国際平和協力懇談会報告書の要旨

国際平和協力懇談会が、18日に公表した報告書の要旨は次の通り
2002年12月22日

第1部 国際平和協力の理念と枠組み
 国連中心の伝統的な平和維持活動(PKO)だけでは世界の平和と安全の維
持に十分でなく、脆弱(ぜいじゃく)な停戦をより持続的な平和に移行させ、
内戦で荒廃した社会を安定したものに復活させることが必要だ。

第2部 現状と課題
 10年前のカンボジアPKO参加以来、我が国の国際平和協力分野での活動
は徐々に拡大してきているが、他の先進諸国に比べると、規模や展開能力に大
きな落差がある。それを縮めるべく国民的な努力が望まれる。


第3部提言

 @国際平和協力は紛争予防から平和構築、復興開発支援に至るまでの包括的
なアプローチ。機動的かつ間隙(かんげき)のない形で行われるよう、政府は
組織体制の整備・充実を図る。関係省庁は国際協力事業団(JICA)や非政
府組織(NGO)などと協力強化。

 A文民警察が行う国際平和協力業務を警察庁の責務として法律上明確に根拠
づけ、警察官隊を警察房に設け派遣を目指す。警察官の実務能力を踏まえ、国
際平和協力法や警察法を改正し、新たな業務の付加を目指す。

 BPKO参加5原則の要件が満たされなくても、例えぱ国連安全保障理事会
決議で参加可能とする。国際基準を踏まえ、警護任務や武器使用を可能とし、
国際平和協力業務を、現行の限定列挙から、禁止事項の列挙へ変更。人道救援
活動や選挙監視活動に参加する文民専門家は、PKO参加5原則の適用範囲か
ら除外する。自衛隊法を改正し即応性の高い部隊を準備する。

 C国連決議で派遣される多国籍軍への協力についてー般的な法整備の検討を
開始する。武装解除や治安維持に役割を果たす軍事部門に支援が可能となるよ
う予算の仕組みを検討する。

 D紛争予防、平和構築、復興開発支援等の各段階でODA(政府の途上国援
助)を積極的に活用する。

 E緊急人道支援から本格的復興支援までギャップのない支援のため、緊急支援
調査や日本NGO支援無償資金協力のスキームをー層活用する。

 FJICAや非営利組織等の事業・スキームを活用し、軍門的な人材養成・研
修、リクルート・派通をより包括的かつ効率的に行うため、政府・民間一体の
有機的なメカニズムを創設。大学教員の派遣支援体制を整備する。

 G国際平和協力に意欲を持つ人が国際平和協力分野の活動に参加しやすいよう
に、出向・休職・ボランティア休暇などの制度普及や強力的運用の促進を図る。

 H国際平和協力を行う組織は、安全問題の担当者を指名・配置し、マニュアル
整備、通信や避難の輸送手段確保、衛生管理・医療など支援機能の確保、危機
回避のための研修の充実を図る。

 I国際平和協力に従事するNGOに対し、運営の安定化、国内外での研修など
専門的な人材の養成、調査研究の充実等が図られるよう政府の各種支援を強化
する。

 J我が国の果たすべき役割と責務、国際社会の期待感等について、国民各層の
理解を深め、広範で積極的な参加ができるようにする。