「指導者たる器を持つ者」 Person of Lordly Caliber 《第1章 後ずさる事は許されず、言葉も理もないままに…》 |
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長年に渡る過酷な労働によって蓄積された下級民達の怒りは、南部辺境を視察に回っていたパラティヌス 王国第二王子ユミルの殺害計画という形で顕れる。 幸い、王子の身柄は魔獣退治に出征していた南部軍新兵によって保護され、大事には至らなかった。 なお、王子ユミルを救出した立て役者は、南部軍に配属されたばかりの士官候補生、マグナス・ ガラントである。 ユミル王子殺害計画の首謀者はガラントによって捕縛。 下級民達に対する見せしめのため公開処刑が行われ、事件は一応の決着を見る。 だが、民衆の間には「軍部がその面子のために無関係の者を処刑した」という噂が囁かれ、 実際にそれは事実だった。 一方、公開処刑の恐怖による反乱分子の沈静化という軍部の目論見は、思惑とは大きくはずれ、 失敗に終わる。 王族殺害計画未遂という名の火種は、虐げられていた下級民だけでなく、多くの平民や軍部の横暴さに 反発する上級民達にまで、その火勢を拡げていったのである……。 |