2004年6月10日        労働者の力             第 171号

七月参院選が改めて突きつけるもの
新たな左翼政党をめざそう
 

川端康夫


 
 来るべき参院選において、東京選挙区において天木前レバノン大使を市民派候補として擁立する動きは結局は断念せざるを得なくなった。天木氏の最後の決意を引き出すことが出来なかったのである。一方、大阪選挙区では辻元清美さんの立候補が確実となった。無所属であるが、社民党大阪府連合の全面支援を受けての立候補である。
 また比例区においては、みどりの会議が中村敦夫議員を中心に十人で闘うことになっている。
 沖縄では、一時共闘成立が危ぶまれたが、結局、沖縄社会大衆党の糸数慶子さんが民主党・社民党、そして共産党とのブリッジ共闘で統一候補ということが確定した。他では、高知、広島、兵庫で社民党と新社会党のブロックが成立し、新潟では民主党と社民党、そしてにいがた市民新党のブロックでの選挙となる。
  
一進一退する左派共同戦線の取り組み
  
 今回の参議院選に向けての取り組みを振り返っておこう。参議院選への基本的な関心は、一つは昨年秋の衆院選の「衝撃」に始まる。二大政党化へと収れんした結果、社民党、共産党は地滑り的な敗北を喫した。参院選の敗北も必至であろうとの観測から生まれ出たのは、一種の「労働者統一戦線」的な発想である。社民党、共産党の独立した党としての歴史的生命が終わりを告げつつある以上、改憲阻止勢力の共同の闘いで、何としても議会内勢力を回復させなければならない、という観点から、今年に入って、前田知克弁護士を代表に、内田雅俊弁護士を事務局長にしての、共同の闘いで護憲派議員の当選を目指す運動が呼びかけられた。
 この運動は、昨年秋の衆院選に際しても、労働情報編集人の前田裕晤さんが中心になって、総選挙を共同候補で闘うことをすでに社民党や沖縄社会大衆党、新社会党に申しれを行っていた。今回の参議院選への取り組みは、それをさらに拡大する形で進められたものである。
 しかし運動側と各党の考えはかみ合わなかった。社民党内部にも、こうした運動側の視点に同調する動きも一部にあったが、結局は国政選挙を政党の骨格として位置づける各党の態度は変わることはなかった。沖縄という長い伝統をもつ例があるにもかかわらず、である。
 今回の参院選においては、いわゆる第三極の社民党、共産党の劣勢は覆るまい。社民党は議席ゼロの可能性もある。共産党も党勢に勢いがない。この間の議席後退状況は今回も続くだろう。
 社民党の系列で現在当選の可能性が見込まれるのは、沖縄の糸数、大阪の辻元の両人だけである。みどりの会議も苦戦は免れない。

新たな左翼政党のための闘い

 参院選後、社民党の出直し論議はまったなしになるだろう。もちろん、参院選で惨敗しても、社民党が解党状況になるわけではない。衆院が残っているからである。最終的には次の衆院選における敗北が事態を決定する。しかし、それが最後である。その運命が待っている以上、参院選後の論議は深刻にならざるを得ないのである。
 それは単に組織的手直しのレベルをはるかに超える政治的内容を求めることになろう。最近、社民党の曽我祐次氏は、護憲政党からの脱皮、攻勢的な新社民主義というべき政治方向を目指すことを提唱した。また同じく常松氏は、選挙において社民党の名前にこだわるなと提唱している。こうした提起は、二〇世紀の社会党、社民党の枠組みからの脱皮の提言である。こうした試みがいかなる具体的な内容へ展開していくかは、今後の論議次第であるが、問題は単なる社民党自身だけの問題ではないということにある。戦後日本の左翼運動それ自身の再建の問題であり、日本民衆に直接に関わる問題なのだ。
 もし社民党が党組織の再建を図ろうとするのであれば、それはまさに日本民衆に開かれた作業でなければならず、日本民衆の左翼運動の再建という位置を持たなければならない。このことは当然日本共産党にも当てはまる。各々の党の狭いセクト的範囲ですむ話ではないのだ。
 すでに世界的には二〇世紀の社民主義や共産党勢力は大きく衰退している。新たな時代の新たな左翼運動が勃興している。世界社会フォーラムの活動や各種の反グローバリゼーションの世界的ネットワークが活発な活動を繰り広げている。日本においても、反戦闘争の中心部隊は社民党でもなければ、共産党でもない。新しい世代が中心を担っているのである。こうした時代の新しい左翼運動とは何か。こうした観点から党再生の作業が進められなければならないのである。
 
