2003年3月10日        労働者の力             第 156号

全世界を席巻するイラク戦争反対の声
小泉内閣のアメリカ荷担を阻止しよう

 川端康夫


むき出しの帝国主義

 アメリカによるイラクへの攻撃のタイムリミットが設定されようとしている。ブッシュの副官であるイギリスのいわゆる妥協案なるものをめぐる国連内の駆け引きは激しい。イギリスの妥協案なるものは、三月一七日をもって、イラクの武装解除の期限とし、それが最終期日だというものである。
 三月七日の査察団の結論は、査察完了までにあと数ヶ月はかかるというものだ。この客観的な正当性を持つ報告に対して、アメリカとイギリスはなりふり構わぬ武力攻撃へのタイムリミットを設定しようとしている。国連のアナン事務総長が両派の調停に乗り出す動きを示している。その調停とはおそらく一週間と数ヶ月の間の期日設定だろう。イギリス案の一週間という設定はあまりにもめちゃくちゃだ。彼らはそもそも査察を進める意図を持っていないのだから、なんとかして武力攻撃のきっかけをつかみたいだけなのだ。
 そして彼らは日に日に高まる空前の全世界的反対運動の盛り上がりにおびえている。時日が経てば経つほど、彼らを取り巻く政治的条件は急速に悪化していく。トルコ国会の協力拒否決議は決定的であった。トルコ政権党内部からの圧倒的造反が事態の流れを変えた。イギリスのブレア政権もスペインの保守政権も空前の国内の反対運動の爆発に揺さぶられている。政権の危機は日に日々深まりつつある。イラク攻撃をいつまでも遅らせる余裕はないのだ。さもなければ彼らは、イラク攻撃断念という、最大の政治的敗北を被ることになるだろう。
 さらに安保理決議の採択に失敗した場合、彼らは単独攻撃も辞さないという姿勢をも濃厚に示している。これもまた彼らの焦りの表現だ。国連憲章第五一条は、武力行使が正当とされる場合を三つ上げている。第一は、攻撃を受けた場合、第二には緊急対応の場合、第三は安保理決議がなされた場合の三つである。そのうえ、憲章三一条は可能な限り平和的解決を目指すことを求めている。安保理決議なき武力攻撃はまさに国連憲章を逸脱している。安保理常任理事国としてのアメリカとイギリスが公然と国連憲章を踏みにじるのであれば、国連や国際協調などは空の彼方に吹っ飛んでしまう。
 アメリカのネオ・コン(ネオ・コンサバティブ、新保守主義者のこと)と呼ばれる先制攻撃論者の立場は、全世界にアメリカの軍事力を使用して、アメリカ型民主主義を押しつけることだといわれる。別の言い方では「日本モデル」ともいわれる。この日本モデルとは、第二次世界大戦において、日本を徹底的に軍事的敗北に追い込み、軍政を引いて旧体制を終わらせ、民主主義国家として「再生」させたという歴史をいう。
 アメリカがイラク攻撃の真の達成目標、あるいは戦争目的をサダム・フセイン政権の打倒においていることは周知の事実だ。彼らは反体制派を糾合することでそれに形をつけることを目指している。だから、彼らは九・一一の直後にイラク攻撃を準備し始めた時、「テロとの闘い」と称して、オサマ・ビン・ラディンとのつながりを理由に上げ、イラク攻撃の正当性を主張した。だがその後イラクとビン・ラディンの関係を示すいかなる証拠も彼らは提示できなかった。次は大量破壊兵器の脅威という問題にすり替えられた。実際上イラクのいわゆる大量破壊兵器の脅威なるものは、アメリカもイギリスも信じていない。そんなものは過去十四年の査察でほとんどは破棄され、生物化学兵器はあったとしても、使用期限をとっくに越えてしまった無用の長物である。このことはイギリス軍の現役准将がテレビインタビューで明確に語った事実である。ただアメリカは、不当なアメリカの査察圧力に反発し、査察非協力を宣言したイラク政府を攻撃するための材料として使っているにすぎない。
 ネオ・コンに指導されるアメリカ軍は、開戦の初日に決定的攻撃を加える計画と伝えられる。初日でバクダットを粉砕してしまう計画だ。これは大量の非戦闘員の犠牲なしに達成することは難しい。アメリカ民主主義を押しつけるための大量殺戮、しかもそこには世界最大級の原油資源がついてくる。テキサスの石油商人たちの後押しを受けているブッシュの役割はまさに原油の獲得にあるのである。アメリカ民主主義の押しつけなどの理屈は、石油利権獲得のイチジクの葉っぱにすぎない。
 われわれはこうした発想を帝国主義といい、それに基づく行動を侵略と呼ぶ。
 
