が一又は二以上の第三国よりの軍事行動の対象と為る場合には
他方締約国は該紛争の全期間中中立を守るべし
第三条 本条約は両締約国に於て其の批准を了したる日より実施せらるべく且五年の
期間効力を有すべし両締約国の何れの一方も右期間満了の一年前に本条約の廃棄を通
告せざるときは本条約は次の五年間自働的に延長せられたるものと認めらるべし
右証拠として各全権委員は日本語及露西亜語を以てせる本条約二通に署名調印せり
昭和十六年四月十三日即ち千九百四十一年四月十三日「モスコー」に於て之を作成す
松岡洋右(印)
建川美次(印)
ヴエー、モーロトフ(印)
〈日本外交年表竝主要文書〉
【対日講和条約】 頁目次へ
第二次世界大戦の終結と国交回復について日本と連合国との間に結ばれた条約。
一九五一年九月サン‐フランシスコで調印、翌年四月二八日発効。
「和解と信頼の条約」と謳われたが、米ソ対立を背景に日米安全保障条約が同時に調
印されたことなどによって、連合国五五ヵ国のうち初め四八ヵ国だけが参加し、全面
講和は成らなかった。のち中国国民政府(台湾)・インド・ビルマなどとも条約調印。
サン‐フランシスコ平和条約。
日本国との平和条約 1951(昭和26)年9月8日、サンフランシスコで調印
1951年11月28日、日本国批准書寄託 1952(昭和27)年4月28日、午後10時
30分発効
連合国及び日本国は、両者の関係が、今後、共通の福祉を増進し且つ国際の平和及
び安全を維持するために主権を有する対等のものとして友好的な連携の下に協力する
国家の間の関係でなければならないことを決意し、よって、両者の間の戦争状態の存
在の結果として今なお未決である問題を解決する平和条約を締結することを希望する
ので、日本国としては、国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章
の原則を遵守し、世界人権宣言の目的を実現するために努力し、国際連合憲章第55
条及び第56条に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によって作られはじめた安
定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力し、並びに公私の貿易及び通商に
おいて国際的に承認された公正な慣行に従う意思を宣言するので、連合国は、前項に
掲げた日本国の意思を歓迎するので、よって、連合国及び日本国は、この平和条約を
締結することに決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。
これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた
後、次の規定を協定した。
第一章 平和
第一条〔戦争の終了・主権の承認〕
(a)日本国と各連合国との間の戦争状態は、第二十三条の定めるところによりこの
条約が日本国と当該連合国との間に効力を生ずる日に終了する。
(b)連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認する。
第二章 領域
第二条〔領土権の放棄〕
(a)日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対
するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(b)日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄す
る。
(c)日本国は、千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果
として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権
原及び請求権を放棄する。
(d)日本国は、国際連盟の委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権
を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあった太平洋の諸島に信託統治制度
を及ぼす1947年4月2日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。
(e)日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地
域のいずれの部分に対する権利もしくは権原又はいずれの部分に関する利益について
も、すべての請求権を放棄する。
(f)日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放
棄する。(下略)
【カイロ宣言】 頁目次へ
(Cairo Declaration) 一九四三年一一月、ルーズヴェルト米国大統領・チャーチル英
国首相・蒋介石中国主席がカイロにおいて会談し発表した宣言。
日本に対して無条件降伏を要求し、降伏後の日本の領土決定、朝鮮の独立などの重要
事項を含み、ポツダム宣言の基礎となった。
「ローズヴェルト」大統領、蒋介石大元帥及「チァーチル」総理大臣ハ各自ノ軍事及
外交顧問ト共ニ北「アフリカ」に於て会議を終了し左の一般的声明発せられたり
「各軍事使節は日本国に対する将来の軍事行動を協定せり
三大同盟国は海路、陸路及空路に依り其の野蛮なる敵国に対し仮借なき弾圧を加ふる
の決意を表明せり右弾圧は既に増大しつつあり
三大同盟国は日本国の侵略を制止し且之を罰する為今次の戦争を為しつつあるものな
り右同盟国は自国の為に何等の利得をも欲求するものに非ず又領土拡張の何等の念を
も有するものに非ず
右同盟国の目的は日本国より千九百十四年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国
が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及
膨湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに
在り
日本国は又暴力及貪欲に依り日本国が略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし
前記三大国は朝鮮の人民の奴隷状態に留意し軈て朝鮮を自由且独立のものたらしむる
の決意を有す
右の目的を以て右三同盟国は同盟諸国中日本国と交戦中なる諸国と協調し日本国の無
条件降伏を齎すに必要なる重大且長期の行動を続行すべし」(1943年11月27日)