左派共同と新たな政党のための闘いは一体 
 
 われわれ第四インターナショナル第一五回世界大会は、すでに新たな時代に向けて、まったく新しいインターナショナル形成に向かうことを確認している。現在の第四インターナショナルは、そこに合流する一つの潮流と位置づけられた。こうしたことは、ナショナルレベルでも当然同様である。世界的には、ブラジルのPT(労働党)やイタリアの共産主義再建党に続いて、イギリスに大衆的政党がこの春に誕生した。共産党を除くほとんどの左翼が結集したその党の目玉は、映画監督のケン・ローチである。
 日本における左翼運動の再生もまた、こうした世界的流れに沿うものでなければならない。従って、来るべき社民党の再建問題は単なる社民党という政党問題ではなく、日本の新たな左翼政党の形成を始めから射程に入れ、そしてその最初から民衆に開かれたものとならなければならないのだ。
 われわれは、こうした視点をもって、社民党の再生論議に参加していかなければならないと考える。全国で、新しい国際主義、新しい社会主義、新しい左翼政党についての論議をすすめ、意識的な準備を開始しよう。
 参院選後には、現在活動を停止している第三極の共同を求める運動も再開される。運動と新たな政党の準備は、まったく重なるものだ。
 七月参議院選において、第三極勢力の政党(社民党、共産党、新社会党)、みどりの会議、そして無所属候補である辻元清美、糸数慶子両氏への投票を呼びかける。
 そして、さあ、積極的な論議を始めよう。 (六月九日) 
  
 
日朝ピョンヤン宣言の実行、国交正常化を急げ                 

            川端康夫


 五月二十二日の小泉訪朝は、昨年に続く二度目であり、拉致被害者家族の帰国を実現するとともに、昨年九月の日朝ピョンヤン宣言の再確認を行った。金正日国防委員長との首脳会談では、さらに国交正常化交渉の再開、拉致問題の解決、他の拉致被害者の再調査、食糧援助などが確認され、同時に小泉首相は経済制裁を発動しない、そして金正日国防委員長はミサイル発射実験の凍結を約束した。一昨年と今年の二度の訪朝だけを取り上げれば、小泉内閣は北東アジアの平和に向けて大きな前進を実現したことになる。このこと自体は評価されるべきことである。
 しかし、このほぼ一年八ヶ月の間、小泉内閣は二月の「外為法」改悪に続き六月一日に「特定船舶入港禁止法」を成立させ、経済制裁法を強行してきた。さらに昨年秋からの北朝鮮に対する意識的な対立キャンペーンが日本版ネオコンというべき阿部晋三自民党幹事長らから繰り返し展開され、マスメディアもそれに便乗した。拉致被害者家族問題も、そもそもは一昨年九月の両国政府の約束事を日本サイドが破ったことによってこじれたのである。
 この間の両国関係の改善は、基本的には北朝鮮政府のイニシアティブによるものであって、けっして日本政府、小泉内閣の努力によるものではない。逆に、有事関連法案の強行に示されるように、この内閣はピョンヤン宣言無視、六カ国協議への逆流を意識的に行ってきたといわざるをえない。小泉内閣はまさに北朝鮮というカードを切って、有事立法体制を現実化してきたのだ。これこそまさに欺瞞的対応といわなければならないし、拉致被害者家族の帰国は小泉のパフォーマンスの材料にされたのだ。
 
「対話と圧力」路線を放棄せよ  
 
 自民党筋による「対話と圧力」路線は、結局のところ北東アジアの将来にとって無益であるだけでなく、危険である。都知事石原のごとき右翼はねあがりどもは、北朝鮮との外交的接触それ自身に敵対している。小泉も外交的パフォーマンスに飛びついただけであるから、いつでもピョンヤン宣言を無視する態勢をとっている。国交正常化への道はいつでも覆されるおそれがあるのだ。つまり、二度の訪朝を除いては、小泉は北東アジアの緊張を高め、ついには自衛隊のイラク派兵まで踏み切った。そしてこのアメリカのグローバル戦争に自ら積極的に荷担し、憲法九条の破棄を目的とする憲法改悪の実現を目指し、そこでは集団的自衛権を明記することが語られている。北東アジアにおける戦争態勢へと邁進しているのだ。これを「二枚舌外交」といわないわけにはいかない。仮に小泉が北東アジアの平和を願うのであるならば、こうした二枚舌はやめなければならないし、有事関連法や憲法改悪という政策方向もやめるべきである。国交正常化交渉の具体化を一日も早く具体化すべきである。
 