世界の破壊対民衆
 
 アメリカのネオ・コンの発想の特徴は先ず第一に先制攻撃論、第二には軍事力による世界制覇である。この世界制覇は当然にも、世に言われる「文明の衝突」を前提とした論理に他ならない。この思想の背景には、すでに言い尽くされているように、新自由主義経済理論に基づく、資本主義のグローバライゼーションの推進の野望がある。
 こうして、ブッシュ共和党政権の下に、冷戦から脱した世界は、新たな重大な国際関係の緊張を導くに至った。まさに「危険に満ちた時代」への突入である。まさにアメリカはイギリスを副官帝国主義とし、日本をその東アジアでの役割をになうものとして、全面的な軍事力で世界の他の部分を制圧しようとしている。まさに古典的な意味でのシーパワーによる大陸の制圧の現代版といわざるを得ないのである。
 だがわれわれは反面を見落としてはならない。その第一は前述したように、史上最大規模に高まっている反戦運動である。これが各国政治に与えているインパクトの強さはすでに述べた。第二は、九・一一以降、ブッシュの政策は世界的に破綻してきていることである。いうまでもないが、それは経済にも姿を現している。アメリカでも、また日本も同じく、イラク戦争の切迫と共に急速に株価下落が進行している。アメリカ経済の不況局面への突入は明らかな事実だ。これはグリーンスパンの魔術を持ってしてもどうにもならない。もはやアメリカにおいても、「戦争は買い」にはならず、ドルはジリジリと下落を続け、ユーロとの差は逆転した。ここでも「戦争時のドル高」はもはや通じない。アメリカ資本主義の未来について、他ならぬブルジョアジー自身が確信を持てなくなっている。第三は、とりわけアルゼンチンの破綻に続く、ラテンアメリカ諸国の政治的・経済的なアメリカとの緊張の激化である。ブラジル、ヴェネズエラ、エクアドルが反新自由主義政権を相次いで樹立した。アメリカがイラク攻撃に必死になっている、その背後で、アメリカのまさに裏庭であるラテンアメリカ諸国の変動が起こっている。
 そもそもアメリカの変調はクリントン末期のシアトルWTO会議の流産にはっきり始まっていた。新自由主義のグローバライゼーションが全世界を直撃し、アフリカ大陸を始め、東アジア、ラテンアメリカなどの社会と経済が混乱し始めた。ブッシュのアメリカは、そのネオ・コン体質でもって、不安定さを増した世界に軍事力で対抗しようとする政策体系を持ち出した。まさに新自由主義の武装である。だが武力で世界全体の社会の危機、それに起因する反帝国主義の運動を食い止めることはできない。
 新自由主義は、かつてのアメリカが、マーシャルプランによってヨーロッパを、そしてマッカーサーのGHQによって日本の社会的復興を成し遂げたようなレベルの経済戦略を持ってはいない。新自由主義の戦略と性格は「略奪」である。ケインズ主義に基づいて作り上げられた戦後経済システムとは根本において性格を異にしている。要するに、アメリカ巨大資本の目には、世界経済を再組織するという展望は一つもないのだ。それ故、新自由主義の資本主義はほとんど全世界を敵に回すのである。全世界は新自由主義経済の侵入に対して、みずからの身を守らなければならないのだ。
 アメリカが軍事力を発動しようとすればするほど、世界政治は身動き取れなくなる。フランスのシラクが旧ドゴール派であることを斟酌してもヨーロッパ大陸は、世界秩序の根本に関わる問題として、アメリカの軍事力に頼った世界秩序づくりに抵抗せざるを得ない。つまり、アメリカは世界を破壊しつつあるのだ。ヨーロッパ世界から見れば、事態はそうなるのである。
 
新しい力の登場へ
 
 小泉内閣はイギリス提案を即座に支持した。東アジアにおけるまさに副官帝国主義としての面目躍如である。彼らがいうには、日米安保条約という同盟関係ということだけが理由である。かつての国連中心主義はどこかへ行ってしまった。もちろん日本国憲法もない。
 だが、日本においても、ようやく世界的レベルでの反戦闘争の高揚の流れが動き始めたようだ。三月八日の国際女性デーの世界統一行動に呼応する東京集会は、市民派や独立系労働運動、そして一部には注目すべきことに、共産党系の平和委員会も加わった、四万人を日比谷公園に結集した。
 今年に入ってからのイラク戦争反対闘争はまさに倍々ゲームを状態である。こうした流れは、おそらく今後も持続すると思われる。確実に日本における反戦闘争も、全世界的高揚の上昇気流に乗りつつある。市民派運動がこうした広がりを示したのは、実に三〇数年ぶりと言える。
 こうした流れは、確実に日本政治の基軸を変えていくと思われる。いまや日本民衆は、九〇年代の「観客民主主義」から「行動する民主主義」へと移行し始めた。九〇年代における漂流する日本政治からの脱却の動きが確実に始まることを三・八日比谷集会は確信させた。もはや久米宏をして、ロンドンは一五〇万だが東京は七〇〇〇人だと言わしめることもあるまい。
 この全世界的な、インターネット時代の申し子ともいうべき反戦闘争の空前の爆発こそ、ブッシュらのネオ・コンの思い上がりに対する真っ向からの対抗である。
 まさに、別の世界は可能だとのスローガンは世界的に明確にその中身を持ち出しているのだ。
 最後に一つ重要なことを思い起こしていただきたい。韓国の新大統領、ノムヒョンはその就任演説において、東アジア経済共同体構想を打ち上げた。これこそ、アメリカ帝国主義の副官として行動する日本の指導者には思いつかない将来展望である。次の世界をめぐる綱領的分岐が、まさに底流で闘われ始めている。日本政治の基軸の民衆的確立は、この闘いの中でしかあり得ない。「行動する民主主義」はまさに国際主義の中に展望をつかみ取らなければならない。
 アメリカとイギリスのイラクへの戦争反対!小泉内閣の戦争荷担反対!小泉を追いつめる春期大衆闘争の大爆発を全国で勝ち取ろう。(三月九日)
 
  156ヶ国10万人、「第三回世界社会フォーラム」
     新たな可能性の中に!


              
電気通信産業労働組合
                         高橋 喜一


 多くの仲間の支援によって、第三回世界社会フォーラムに参加することができました。勿論、私にとって始めての体験であり二〇〇一年一月から始まった世界社会フォーラムが、年々規模を拡大し様々なテーマを国家、人種、歴史、文化、言語を超えて討論がされてきた事に少なからず関心があったことだが「参加」するとは思っても見なかった。今回,参加するに当たって多くの方から「参加すべき」という要請、意見を頂いたけれど・・・!
 しかし、「NTT民営化問題」を世界に訴えることの必要性と、私がこの間考え、訴えてきた新自由主義グローバリズム経済と通信の公共性の破壊と言う事を考えた時に、一国における闘いではなく世界の通信労働者と結びついた運動、反グローバリズム運動の一翼としての視点と闘いが労働者の闘いの前進にとって不可欠な物ではないのかと思った。
 あまり気張らず「気楽に,気楽に!」と言ういつもの感覚が胸を持たげ「それでは、行ってまいります」と言う事に!