〈条約集〉
【ヤルタ秘密協定】 頁目次へ
ヤルタ会談で結ばれた対日秘密協定。翌一九四六年二月に発表。ドイツ降伏後三ヵ
月以内にソ連が対日戦争に参加することを条件として、南サハリン(樺太)・千島列島
のソ連への引渡し、中国の満州における完全な主権の確認などを決めた。
三大国即ち「ソヴィエト」聯邦、「アメリカ」合衆国及英国の指導者は「ドイツ」
国が降伏し且「ヨーロッパ」に於ける戦争が終結したる後二月又は三月を経て「ソヴ
ィエト」聯邦が左の条件に依り聯合国に与して日本国に対する戦争に参加すべきこと
を協定せり
一 外蒙古(蒙古人民共和国)の現状は維持せらるべし
二 千九百四年の日本国の背信的攻撃に依り侵害せられたる「ロシア」国の旧権利は
左の如く回復せらるべし
(甲) 樺太の南部及之に隣接する一切の島嶼は「ソヴィエト」聯邦に返還せらるべ
し
(乙) 大連商港に於ける「ソヴィエト」聯邦の優先的利益は之を擁護し該港は国際
化せらるべく又「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦の海軍基地としての旅順口の租借
権は回復せらるべし
(丙) 東清鉄道及大連に出口を供与する南満州鉄道は中「ソ」合弁会社の設立に依
り共同に運営せらるべし但し「ソヴィエト」聯邦の優先的利益は保障せられ又中華民
国は満洲に於ける完全なる主権を保有するものとす
三 千島列島は「ソヴィエト」聯邦に引渡さるべし
前記の外蒙古並に港湾及鉄道に関する協定は蒋介石総帥の同意を要するものとす大統
領は「スターリン」元帥よりの通知に依り右同意を得る為措置を執るものとす
三大国の首班は「ソヴィエト」聯邦の右要求が日本国の敗北したる後に於て確実に満
足せしめらるべきことを協定せり
「ソヴィエト」聯邦は中華民国を日本国の覊絆より解放する目的を以て自己の軍隊に
依り之に援助を与ふる為「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦中華民国間友好同盟条約
を中華民国国民政府と締結する用意あることを表明す(1945年2月11日)
〈条約集〉
【日米安全保障条約】 頁目次へ
一九五一年九月サンフランシスコにおける講和条約調印と同時に日米間に締結され
た条約。講和後も米軍が安全保障のため日本に駐留し、また基地を設定することを定
め、さらに六○年に改定し軍事行動に関して両国の事前協議制等を新たに定めた。
略称、安保条約。
(一)旧安保条約〔1951(昭和26)年9月8日調印、52年4月28日発効〕
第一条 平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及
び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆
国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、
並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国に
おける大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与
えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために
使用することができる。
第三条 アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件
は、両政府間の行政協定で決定する。
第四条 この条約は、国際連合又は其の他による日本区域における国際の平和と安全
の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の
安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつで
も効力を失うものとする。
(二)新安保条約〔1960(昭和35)年1月19日調印、6月23日発効〕
日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強
化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済
的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対す
る信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願
望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有
していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心
を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よつて、
次のとおり協定する。
第一条 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することの
ある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないよ
うに解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、
いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立
しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の
任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎を
なす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することに
よつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際
経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進す
る。
第三条 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互
援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件
として、維持し発展させる。
第四条 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極
