睡眠時無呼吸と交通事故の関係についての報告

睡眠時無呼吸症と交通事故の関係については多くの研究報告があります。
無治療の睡眠時無呼吸症患者では交通事故の発生率が正常の数倍にのぼるが、
CPAP治療をおこなうとほぼ完全に正常化することが多くの研究で証明されています。

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交通事故の発生率についての報告


  1. Findley LJ et al: Automobile accidents involving patients with obstructive sleep apnea. Am Rev Respir Dis 1988; 138:337-40

    米国バージニア州のSAS患者29名とSASのない患者35名について、運転記録を比較、事故率はSAS患者で7倍高かった。またSAS患者とバージニア州の全運転者を比較すると、SAS患者では事故率が2.6倍高かった。

  2. Aldrich MS: Automobile accidents in patients with sleep disorders. Sleep 1989. 12:487-494

    米国ミシガン大学で検査を受けた424名の睡眠障害の患者と70名の対照群で過去の記録を調査した。SAS患者の睡眠関連の交通事故は対照群と比較して、AHI<60で1.5-2倍、AHI>60では、約3倍であった。

  3. Young T et al: Sleep-disordered breathing and motor vehicle accidents in a population-based sample of employed adults. Sleep 1997; 20:608-13

    病院を受診した患者ではなく、一般人口についの検討。米国ウィスコンシン州の913名の一般の労働者について、睡眠ポリグラフ検査をおこない、また州の交通事故のデータベースを調査した。男性では5年間での1回以上の交通事故のオッズ比は習慣性イビキ者で3.4、AHI5-15で4.2、AHI>15 で3.4であった。また5年間で複数回の交通事故についてのオッズ比はAHI>15では11.9であった。女性では関係がなかった。

  4. Teran-Santos J et al: The association between sleep apnea and the risk of traffic accidents. N Engl J Med 1999;340:847-51

    スペインの高速道路で事故を起こし救急室で治療をうけた102名の運転者と年齢、性別をマッチさせた152名の対照群での患者対照研究。AHI>10での交通事故のオッズ比は6.3であった。とくに当日飲酒した群でAHI>10の場合、オッズ比は11.2と高かった。さまざまな交絡因子を調整してもこの関係は認められた。

  5. Shiomi T et al: Falling asleep while driving and automobile accidents among patients with obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome. Psychiatry Clin Neurosci 2002; 56:333-4.

    日本での報告。448名のSAS患者のうち40名(8.9%)が5年以内に1回以上の交通事故を経験していた。AHI30以上のSASでは、AHI<5の単純性イビキ症よりも有意に交通事故率が高かった。



CPAPの治療効果についての報告




  1. Cassel W et al: Risk of traffic accidents in patients with sleep-disordered breathing: reduction with nasal CPAP. Eur Respir J 1996; 9:2606-11

    ドイツにおいてCPAP治療がおこなわれた59名のSAS患者について治療前後で検討した。交通事故率は未治療時の10万kmあたり0.8から、治療後は0.15に減少していた。

  2. Yamamoto H et al: Long-term effects nasal continuous positive airway pressure on daytime sleepiness, mood and traffic accidents in patients with obstructive sleep apnoea. Respir Med 2000;94:87-90

    日本での報告。75名の重症OSAS患者で調査に回答し、かつ日常運転をおこなう患者39名において、CPAP治療前後それぞれ2年間について比較した。治療前は13名が交通事故、32名がニアミス事故を起こしていたが、治療後は交通事故が0、ニアミスが4に減少した。

  3. Horstmann S et al: Sleepiness-related accidents in sleep apnea patients. Sleep. 2000; 23:383-9.

    スイスの156名のSAS患者と年齢‐性別をマッチさせた160名の対照群について質問紙で検討した。100万kmあたりの交通事故率は、重症SAS(AHI>34)では13.0、軽症SAS(AHI 10-34)では1.1、対照群では0.78であった。85名のSAS患者では、CPAPの施行で交通事故の発生率は1/4に低下した。

  4. Findley L et al: Treatment with nasal CPAP decreases automobile accidents in patients with sleep apnea. Am J Respir Crit Care Med 2000; 161:857-859.

    50名のSAS患者について治療前後の交通事故率について、米国コロラド州の事故記録の調査により検討した。1人1年あたりの交通事故率はコロラド州の全ドライバーの0.01にたいし、SAS患者では0.07と有意に高かったが、CPAP治療を受けた36名では治療後は0に低下した。一方CPAP治療を受けなかった14名では、診断後も事故率は0.07と高い値にとどまっていた。

  5. George CFP: Reduction in motor vehicle collisions following treatment of sleep apnoea with nasal CPAP. Thorax 2001; 56:508-512.

    SAS患者210名(AHI 54±29)と同数の対照群(年齢、性別、免許の種類を一致)についてカナダ・オンタリオの運輸省のデータベースから自動車衝突事故について調査した。年間の事故発生率は治療前3年間のSASでは0.18、対照群では0.06であったが、CPAP治療後の3年間では、事故率は0.06と正常値に改善していた。