「感動のオープニングマーチ」(一月二十三日)
 
 日本を発っておおよそ二四時間。途中アメリカのロスアンゼルスに給油で立ち寄ったが、「顔を見ただけで腹が立つ」ブッシュの写真が空港の入口で「ウエルカム」と飾ってあったのには「ムカッ」ときた。そんなこんなで、ポルトアレグレに着きデモの出発地に急ぐ。
 いろんな国の人々が色とりどりの旗や、横断幕(残念ながら中味が判らない)を掲げてデモに参加している。前の方は、どの位の人がいるか判らないがとんでもない人数である事は確かだ(後で知ったが7万人!)。早速、一緒に言った郵政、国鉄の仲間と共に闘いの「旗」を掲げると見る間に人だかり。「漢字」で描かれた「電通労組」の旗などが非常に「珍しい」そうで、写真をとる姿があっちこっち。ついでに。記念撮影など。最後まで陽気なデモを世界各地から集まったATTACの人たちと共に参加したが、初日の興奮が最後まで続いた。

「民営化問題と公共サービス・・・ワークショップ」(一月二十四日)
 
 今日は、ワークショップの日。多少緊張もあるが、準備してきた内容を集まった人達に「NTT民営化問題と公共サービス」について報告する事が私の任務だ。NTT民営化以降の流れを簡単にスケッチすれば・・・
八五年、当時の電電公社は行政改革の流れの中で「日本電信電話株式会社(NTT)」として民営化された。民営化以降は、合理化に告ぐ合理化の嵐の中で労働者に対する攻撃が途絶えることなく展開されてきた。そして、九六年、当時の郵政省とNTTとの間に「持株会社制度を前提に分離・分割」が合意し九九年NTT再編成が行われた。持株会社、東・西地域会社、長距離会社の四分割方式によって分割される。
 二〇〇一年度から始まった「NTT東西の構造改革(三ヵ年計画)」は、政府答申をテコに「固定電話部門の赤字構造」「高コスト構造」からの脱却を図るとしてNTTとNTT労組(NTT内の最大労組)との合意のなかで十一万人リストラ攻撃として展開されている。中高年労働者(五一歳以上)を一旦退職させ賃金を最大三〇%カットし、新たに創った地域新会社(約一〇〇社)に再雇用するというNTT合理化攻撃は、日本においても類例を見ない手法であり法の網の目をかいくぐりながら綿密に組み立てられてきた脱法行為の正当化でしかない。
 国営化から民営化という道をたどってきた欧州・日本の通信企業は昨年から巨額の赤字損失が顕在化した。この背景には、WTO(世界貿易機構)によって九八年合意された「基本電気通信自由化合意」によって将来、加盟諸国が通信市場を開放すると言う流れのなかで、日本・イギリス、ドイツ、フランスの 企業の民営化が進められてきた。全面的な「自由競争」を前提に独占的・支配的事業者に規制を加える措置と、政府持株制度・外資規制撤廃を目標に掲げている。つまり一切を企業の手に委ね競争を持ち込むことによって「効率化とサービス向上になる」という考えが反映された結果だ。こうした中で、切り捨てられていくのは「公共サービス」である。国民の共有財産が大資本によって簒奪され公共サービスが切り捨てられていく状況と、労働者に対する攻撃は新自由手主義のもとでの経済のグローバル化の中で起きているということが状況認識である。
 今回は、こうした状況を簡潔に訴えた。東南アジアでもNTT資本が資本参入し、NTTと同様の労働者攻撃がなされている中でNTTを包囲する国際連帯の闘いの重要性を痛いほど感じる。私の報告を英語、ポルトガル語で同時通訳をしていただきワークショップに参加したイギリス、フランス、ブラジル、ドイツ、フランス語圏の人々に少なからず伝える事ができたと感じている。同時に、郵政・国鉄の仲間の訴えも日本の規制緩和・民営化の中で置かれている日本の公共サービスと労働者の実態を明らかにするものだった。
 当日の夕方には、ポルトアレグレでルーラブラジル大統領の五万人を集めた演説会が行われた。

とにかくいろんな所に
 
 翌日は、労働運動関連のパネルデスカtッション「完全雇用と労働の規制緩和」がギガンチーノと言うところで行われた。非常に大きな(二〇〇〇人はゆうに収容できそう)会場に圧倒されたが、労働者の参加は非常に少なかったのは残念(日本の労働者も)。韓国民主労組、CUT(ブラジル)、エクアドル、イタリアなどのパネラーが「産別労働組合の問題」や「完全雇用の問題」「尊厳のある雇用と労働機会」「テクノロジーに関するコントロール」「女性労働に対する差別」「グローバリゼーション」等の問題を様々な角度から提起していたが、日本語通訳がなされない(これも日本の運動参加の弱さだと思うが)ために、同行した通訳の方がポルトガル語通訳を一生懸命日本語に訳してくださったためにアウトラインでもメモする事ができた。
 ATTAC総会にも参加することができた。GAT、WTO、ヨーロッパ労組、G8の四つの分科会に分かれて討論する事になったが、討論の進め方の違いに驚いた。それぞれが自由に発言しそれを報告し、またわかれて討論する。対等・平等な関係の中で問題を掘り下げていく感じがすごく新鮮。
 アジアフォーラムでは、多くの民族衣装を着た人々が参加し各国が抱えている問題と提起がなされ、特にスーパーパワー(超大国アメリカのヘゲモニー)の戦争政策に対する批判と平和のための団結が訴えられた。来年の世界社会フォーラムはインド開催。より多くの日本の労働者がアジアの人々との討論交流の為に参加することを心から思う。