東アジアの経済的共生実現を 
 
 北東アジアの問題は、同時に東アジア総体の経済的共生という展望とも結びつかなければならない。巨大化する中国経済は今後ますます東アジア経済の中核として発展するだろう。今後の東アジア経済において最大の問題となるのが、経済的苦境にある北朝鮮経済の問題である。北の経済はいまや闇市場化している。国際的孤立が経済的孤立を招き、それがさらに政治的孤立へと循環している。韓国の一部資本を除けば、国際的資金との関連もない。投資の環境がないのである。この悪循環から逃れるためには北は、まず第一に自らの国際的孤立を脱却しなければならない。東アジア経済の大きな枠組みの中でこそ、北の経済的苦境からの脱却の道がある。そのためにこそ、政治的孤立からの脱出が必要なのだ。
 ピョンヤン宣言そして六カ国協議の実現は、東アジアにおける共生という大きな枠組みの入り口となる可能性を示している。日本政府はこうした機運を最大限に生かさなければならない。今を逃せば、いつまた暗転するかも知れないのだ。小泉は二枚舌外交を即刻中止せよ。(六月八日)
 さる四月二六日、二ヶ月にわたって続けられた「イラク派兵に反対し憲法を生かす共同候補擁立運動」は最後の会合を開き、運動の挫折、参院選後までの一時休止、を確認した。出席者の間には無念の思いが漂った。運動は、弁護士の前田知克氏を代表に、内田雅俊氏を事務局長にし、矢山、国弘両元議員を加えて、精力的に二ヶ月間活動した。ワールドピースナウの活動家、キリスト教関係者、市民活動家、地方議員、一部社民党員、新社会党や多くの左翼党派が共同し、東京だけでなく全国からも駆けつけて運動を盛り上げようとしてきた。社民党、共産党、沖縄社会大衆党、みどりの会議と公式、非公式に接触し、申しれを行ってきた。しかし、各政党、団体ともすでに参議院選への態勢に入っており、提起の趣旨は認めるものの、要求に応えることはできないとの対応となった。
 四月に入って、運動は各政党の出席の下に提起を実現しようとしたが、まず共産党は上田耕一郎氏他が対応し、地方選挙では可能性があるが、国政選挙での提起は受けられないと表明。会議にも参加しなかった。社民党は田議員と保坂前議員が対応して会議に出席、共同候補の提起に応ずることは党の解消に通じるとの社民党執行部の意向を代弁した。沖縄社会大衆党は島袋委員長。今回の参議院選挙沖縄選挙区に副委員長の糸数慶子さんを無所属で立候補させる。その際に、民主党と社民党、共産党の支援を受ける関係上、共同候補運動に乗ることは不可能であるとの回答。みどりの会議は幹部が出席し、趣旨は理解するが、今回は独自性を出す選挙を目指しているという回答であった。
 左派勢力の議会内議席数が、選挙制度の関係上、追い込まれるわけで、そこに対する危機感が、運動サイドに「人民戦線」的発想(国弘元議員)を呼び起こしたのだが、政党、団体の側にその危機意識は薄かった。さらに事態が進めば、政党側の対応も異なってくることを期待して、運動は参議院選挙後まで一時休止を確認したのである。
 また、東京選挙区での共同候補擁立の動きも不完全燃焼に終わった。その最大の障害は、社民党が独自候補に固執したためである。また、左翼共同への全国規模での動きが続く中で、東京選挙区に市民派の独自候補を擁立しようとする動きに、あまり拍車がかからなかった。他には、兵庫選挙区で左派共同候補を倒立する動きが、九+二五運動を軸に追求されている。また広島や岡山でも同様な試みがあったが、残念ながらまだ実を結んではいない。
 
     

     夏期一時金カンパに絶大なる協力を要請します


   時代は急転換の徴候を示しています。イラクにおける激しい民衆抵抗は、アメリカの単独行動主義を追いつめました。国連安保理決議にすがりついてアメリカはイラク民衆への政権委譲へと追い込まれました。まさにこの春のイラク民衆の英雄的な決起が事態を転換させたのです。そしてイラク民衆の闘いの背後には、緊密な世界的ネットワークを形成する反グローバリゼーションの大群がおります。世界社会フォーラムに結集するこの人びとは、全世界的な反戦闘争を波状的に組織し、イラク民との連帯を行っています。こうした一連の構造こそ、新しい国際主義と社会主義に向かう世界的運動の実体的基礎なのです。私たちは、こうした二一世紀の新たな民衆的高揚をまったく新しいインターナショナルへと結実させようと考えております。また日本国内においても、時代は新しい左翼政党を必要としていると考えております。是非ともこの私たちのたたかいにご理解をいただき、それを後押ししてくださるよう、お願い申し上げます。
 夏期一時金カンパにご協力を。
 
