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睡眠時無呼吸と高血圧の関連を示す最近の研究

睡眠時無呼吸症には高血圧の合併が多いが、最近その関係を明確に示す大規模な研究が相次いで発表されている。

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横断的研究

  1. F. Javier Nieto, et al: Association of Sleep-Disordered Breathing, Sleep Apnea, and Hypertension in a Large Community-Based Study
    JAMA. 2000;283:1829-1836

    6132名の一般住民で睡眠ポリグラフをおこない、高血圧との関係を調べた。性別、年齢、肥満度、体型、アルコール、タバコなどの関連する要因を除外しても、無呼吸低呼吸回数が30/時間以上の群では、1.5/時間未満の群に比較して1.37倍危険率が高かった。また夜間の低酸素が著しい群(酸素飽和度90%未満が12%以上)では夜間低酸素を認めない群に比較して高血圧の危険率が1.46倍高かった。
     
  2. E. Shahar, et al: Sleep-disordered Breathing and Cardiovascular Disease--Cross-sectional Results of the Sleep Heart Health Study
    Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2001, 163:19-25

    6424名の一般住民で睡眠ポリグラフをおこない、心臓・血管系疾患の既往歴との関係を調べた。諸因子を補正した上で、心血管系疾患の相対危険率は、無呼吸低呼吸回数1.3未満の群に比して、無呼吸低呼吸回数4.4〜11/時間で1.28倍、無呼吸低呼吸回数11/時間以上の群で1.42倍であった。その中でも特に関連が強いのは心不全と脳卒中で、それぞれ無呼吸低呼吸回数11/時間以上の群の相対危険率は、2.38倍、1.58倍であった。

  3. Peretz Lavie, et al :Obstructive sleep apnoea syndrome as a risk factor for hypertension: population study BMJ 2000;320:479-482

    睡眠クリニックを受診した2677名について、睡眠ポリグラフをおこない、その結果と高血圧の関係について調べた。重回帰分析の結果、無呼吸の回数は年齢、性別、肥満度の影響を除外しても血圧に影響しており、無呼吸の回数が一時間あたり1回増えると、高血圧の危険率が1%の割合で増加していた。

前向き研究

  1. Paul E. Peppard, et al: Prospective Study of the Association between Sleep-Disordered Breathing and Hypertension NEJM,2000 342:1378-1384

    アメリカのウィスコンシン州の公務員709名での研究で、睡眠ポリグラフで睡眠時無呼吸・低呼吸を測定し、その4年後の血圧との関係を調べた。肥満度、体型、年齢、性別、アルコール、タバコなど関連する要因を補正後の、高血圧の相対危険率は、無呼吸低呼吸指数0(回/時間)の群に対して、0.1-4.9で1.42倍、5.0-14.9で2.03倍、15以上で2.89倍でいずれも有意に高かった。

CPAP治療の血圧に対する影響


CPAPの血圧に対する効果を調べた研究がいくつか報告されています。血圧を下げる効果の度合いは研究によって違いますが、より重症の睡眠時無呼吸、酸素飽和度低下指数(ODI)が高い例、高血圧を有する例、でより明確に血圧が下がる傾向があるようです。また無呼吸が半分になる程度のCPAPでは効果が無いことが示されており、CPAPが必要な場合、毎日、朝までCPAPをつけておくことが必要なことを示しているように思われます。
  1. Pepperell JCT, Ramdassingh-Dow S, Crosthwaite N, et al.  Ambulatory blood pressure after therapeutic and subtherapeutic nasal continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnoea: a randomised parallel trial
    Lancet 2001; 359: 204-10

    OSAS患者(4%ODI>10)を有効なCPAPをする群と無効な見せ掛けだけのCPAP(1cmH2O)をする群(各群69名)に分けて1ヶ月CPAPを施行、24時間血圧を前後で比較した。有効なCPAP群では血圧は平均2.5mmHg低下したのに対し、無効CPAP群では逆に平均0.8mmHg上昇した。降圧効果は、覚醒、睡眠にかかわらず認められた。CPAPの血圧に対する効果はより重症のOSASで高く、また降圧薬使用者(各群11名)で大きかった。


  2. Faccenda JF, Mackay TW, Boon N, et al.  Randomized placebo-controlled trial of continuous positive airway pressure on blood pressure in the sleep apnea?hypopnea syndrome
    Am J Respir Crit Care Med 2001; 163:344-348

    降圧薬を服用していない正常血圧のOSAS患者(AHI≧15)に対し、4週間のCPAP治療と4週間の偽薬治療を交代に実施、24時間血圧に対する効果を比較した。全体としては偽薬期間に比較してCPAP期間で平均拡張期血圧が1.5mmHg低いことが統計学的に有意な差として認められたに過ぎなかった。サブグループの解析ではCPAP使用時間が3.5時間以上の群、4%ODIが20以上の群で降圧効果は高かった。重回帰分析では4%ODIのみが降圧効果の独立した予測因子であった。


  3. Becker HF, Jerrentrup A, Ploch T, et al. Effect of nasal continuous positive airway pressure treatment on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea.
    Circulation. 2003;107:68-73

    中等症・重症OSAS患者(65%が高血圧症合併)を、有効なCPAP治療(圧6cm-12cmH2O;無呼吸低呼吸がほぼ消失)をする群と、不完全なCPAP治療(圧3cm-4cmH2O;無呼吸低呼吸が50%減少)をする群に無作為に分けて、治療前と治療中に19時間の血圧記録を比較した。平均治療期間は9週間で、最後まで評価できたのは各群16名。その結果、有効治療群では血圧が夜間、日中とも平均10mmHg低下したのに対し、不完全治療群では血圧値は低下しなかった。著者らは、CPAPで降圧効果を得るためには完全なCPAP治療が必要なこと、またその結果得られた10mmHgの降圧は、冠動脈疾患を37%減少させ、また脳卒中を56%減少させる影響があると考察している。