インターナショナル、イマージンの大合唱
 
 最後の日の全体集会は二万人以上収容できる会場で行われた。色とりどりの旗が振られ会場を埋め尽くす人々の参加の中で、イラク戦争に反対する提案、パレスチナ・イスラエル和平の提案、パネル報告の中での韓国からの「従軍慰安婦問題」の提起など。
 そして、ウエーブが何度も何度も繰り返され「インターナショナル」の大合唱、いろんな国の人が様々な言語で心を一つにできる歌。戦争が目の前に迫っている状況下でジョンレノンのイマージンが持つ大きな意味は・・・
 集会を終えて、デモに移る。「戦争 NO!」を訴えるスローガンが大きく目立つなか、私たちも元気にデモ行進。「カンタナメラ」の歌や,コールが流れるなかデモ隊は進む。陽気な南米の青年達のデモはまるで「民衆の祭り」を楽しんでいるようで見ていて気持ちがいい。
 夕闇が迫るまで興奮を味わって飲んだビールは本当に心地よかった。
簡単な報告ですが、参加して本当によかったと言う事と、得た事の多さに感謝。イラク戦争を巡り「武力行使のブッシュ、アメリカというスーパーパワーと、反戦を叫ぶ世界の民衆というスーパーパワー」がぶつかっている。「闘いをグローバル化しよう!希望をグローバル化するために!」というこのスローガンが私たちの闘いの道標!
声明
フィリピン共産党(CPP)およびその武装部隊、新人民軍(NPA)による一連の暗殺について
           
第四インターナショナル第十五回世界大会
                 

 二〇〇三年一月二十三日、ロムロ(ローリー)キンタール、NPA前最高司令官がフィリピンのケソン市において白昼暗殺された。二日後CPPとNPAのスポークスパーソンは、この民衆を裏切る卑劣な殺人行為を誇るかのように発表した。この発表は、在オランダのCPP―NPA代表、ホセ・マリア・シソンのような何人かの個人の公然たる否認の後のことであった。
 ロリー・キンタールは、CPP―NPA形成初期からのメンバーであった。九〇年代初頭、出獄後まもない彼は、フィリピンにおける革命構想のバランスシートに関しホセ・マリア・シソンがまとめあげた文書を拒絶したCPP―NPA指導者の一人であった。そして、大胆にも毛沢東スターリニスト党の公式的政治観点を否定したことにおいて、一九九四年彼は数名の同志と共に死を宣告された。
 CPP―NPAからの死の宣告以後彼は、CPP―NPAの前同志が正常な生活を送れるよう援助するいろいろな経済計画に従事してきた。彼はこの同志たちを援助するために、反動的国家の財源を最大限に利用もした。さらに彼は、さまざまな政治ブロック内の同志たちを、再編に向けた彼らの革命的計画を強化する点で援助してきた。
 彼の暗殺は、CPP―NPA指導部が計画した連続的暗殺の一部であった。そしてこの処置は彼らのスポークスパーソンによって堂々と公表された。同月内にさらに三人の前CPP―NPA活動家が暗殺された。二人はキンタール暗殺以前に、一人は彼の死後にだ。
 これ以前、さまざまな政治ブロックの何十人もの活動家たちが、CPP―NPA指導部の指示として暗殺されてきた。しかし極めて危険なことは、この勢力の中での政治的不一致が生じて以降十年以上たって今なお、この指示が遂行され続けていることである。暗殺は、CPP―NPA指導部に思い切って反対する人々に対する警告となるよう意図された。指導部との政治的論争と対立は敵対として解決するつもりだとのメッセージは明解である。
 われわれは、フィリピンの革命的組織、グループの間の政治的不一致を解決するための、この無意味で革命的とは言えない手段に関する重大な懸念を表明する。もしこの傾向が続くのであれば、そこから全面的に利益を引き出すものは反動的国家であろう。それは、新自由主義と資本主義が主導するグローバライゼーションに反対する革命的な、進歩的な運動を犠牲にして、である。
 われわれは、労働者の運動と革命的運動の隊列内部で、暴力に訴えることを常に非難してきた。それ故われわれは、CPP―NPAの計画に勇気をもって反対する人々の暗殺を弾劾する。
 われわれは世界のすべての革命的、進歩的勢力に、そのような手段への非難を明らかにし、この危険な路線を直ちに停止させるためCPP―NPAに強い圧力を加えるよう呼びかける。
 暗殺の断念というこの方向においてのみ、CPP―NPAとその指導者、ホセ・マリア・シソンは世界に対して、CPP―NPAが告発されているようなテロリスト組織ではないということを明らかにできるだろう。
 