 国際主義労働者全国協議会
 郵便振替 00110−2−415220
 


同志・的場良生の死を悼む
 

              細川 潤二
 


 同志・的場良生は四月二七日、仙台市の病院で死去した。享年五五であった。

 体調の変化が顕著になったのは二〇〇二年夏だった。微熱と咳が止まらず、その原因も特定されないために、医師の勧めによって検査入院し、その結果、肺がんであると判明した。彼は摘出手術を決断、その年の年末から術後の療養生活に専念することとなった。しかし二〇〇三年夏に再発、その後通院を続けていたが今年四月下旬に急激に容態が悪化、緊急入院の翌日に息を引き取った。
 的場同志は一九六〇年代後半のベトナム反戦の激動に身を投じ、トロツキズムの戦列に参加、国際主義労働者委員会に加盟した。六九年全逓東北地本書記に採用され、翌年、仙台南郵便局で労働運動の現場活動家として第一歩を踏み出した。七四年春闘では警察権力が南郵便局に乱入するという大弾圧に抗して闘った。宮城では「ゼネスト貫徹共同闘争委員会」の地域闘争が展開されていた。彼は三里塚三・二六開港阻止闘争で連帯する会の先頭に立ち、不当逮捕された全逓宮城の仲間たちの救援運動を組織した。


 一九八〇年代、全逓の決定的な右傾化・官僚化の中で郵政職場支配との闘いが続けられた。八九年一二月には宮城の地で郵政合同労働組合が結成され、的場同志はその初代書記長として闘った。九一年には郵政全労協(全労協・郵政労働組合全国協議会)の結成に参加、その全国指導部の一員として尽力した。彼はまた地域労働運動との結合・飛躍を郵政合同労組の重要な課題に掲げ、宮城全労協の幹事を担うとともに、みずから宮城合同労組の特別執行委員として外国人労働組合の組織化にあたった。


 二〇〇二年、「郵政民営化」攻撃は最初の重大局面を迎えていた。四月、小泉首相は就任一周年の記者会見で「郵政関連法案は構造改革の本丸」、「自民党が小泉をつぶすか、小泉が自民党をつぶすか」と啖呵を切った。小泉首相は橋本政権での妥協(九七年一二月、行革会議最終報告)を越えて突き進もうとしていた。「郵政公社は民営化の一里塚」との小泉発言をめぐり激しい党内闘争が繰り広げられた。特定郵便局長会、宅配事業者、全国銀行協会、生保、外資、アメリカ政府をふくめた紛糾の末、七月下旬に郵政関連法案は成立した。巷では郵政三事業は「日本社会主義の遺物」という論陣すら張られていた。
 彼ががんを告知されたのは、小泉構造改革との対決、「郵政民営化=私有化」攻撃との対決のための論拠と戦線が問われており、まさにそのために奮闘しようとしたときだった。とても残念であり、彼も無念であっただろう。
 

 彼は自然を愛し、旅した人だった。少年時代の蔵王を出発点に、東北や北海道など諸山の四季を歩き続けた。「ビートルズ世代」であり、ポピュラー・ミュージックとともにジャズを好み、発病前の南欧旅行時に出会った「イタリア現代オペラ」も傾聴していた。
 郵政合同労組は宮城全労協とともに、六月一九日仙台で、「的場良生さんをしのぶ会」を開催する。組合員や友人たちは、彼にまつわる様々な思い出を持ち寄り、集うだろう。(六月八日)
 

第四インターナショナル国際委員会への国際情勢報告      
                 
    (2004年2月)
          