東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方
の締約国の要請により協議する。
第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する
武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上
の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。(下
略)
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄
与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び
区域を使用することを許される。
〈六法全書〉
【ヴェルサイユ条約】 頁目次へ
一九一九年六月、第一次大戦の戦後処理のため連合国側とドイツとの間にヴェルサ
イユで調印された講和条約。国際連盟規約およびドイツの領土・賠償・軍備問題など
に関する諸条項を含む。
第4編第2款 支那国
第128 条 独逸国は1901年9月7日北京に於て署名したる最終議定書の規定並び
に之を補足する一切の附属書、公文及び文書より生ずる利益及び特権を総て支那国の
為に放棄す独逸国は又議定書に基く1917年3月14日以後の償金請求権を支那国の
為に放棄す
第129 条 締約国は本条約実施後各自国の関する限り左の協定を適用すべし
1.支那新関税率に関する1902年8月29日の協定
2.黄浦江に関する1905年9月27日の協定及び1912年4月4日の追加仮協定
但し支那国は前記協定に依り独逸国に許与したる利益又は特権を今後独逸国に認む
るの義務なし
第130 条 独逸国は天津及び漢口に在る独逸専管居留地、其他支那国領土内に存在
し又は存在することあるべき独逸国政府所属の一切の建築物、埠頭及び 船、兵営、
堡塁、兵器及び軍需品、各種艦船、無線電信設備其の他の公財産を支那国に譲渡す。
但し本編第8款の規定の適用を妨げず
外交官又は領事官の住宅又は事務所に使用したる土地建物は之を前記譲渡物件中に包
含せず。又支那国政府は1901年9月7日の最終議定書の本条約実施当時の当事国た
る列国の外交代表者の同意あるに非ざれば所謂北京公使館区域内に在る独逸の公私財
産の処分に付何等の処置を執ることを得ず
第131 条 独逸国は1900年1901年に於て其の軍隊が支那国より搬去したる天文機
械の全部を本条約実施後12月以内に支那国に還付し且つ該機械の取外、荷造、運搬、
保険及び北京に於ける据附等該機械の還付実行の為要すべき一切の費用を支弁するこ
とを約す
第132 条 独逸国は支那国より取得し漢口及び天津に於て独逸専管居留地を現に保
有するの基礎たる租地権の失効に同意す
支那国は前記地域に於て其主権の完全なる行使を回復すると共に各国人の居住及通商
の為之を開放するの意志を声明す。尚支那国は前記専管居留地を現に保有するの基礎
たる租地権の失効が其の専管居留地内に於ける地区の保有者たる同盟及び連合国国民
の財産権に影響なかるべきことを声明す
第133 条 独逸国は支那国に於ける独逸国民の抑留及び送還に因り生ずる支那国政
府又は同盟国若は連合国政府に対する一切の請求を放棄す。
尚独逸国は1917年8月14日以後支那国に於ける独逸船舶の拿捕及び捕獲又は独逸
の財産、権利及び利益に対する清算、保管若は管理に因り生ずる一切の請求を放棄す。
但し清算残高に対する利害関係人の権利は第10編(経済条項)の規定の適用を受く
べきものにして本条の規定は其の権利に影響することなかるべし
第134 条 独逸国は広東沙面に於ける英吉利専管居留地内に在る独逸国有財産を大
ぶりてん国政府の為に放棄し、又上海に於ける仏蘭西専管居留地内に在る独逸学校の
財産を仏蘭西、支那国両政府の為に放棄す
第4編第8款 山東
第156 条 独逸国は1898年3月6日独逸国と支那国との間に締結したる条約及び
山東省に関する他の一切の協定に依り取得したる権利、権原及び特権の全部殊に膠州
湾地域、鉄道、鉱山及び海底電線に関するものを日本国の為に放棄す
青島済南府間の鉄道(其の支線を含み並びに各種の附属財産、停車場、工場、固定物
件及び車輌、鉱山、鉱業用設備及び材料を包含す)に関する一切の独逸国の権利は之
に附帯する一切の権利及び特権と共に日本国之を取得保持す
青島上海間及び青島芝罘間の独逸国有海底電信線は之に附帯する一切の権利、特権及
び財産と共に無償且無条件にて日本国之を取得す
第157 条 膠州湾地域内に於ける独逸国有の動産及び不動産並びに該地域に関し独
逸国が直接又は間接に施設若は改良を為し又は費用を負担したる為其主張し得べき一
切の権利は無償且つ無条件にて日本国之を取得保持す
第158 条 独逸国は膠州湾地域の民政、軍政、財政、司法其の他に関する記録、登
録簿、図書、証書其他各種の文書を其の所在の如何に拘らず、本条約実施後3月以内
に日本国に引渡すべし
独逸国は前2条に規定したる権利、権原又は特権に関する一切の条約、協定又は取極
に付其詳細を前記期間内に日本国に通告すべし
〈日本外交年表竝主要文書〉
【日英同盟】 頁目次へ
一九○二年(明治三五)日本とイギリスとの間に締結された同盟。軍事義務を伴う。
ロシアのアジア進出の牽制を目的とし、日露戦争で日本に有利な役割を果した。
一九○五年および一一年に改定。二二年廃棄。
第一条 両締約国は相互に清国及韓国の独立を承認したるを以て該二国孰れに於ても
全然侵略的趨向に制せらるることなきを声明す然れとも両締約国の特別なる利益に鑑
み即ち其利益たる大不列顛(ダイブリテン)国に取りては主として清国に関し又日本国に取
りては其清国に於て有する利益に加ふるに韓国に於て政治上竝に商業上及工業上格段
に利益を有するを以て両締約国は若し右等利益にして列国の侵略的行動に因り若くは
清国又は韓国に於て両締約国孰れか其臣民の生命及財産を保護する為め干渉を要すへ
き騒動の発生に因りて侵迫せられたる場合には両締約国孰れも該利益を擁護する為め
必要欠くへからさる措置を執り得へきことを承認す
第二条 若し日本国又は大不列顛国の一方か上記各自の利益を防護する上に於て列国
と戦端を開くに至りたる時は他の一方の締約国は厳正中立を守り併せて其同盟国に対
して他国か交戦に加はるを妨くることに努むへし
第三条 上記の場合に於て若し他の一国又は数国か該同盟国に対して交戦に加はる時
は他の締約国は来りて援助を与へ協同戦闘に当るへし講和も亦該同盟国と相互合意の
上に於て之を為すへし
〈日本外交年表竝主要文書〉