 エクアドル
        新政府に向けた挑戦
                             フェルナンド・ロペス・ロメロ

 ルシオ・グチエレスの勝利と組織された民衆部門の役割
 
 ルシオ・グチエレス(訳注1)の勝利は、民衆運動の要求を前面に引き出したが、これは過去二〇年に亘るエクアドルの歴史的なつながりの中で分析されなければならない。一九七〇年代の軍事政権が強力に推進した輸入代替工業化計画と原油ブームが終わった八〇年代この方、エクアドルは以下のものに体系的に従うことになった。それは、対外債務の脅迫、不等価交換の深まり、ワシントンの総意という綱領的命令の下での、八〇年代遅くから続く構造調整の急進的政策だ。
 結果は破壊的となった。エクアドル経済はアンデス地域のつながりの中で弱められた。国の全地域で環境悪化の増大が起きた。失業が増大したがそこには、地方から都市への移住、土地所有の集中、そしてサービス業、食料、原油、通信のような分野における多国籍企業の存在が伴っている。公共役務の提供者、そして社会的権利の保障者としての国家の役割は最低限にまで切り縮められた。健康と教育の部門がもっとも傷つけられた部門だ。
 九〇年代に危機が深まった。九五年以来エクアドル経済は、通貨価値を引き上げる政策が生み出した深い不況から抜け出せなかった。この政策は、当時ほとんど一〇〇%にまで達する利子率を伴い、何千もの職人と小工業者を破滅させつつ、エクアドル市場を外国産品に開放した。
 金融資本好みの超新自由主義政策は、九〇年代後半の深刻な銀行危機の条件を作りだした。そしてそれが、ジャミール・マウアド新自由主義政府を打倒した、二〇〇〇年一月二十一日の軍と民衆の蜂起へと導いた。銀行の詐欺行為は何十万人もの小規模の、また平均的預金者を貧困化し、破滅させ、百五十万人以上の人々の、とくにスペインへの逃避を引き起こした。これが住民の多数の失望を深め、彼らを絶望と怒りへと動かしたのだ。
 「多元民族統一国家・一月二十一日愛国社会パチャクチク運動」は、「民主民衆運動」の支持の下、民衆運動のもっとも重要な勢力と共にあったし、今もある。この全体を構成しているものは、エクアドル先住国民連合(ONAIE)、先住民・農民・黒人組織全国連合(FENOCIN)、自由労働組合エクアドル連合(CEOLS)、全国教師組合(UNE)、農民保険諸団体、そして先住民福音派全国連合だ。これらが、政治システムと新自由主義政策に対する民衆的拒否を結びつける立候補を支持した。そしてそれは、労働者、農民、先住民、小商人、退役軍人、職人、失業者、教師、大学生、公的、私的部門被雇用者、地方、都市の小所有者からの支持を勝ち得た。
 選挙綱領はその中心要素として、腐敗した銀行よりは生産への、不正な産業よりは公正な産業への支持と、汚職と政党システムへの反対を掲げたが、アメリカ州自由貿易協定(FTAA)や対外債務のような決定的問題への明確な対応を欠いている。しかしまた今回の投票は、アルゼンチンでの危機、ブラジル、ペルー、ボリビアにおける民衆運動さらにコロンビア計画に対する懸念の反映だ。そして選挙結果は、九五年九月における私有化と政治改革をめぐる国民投票での「否認」の勝利以降起きてきた民主化闘争の継続を明らかにした。その一連の出来事は、パチャクチクの成長、九七年二月のアブダラ・ブカラム政府の打倒、九八年の憲法制定会議要求闘争、そして二〇〇〇年一月のアフマド政権の打倒だ。グチエレスへの投票はまた、無条件に軍隊の頭目に従うわけではなく、危機の中で権力の交代を理解している民衆層と先住民指導者の表現である。
 グチエレスは、エクアドル社会に軍が今も保持している影響力と権威を利用した。民族主義は、強い指導力を言い立てる国民の重要部分の意識においては一つの重要な材料なのだ。さらにこれは、憤りの投票、現にある生活条件反対の投票、政治システムへの抗議票であった。それは、国家の政治生活に今回初めて参入した都市と地方の重要な青年部分の急進化を反映している。最重要都市における意義深い得票と共にグチエレスは、周辺地域、とくに先住民農民の強いシェラの中央地域とアマゾニアで多数派の支持を得た。この勝利の性格は、ボリビアのMAS、ブラジルのPTのような、ラテンアメリカの選挙における重要な勝利と前進という枠組みの中にある。
 