      フランソワ・オリビエ

【本報告は、前大会の情勢決議(報告集参照)の基本骨格を維持している。大会以降のいくつかの重要要素を加味した補足的性格を持つ―訳者】

 まず始めに、前大会が確認した全般的な情勢の枠組みを思い起こしたい。
・新自由主義的反改良及びその社会・経済的作用の深まり。
・「新世界秩序」の非安定性、及び国際資本主義システムにおける新たな矛盾の出現。具体的には、資本主義的グローバリゼーションの軍事化という側面、金融資本支配に結びついた経済的諸矛盾、帝国主義間対立、「国全体の」社会的、経済的危機。
・新自由主義政策の正統性の危機、社会的抵抗及び伝統的労働者運動とブルジョア民族主義諸党における構造的変化。
・急進的反資本主義左翼と革命的マルクス主義潮流ないしは組織の、党建設にとっての新しい空間。

 この枠組みを前提に、以下新たな展開を検討する。

一、イラクにおける戦争

(1)世界的政治情勢を枠づける戦争

 以下のことを、イラクでの戦争は確証した。
・新自由主義的グローバリゼーションは、軍事化のグローバリゼーションに有機的に解き難く結びついた性格を明らかにした。その反映が、軍事力に依存した国際問題管理の通常様式化であり、「先制戦争」あるいは「終わりなき戦争」という諸観念だ。
・アメリカ帝国主義にとっての戦略的賭け。即ち、原油、中東とアジアの入り口の戦略的地域の占領、植民地化の新形態、帝国主義諸国のアメリカの利害に沿った再編、がそれだ。
・アメリカの、軍事予算増大を支えとした軍事的圧倒性。

 支配の形態が、以前よりも差異化が進み階層化された世界では、これがアメリカにとって、価値と富の創造と収奪過程の支配につながる。

(2)イラクの泥沼

 しかし、支配に関わるこの企ては、諸矛盾に突き当たっている。アメリカのイラク軍事占領は今、混乱に向かっている。これは、アメリカ国内においても今や広範に意識され始めた。

二、帝国主義間矛盾の発展

(1)イラクでの戦争は転換点か?

 イラクでの戦争の中でこれらの矛盾が破裂した。その矛盾に投影されているものは、世界的諸関系の再定義をめぐる諸傾向の広がりだ。国家と民衆、アメリカとヨーロッパ、アメリカとロシア、中国、これらの間の関係の再編が、争われている。
 アメリカの場合この対立は、「多国間主義」を思わせるものには何であれ異を唱えることに行き着いている。ここで言う「多国間主義」とは、国際的諸機構―国連、ユネスコ、WTO、世界銀行、IMF―を介したある型の国際的諸関係のことだ。これらの諸組織は、世界の力関係を帝国主義諸国の利益に沿って支え、それらの支配の道具となっている。しかしいくつかは、システムに内在する矛盾に締め付けられている。
 ヨーロッパの場合対立は、「古いヨーロッパ」の抵抗、という問題ではない。そうではなく図式的に言えば、二つの枢軸―反アメリカのフランス・ドイツ連合という枢軸、イギリス、スペイン、イタリア、オランダ、デンマーク、それにアメリカ支持の東欧諸国から成る枢軸―の間の対立という問題だ。この状況は、対抗関係が動き得るものであるが故に、あくまで一つの図式である。しかしこのヨーロッパ内矛盾は、アメリカとヨーロッパ間の矛盾と組になっている。

