日本政府の提唱、実践する憲法無視

 海上自衛隊の前身である、「海上警備隊」創設に纏わるNHK特集を見た。
これを基にした記事を小頁に書いたが、番組を二度三度と繰り返し見る内に、
日本の現状と将来に幾つかの怒りを覚えた。一体、世界に誇る平和憲法とは何
のか。何処を如何読めば軍隊が持てるのだろうか。自衛隊は軍隊ではないのか
等々、如何しても米国支援だの個別的自衛権だのに結び付かない。実社会では
小泉首相や政府が、ネットでも軍事マニアやアマチュアが、したり顔で合憲論
を述べている。

 政府の説明では海外派兵などは憲法解釈で問題無しと言うが、この場合の解
釈とは都合良く曲解すると云う事に他ならない。中曽根辺りは新憲法をマック
憲法と言い、ネットでは「あれは米国の高校生が一週間で考えたもの」と犬儒
的に垂れている。私は九条を改憲して国軍を持ち、日米安保を解消して国連で
の安全保障に代える事を願っている。九条は理想的な条文ながら、現実離れし
過ぎた空中楼閣の設計図と断ずる。しかしながら現状の米国盲従や、苦しい解
釈での自衛隊合法論は認められないと考える。

 警察予備隊(陸上自衛隊)にせよ海上警備隊(海上自衛隊)にせよ、米国の
野望と売国的な我が国政治家の共同作品に過ぎない。米国監修の憲法九条によ
って交戦権と軍備を放棄させられたのに、終戦直後から再軍備計画とその実施
が始まっている。これでは良くある、一旦会社を倒産させて後に、交代した新
経営陣が再編する手法と変わらない。変わったのは鬼畜米英が米国隷従に成っ
た点だろう。

 護憲派や改憲無用論と言われる人々の中には、日米安保と駐留米軍の存在を
無視して国防を考える者も多い。現実に感じる危機感が希薄とか、戦後半世紀
以上も平和だったとの理屈だ。実際には日本の防衛は米軍が担っており、補助
として海上保安庁と自衛隊がある。駐留米軍の真の目的は日本の監視であり、
アジアの派兵に際して日本が絶好の地政学的位置に在るからだ。総合的に観て
日米安保が本当に有り難いものか、我が国の国際的な発言力は如何にも向上し
ないのか、じっくり考えてみても良いのではないか。

 もう一度言うが、自衛隊の存在そのものが憲法に反している。よって自衛隊
の海外派遣はおろか、諸々の自衛隊利用が許されないのだ。しかし米国隷従型
では無い平和維持活動はするべきだから、その為にも国軍とその活用を可能と
する途を模索すべきだ。改憲論の前、或いは最中に真の「有事」は起こり得る
が、他国の都合や戦争マニアの云う有事で、超法規的措置や憲法解釈をされて
は敵わない。これまでの有事や支援、国際協力には、法を曲げてまで我が国が
動く必要のあった事例は少ない。

 最後に「我が国は先の大戦以降、戦争をしなかった」と言う者が居るが、朝
鮮動乱とベトナム戦争で立派に参戦している。別項で述べた様な「終戦五年後
の戦時召集令状」や、北鮮での掃海やベトナムでの輸送がそうだが、軍需物資
の調達と後方支援と云う形で日本は参戦した。


【日本国憲法】

第二次大戦の敗戦後、大日本帝国憲法を全面的に改正した憲法。一九四六年一
一月三日公布、翌四七年五月三日から実施。国民主権、徹底した平和主義、基
本的人権の尊重を基調とし、象徴としての天皇、国権の最高機関としての国会、
行政権の主体たる内閣の国会に対する連帯責任、戦争の放棄、基本的人権の確
立強化を目的とした国民の権利義務に関する詳細な規定、独立した新しい司法
制度、地方自治の確立などがその特色。

前 文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われら
とわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつ
て自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起るこ
とのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、
この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由
来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受
する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものであ
る。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われ
らの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷
従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と
欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはな
らないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふ
ことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であ
ると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と
目的を達成することを誓ふ。
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第2章 戦争の放棄
第9条〔戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認〕
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動
たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段とし
ては、永久にこれを放棄する。
(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国
の交戦権は、これを認めない。