 矛盾と対立の行く末

 新政府は、複雑で困難な経済的、政治的、社会的条件に直面することになる。これは相互に結びついた一組の問題だ。
 金融部門と大輸出業者、大輸入業者は新自由主義的自由貿易綱領を支持している。グチエレスの穏健な論議にもかかわらず、議会、地方政府、大企業、マスメディア、労働組合内には右翼と中道の経済界集団、政治部門がある。そしてこれらは、グチエレスを疲れさせ、彼をうち倒す闘いに乗り出す準備を整えている。
 まさに今、対外債務の重みは支えがたいものだ。その返済のためには国家収入の半分以上が必要であり、それは増大する社会的必要に取り組むことを阻害する。ドル化政策(訳注2)は、商品とサービスの国内生産のために民衆からむしろより高い価格を取り立てる。この政策は、間断なくより多く買いより少なく売る経済、内部的であれ外部的であれ生産的投資を欠く経済、そしてインフレの亢進と財政的困難を特徴とする経済の中で実施されているのだ。ドル化策は、消費財輸入部門の巨額の利得と並んで通貨主権の喪失を意味していた。見込まれたドル化の恩恵、インフレの停止、利子率低下、そして外国投資の吸引は満たされなかった。利子率は二〇%近縁であり、インフレ率は三〇%程だ。エクアドル原油の高価格と移住労働者の国外からの送金だけがドル化策を支えていた。
 来る数ヶ月、その維持が輸入部門を潤すとはいえ、輸出部門はドル化停止に向け圧力を加えるだろう。しかしながら、ブルジョアジー経済諸グループの具体的利益がどうあれ、輸出と外国投資が改善されていないならば、ドル化は結局維持され得ない。
 財政危機は、今年十二月の七億ドル以上の赤字のおかげで深刻だ。それは、いくつかの部門が内需用ガスとガソリン値上げでその解決を求める支払い危機を意味している。しかしその手段は、エクアドルでは常に民衆をもっとも酷く痛めつけるものなのだ。そこでの即刻の反応は、十一月以来欠配となっている十万人以上の教師によるストライキの脅威である。
 コロンビア計画の適用とマンタ米軍基地の存在は、エクアドルの主権を危険にさらし、コロンビアの対立と帝国主義的国際化により一層軍事勢力を巻き込みかねない。
 第一回選挙と第二回選挙に提出された綱領の間の矛盾、さらに国民統一政府形成に関わった階級構成における変化にもかかわらず、民衆諸組織は未来の政府への彼らの支持を維持している。十年後に政府を作るとの展望を持つパチャクチク運動は、財界と政界と共に有利な立場に立つために画策しながらも過渡的政府と見なしているものに対して、責任を分かち持っている。パチャクチクの戦略は、明確なイデオロギー的定義を欠いたまま、財界と連携した政府を維持することである。
 パチャクチクはとくに沿岸部の大独占グループに反対であり、彼らの社会的基盤である農民と先住民に有利な政策を推進するだろう。同時に、国内における抵抗空間を獲得しつつ、彼らが統治する地方政府を強化しようとする。政府内の位置をめざす闘いというこの戦略の枠内で、パチャクチクはグチエレスと彼の党を強固に守ってきた。パチャクチクは、政治的事業としてのその未来を今、賭けている。
 エクアドルの先住民運動、労働組合、民衆、そして農民は今まさに、選挙を前後してグチエレスの下に寄り集まった経済界諸グループと共に政府を共有しようとしている。たとえば、われわれは経済顧問としてのエコノミスト、マウリーショ・ポゾの存在を上げることができる。彼はIMF、ピチンチャ銀行、またとくにシェラに利権を持ち、三十億ドル近い資本を持つPROINCOグループに非常に近いのだ。グチエレスにはるかに近しい者は、ボリバリアノ銀行の銀行家、マリオ・カネッサだ。この銀行は、五億ドル程になるバナナ輸出部門に結びついている。
 
 民衆運動に向けた挑戦
 
 来る日々は強い期待と社会的運動に満ちた時期となるだろう。民衆運動の主要組織は、新政府にとりあえずの支持と時間を保障することを決定した。
 ブルジョアジーに関しては分裂している。統治への参加を準備している部分の一方で、状況を楽観視している者もいる。グチエレスによるすべての部門間の対話の呼びかけと並んで、国際金融機関に対して彼がとった姿勢、アメリカ政府と近隣諸国、とくにスペインとドイツの介在がその足場だ。最大の反対勢力はまず議会に集中するだろう。
 われわれは民衆諸階級の中で、大衆の自然発生的意識と組織された部分をつなぐ活動を遂行する。挑戦すべきことは、この活動をいかに深め、発展させるのか、政府のための闘争と、政治的、経済的危機の間にいかに一体性を与えるかである。民衆は、旧体制を終わりにする政治的変革の必要性と可能性について意識を発展させてきた。また潜在的には反資本主義的である、新自由主義への拒絶をも発展させてきた。基本的なことは、現在の意識レベルを結びつけ、それを前進させることをもって、即自的な現在の要求を搾取、支配、抑圧を問題とする原理的なものへとつなげることである。
 この綱領の中心的要素は、民衆内部からの民主主義の拡張を可能とする以下の諸要素だ。それらは、FTAAとコロンビア計画との対決であり、それはその中心に、構造調整の中止、対外債務支払いの拒否、マンタ米軍基地の撤去、そして水、土地、自然資本のための闘争という要求を置く。このすべては、民衆の自己組織化、発信、独立性を駆動源としなければならない。それが問題となっているものである。(インターナショナル・ビューポイント二月号)
注 フェルナンド・ロペス・ロメロは、第四インターナショナルエクアドル支部、社会主義的民主主義潮流全国指導部の一員。
訳注1。グチエレスはつい最近大統領に選出された。二〇〇〇年一月二十一日の軍隊反乱の指揮者であり、その罪で軍籍を剥奪された。
訳注2。通貨安定を目的に、エクアドルは通過としてドル使用を実行している。 
ヴェネズエラ―第四インターナショナルの声明

右翼と帝国主義のクーデターを阻止せよ
ガビリアとOASの罠反対!
ヴェネズエラ民衆、労働者との精力的連帯を!
 

〈1〉

 「ゼネラルストライキ」により先導され、今「最終戦闘」と呼ばれているものをもって深められている右翼の行動激化は、チャベスの合法的民主政府を打倒し、労働者、学生、民衆間の自己組織化、および自己防衛をうち砕くための反革命戦略の一部である。この行動激化は、政治的、社会的活動家の連続的殺戮、ファシスト集団の挑発、および一二月はじめPDVS(国営石油会社―編注)の私欲集団とCTV(伝統的与党と提携する労働組合連合―編注)の腐敗した指導者が仕掛けた原油生産のサボタージュの結果、犯罪的性格を帯びている。メディア、特にテレビの支持を得て、ブルジョアジーの不安定化作戦は、政治的小細工、恐怖、経済混乱、さらに現在までチャベス政府を支持してきた軍の分裂を狙いとしている。
 
〈2〉

 イラクに対する新たなジェノサイドを準備しているその同じブッシュ政権が、この反革命的行動激化に決定的役割を果たしている。これはクーデター参加者に対する公然たる政治的、財政的支援を介してのみならず、OAS(アメリカ大陸国家機構―編注)という従僕的道具を介しても表れている。後者は、さらにカーター財団の共謀の下、ヴェネズエラのボリバール共和派の民主政府を終わらせるために、「外交的」干渉を押し進めているのだ。
 アメリカ国務省のスポークスパーソン、リチャード・バウチャーの声明は疑いの余地を残していない。それは、「われわれはOAS理事長、カエサル・ガビリアの使節団の重要性と二つの党が彼らの政治的相違を解決するため彼と協調すべきだということを強調してきた」、と述べる。帝国主義の利益という言葉においてこの「協力」とは、「民主的討論」を政治的屈服への前段として受け入れるようヴェネズエラ政府を脅迫するものであるとのみ理解しうる。
 コロンビアの前大統領、反反乱政策の執行者、準軍事集団の推進者、そして彼の国における人権の体系的侵犯に対する責任者であるカエサル・カビリアの「使節団」は徹底的に非難され、弾劾されなければならない。OASは、二〇〇二年四月十一日に帝国主義大企業の反革命が達成できなかったその「民主的憲章」の道を進むことを追求している。それ故、左派とボリバール派民衆組織が断言したように、右翼のクーデター参加者および大企業との「討論」はまったくあり得ない。
 
〈3〉

 ヴェネズエラにおいて、決定的な反帝国主義の戦闘が闘われている。チャベス政府の限界とためらいを越えて、ボリバール派民衆は街頭に出、ブルジョアジーとの決裂を深め、クーデター作戦を崩壊させる手段をとってきた。賭けられているものは、この国の民主的運命だけではなく、地域における帝国主義との力関係でもある。
 ブラジルのルーラとエクアドルのグチエレスの選挙での勝利、民衆的反乱過程としての「アルゼンチナーゾ」(アルゼンチン現象)の延長、社会運動の反新自由主義的抵抗の成長、そしてコロンビア計画(コロンビアへの麻薬を口実にした米軍介入計画―訳者)、FTAA(アメリカ州自由貿易協定)という再植民地化計画双方に対する大陸規模の拒絶に直面して合衆国は、南米中を吹いている変革の風に対する「防御」壁を作り上げようと試みている。
 チャベス政府の敗北と、民衆と労働者の発展中の急進的運動をうち砕くことはそれ故、ワシントンの反革命戦略において第一優先のものとなりつつある。チャベス政権の生き残りおよび発展をみた階級闘争の活力は、ペンタゴンと国務省にとってコロンビア計画とFTAAが強制する地域支配と適合しないのだ。
 同時に、ヴェネズエラでのクーデターと帝国主義的利益の勝利は、ルーラやグチエレス政府のような政府が行う立ち回りにとって、その政治的経済的余地をより一層減じるだろう。さらにそれは、コロンビアでの武装反乱に不利な条件を増大させ、キューバへの封鎖を強化するだろう。
 
〈4〉

 ヴェネズエラの民衆闘争との国際主義者の連帯が広範で精力的かつ戦闘的でなければならない理由は、この文脈においてである。ヴェネズエラにおける労働者と学生、階級意識ある労働組合と民衆組織、ボリバール派グループと左翼諸党の闘いは、支配的エリート、新自由主義、IMF、世界銀行、アメリカ開発銀行、さらに対外債務に反対するラテンアメリカ民衆の闘争である。それは、主権と自らの運命を決めるための民衆的権利を求める民主主義の闘争である。さらにそれは、反帝国主義と反資本主義の闘争である。
 
 第四インターナショナルの諸勢力はこの闘争の一部である。それは、さまざまな諸国で連帯、デモ、街頭行進、政治的声明という形をとった民衆的活動を促進すること、で果たされる。それはまた、民主的かつ反帝国主義的な革命的運動や潮流が組織する行動や抗議の運動を無条件的に支持し、それに参加することで果たされる。
 二〇〇三年一月四日、第四インターナショナル統一書記局(インターナショナル・ビューポイント二月号)
合衆国労働者、戦争と対決


              ダイアン・フィーリー
 


 九・一一直後、公正と有効な対応を要求する請願を中心に、「反戦ニューヨーク市労働者」(NYCLAW)が形成された。この要求は、戦争反対、報復ではなく公正、市民的自由と人種主義反対の擁護、そして強欲な者のためでなく貧者のための援助、を意味していた。この請願には、一四〇〇名以上の労組活動家が署名した。
 同様の組織が、アルバーニー、サンフランシスコ―オークランド湾岸域、デトロイト、ポートランド、シアトル、そしてワシントンDCで生まれた。それらはさまざまな任務に取りかかった。その中には、たとえそれが小規模なものであろうとも反戦デモにおいて、労組活動家が上記の課題を協力者や組織的労働者代表と共にいかに提起すべきかに関する学習会も含まれていた。

国内も標的―戦争の論理

 これらの組織はまた、社会的必要を犠牲にして軍事予算が劇的に上昇しているという問題を取り上げた。加えて、合衆国愛国法の即座の通過があった。労働者は、市民権のない労働者が職を得ることを非合法とする連邦法を無効とするよう要求してきた。先の法はこの要求を押し戻すものだった。
 他方で議会は九・一一後、空港での旅客手荷物検査労働者が「アメリカ市民」であることを要求する法令を通過させた。サンフランシスコ空港では、八〇〇人以上の労働者が「市民」ではないことを理由に解雇に直面した。彼らの多くはそこで五年から一〇年に亘って働き、僅か二年前により高い賃金と福利を含む組合協約を勝ち取ったばかりであった。移住者の権利を求める組織とサービス従業員組合(SEIU)地方支部七九〇と共に、湾岸委員会はこの不必要な禁令に抗議した。そこでは、移民帰化局(INS)が、この急ごしらえの法を検査労働者に適用することすら尻込みしていた、ことが指摘されている。
 イラクに対する戦争に向けたブッシュの熱は、労働組合員の中でより多くの懐疑、あるいは公然たる反対に出会った。それは、この政府が第一に取った一方的行動主義の立場、先制主義戦略というその横柄な調子、さらにイラクがアルカイダとなんの関係もないという事実の故である。
 おそらくもっと重要なことは、過去一年以上の現実がそこに影響した。この永続的戦争は、国内政策として巨大なものを付随している。経済は今なおもふらつき、たとえ回復があったとしても雇用には結びつかない。軍事予算の劇的膨張は、合衆国の社会的需要から財源を引き抜いている。つい先頃通過した本土安全保障法―二二の連邦機関の巨大な統合と一七万人の労働組合員の権利侵害を要求している―は、労働組合の権利を含む現行の文官雇用法規を棚上げする権限を、長官、トム・リッジに与えた。しかし実際のところ人事管理部は、国民の安全保障を労働組合が傷つけたという事例をただ一つもあげることはできなかった。そしてこの法は、職場におけるより大きな「労働の柔軟性」を求める経営者の要求に寄り添っているのだ。
 タフト・ハートレー法を発動し、港湾労組(ILWU)を仕事に戻るよう追いやるブッシュ大統領の意志は最終的に、労働争議に干渉しようとする彼の決定を示していた。現在ILWUは、経営者グループの提案を受け入れるべきか否か投票中である(結論的に妥協は成立した―訳者)。しかしこれまで、一時的であれ一定の解決に達したことがなかったとでもいうのであろうか。実のところブッシュ政権は、労働組合を強制的に解決に追い込むために使えそうな別の立法を討論していたのだった。
 これは他の組合に対する明確な警告である。すなわち、労働者の権利を守る戦闘的行動は、経済と対テロ戦闘に有害なものとして政府が対応する、ということだ。
 
 労働現場で進む闘争
 
 昨年夏から秋の初めにかけ、相当数の労働者組織が対イラク戦争反対の決議を可決した。全米電機労組(UE)と地方公務員労組(AFSCME)が戦争に反対した最初の全国組合である。しかし一〇万人のカリフォルニア教員組合と全米第二の大きさを持つ支部であるチムスター七〇五支部(チムスター―運輸労組)も強い声明を可決した。中央労働評議員の一定数もまた、特別の反戦デモを支持し、あるいは対イラク戦争への反対を表明した。その決議の文言あるいはその決議よりもさらに重要なことは、それらが事務所や工場、組合会館内の議論をどれだけ反映しているか、ということだ。
 イラクを標的にした戦争に対する労働者の反対の小さな歩みの積み重なりは結合し、大会代議員に対する十月七日付の、AFL・CIO会長、ジョン・スウィニーの手紙へと導いた。この手紙は、戦争をめぐる論争が必要であり、戦争宣言前に論拠と熟考が提出されなければならないと断言している。確かにそれは基本的には、合衆国の政策担当者に、合意を得るためにどのように立ち回るべきかを教えるものである。しかしこの手紙の重要性は、労働組合運動内部にブッシュのシナリオを論争し、そこに問題を提起する大きな政治的空間を生み出した、というところにある。
 トップにおけるこの問題提起は、合衆国の労働者階級を攻撃するために、戦争がいかに使われているのかを描き出す一定の時間と空間を急進的労働者活動家に与える点で一つの要素である。本土安全保障法と合衆国愛国法は、人種主義的側面の表出と種々の反移民措置を強化する政治的枠組みをしつらえた。上記の措置には、職場に対するINSの手入れの激増が含まれている。
 
 対外政策全般との対決へ
 
 この機会はまた、合衆国の外交政策に立ち向かう機会でもある。われわれは現にあるダブル・スタンダードを指摘することができる。たとえば、
●ブッシュに従えば、大量破壊兵器所有はイラクの場合は悪で、イスラエルの場合は素晴らしい、となる。
●ブッシュは決して触れないのだが、サダム・フセインが過去の合衆国政府の友人であった時、イラクに生物兵器を与えたことは合衆国にとって問題はなかった。しかし今ブッシュ政権は、その国を取り締まる権利を持つという。フセインの罪の多くは彼が合衆国のお気に入りの時に起きたものであることを、メディアはもちろんのこと見逃している。
さらに今は、中東における合衆国の政策がいかに原油によって突き動かされているのか、を語る機会でもある。
 私の職場である自動車現場には多くの軍務経験者がいる。召集に従わせられたヴェトナム時代とは異なり、何らかの技能を身につけるために軍に入った多くの若い労働者である。何人もが今も予備役にある。従ってここでは戦争が話題に上る場合、きわめて歯に衣を着せぬものとなる。私の同僚たちはしばしば、兵士が戦場に行くことを妨げるために何でもやるべきだとの考えを出す。過去の戦争の経験者ですらも、彼らが耳にする好戦的宣伝は信用できない、との意見を明らかにしてきた。
 デトロイトにおいて、私が参加する平和と公正のための労働者委員会は、金曜日におけるフォーラム、「来るべき戦争に労働者はなぜ反対すべきなのか」をまとめるため、デトロイト女性労働組合連合と共に活動している。この活動の今後はまた、いくつかのより大きな地域的反戦連合がティーチインを組織する際はいつでも、労働者活動家に向けたワークショップを組織することを含んでいる。
 ブッシュの国内政策がいかにわれわれの必要に破壊的であるかを見ているが故にそれらを信用しないのだとすれば、彼の外交政策をなぜわれわれが信用しなければならないのか。平和と公正のためのデトロイト労働者委員会は、イラクでの予定されている戦争に反対するリーフレットでこのように指摘している。(インターナショナル・ビューポイント二月号。中見出しは訳者)
注 著者は『流れに抗して』誌の出版評議員。 
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