(2)これらの緊張の意味と限界

 これらの諸矛盾は、イラク戦争中にあらわとなった対立を越えたものだ。それが表現するものは、経済的諸矛盾の鋭さであり、それが新自由主義的反改良という指令の底にある。これは、ドル圏・ユーロ圏関係においても、鉄鋼、航空機産業、農業・食料のような基幹部門においても同様に示されている。さらにこの矛盾は、アメリカの支配とヨーロッパの地位をめぐる地政学的対立をも反映する。
 新しい対抗関係も現れた。それは、アメリカとロシア、中国間においてだけではなく、ブラジル、インドのような新興大国とアメリカとの間にも見られる。もちろん、一定の「核能力」を備えた資本主義諸国間の軍事的対抗も、忘れるわけにはいかない。
 新しい世界情勢は今、遠心的傾向で満ち満ちている。これらの傾向は過去何年もの間、帝国主義とソビエト官僚制間の均衡システムの下に封じ込められていたのだった。
 ここに示されているものは、資本主義システムに内在的な矛盾の一つだ。しかしこの対立には、第一次大戦、第二次大戦前夜の帝国主義間対立がもっていた重要性はない。国際的危機の時期を通じた資本主義国家間の対立を目にすることは、これが初めてというわけではない(例えば、一九六〇年代のアメリカとド・ゴールの対立)。我々はその対立を過大評価すべきではない。何故ならばこの矛盾は、全てにとっての基盤的利害という十分深く理解された感覚によって、制限を受けているからだ。こうしてブッシュ政権は、特に国連という神旗を押し立てた帝国主義諸国との協力から、自身を解き放つことは不可能なのだ。それは、例えイラクで一国的に行動したからといって、またイラク復興を巡るアメリカの計画に例えフランス、ドイツが反対したからといって、変わらない。
 その確認の上でもなお、現世界情勢の特質は、あらゆる種類の紛争の増大と秩序解体の深まりだ。これは、ソ連崩壊後の新世界秩序建設を当てにした人々の持っていた世界像には反するものだ。この像は、あらゆる種類の対立(階級対立だけではなく、国家間対立をも)の減少と、社会・経済さらに政治の安定化を基礎においていたのだ。
 支配階級にとって世界は、ますますもって統治不能なものとなった。
 イラクにおける戦争が暴き出したものは、どのようなものであれ、世界政治情勢を歴史的安定性を持った新時代と見る象の本質的誤りだ。この戦争は一定の考え方を現実にそぐわないものとした。例えばそれは、一極帝国主義論―単一の帝国主義、つまり対抗相手のいないアメリカの支配―であり、あるいは金融多国籍企業ネットワークを国家の代わりにおく「帝国」論だ。イラクにおける戦争が確証したものは、帝国主義諸国家の現実であり、そこには、アメリカの支配に並存して帝国主義国家間対立もある。
 そして後者は、主要な矛盾ではない。それはあくまで、民衆と帝国主義国家、支配階級の利害と民衆階級の利害、これらの間の本質的矛盾から派生する。
 それ故この帝国主義間対立を考慮することは、主には以下の二つの理由によって、実践上の効果を生む。
・社会的結集のための、衝突と危機が押し広げた空間の理解。例えばWTO内の対立は、世界的公正運動がその結集を再展開することを可能にした。また対イラク戦争を通じて、アメリカとフランス・ドイツ間の対立は、反戦の結集に新しい余地を広げた。
・神聖同盟政策全てに反対する戦い。一定の支配階級は、彼ら自身の資本主義的利害を理由に支配的帝国主義の利害に対抗する。これらの支配階級の周囲に結集しようとする路線の破滅性に反対しなければならない。特に重要なことは、ヨーロッパ単一国家をアメリカや他のモデルに対する対抗的な社会モデルとみなし、それを労働者や労働組合が支持するあらゆる政策に反対することだ。システムに内在する対立を利用しつつも、我々の目標は変わることなく、支配階級に対立する民衆階級の独立と統一という政策だ。
 最終的にこれらの対立は、さまざまな亀裂、緊張、そして物事の見直しを引き起こす。次期アメリカ大統領選は、これらの緊張の水準を吟味するよい機会となるだろう。

三、深まる資本の攻勢

(1)アメリカ経済―いくつかの特徴

 統計数字は二〇〇三年における成長回復を示している。しかし成長のこの新しい局面は、いくつかの限界をもっている。それは職を生み出していない。新たな生産性の果実を手にしようとする探求に結びついた産業革新は、この反転が孕む不確実性同様、職の大量創出に至ることがない。産業に関してもITに関しても、投資がやってくる兆しはまだない。そうではなく成長のこの新局面は、主にはアメリカ経済の基礎的不均衡で形作られている。アメリカの成長は何よりも、世界的な資本の流れをウォール・ストリートに引き付けるアメリカの能力と結びついているのだ。
 巨大な赤字と引き換えにした消費を、これがアメリカに可能としている。この赤字は、国際収支、国家予算、そして間接的に家計の消費者信用という形をとっている。アメリカの対外債務は、GDPのほぼ三〇%という極めて高い水準のままだ。他方で財政赤字は、軍事予算と最富裕層奉仕という租税政策の圧力の下に、増大する一方にある。
 世界の資本を引き寄せるというこの能力は、アメリカに有利な政治・軍事的力関係と一体だ。従ってまた、経済成長におけるアメリカモデルは輸出不可能なのだ。その上アメリカ経済にのしかかるこの資金をめぐる圧力は、以下のことを意味する。即ち対外的には、、アメリカの産業、金融諸グループの利益に対する競合の強まり、そして国内的には、最高の収益性確保を目的とする鋭さを増す労働者の搾取だ。このようにして、賃金への圧迫強化、公共サービス予算の削減、自動車のような戦略部門の解雇や下請け契約の発展へと至る産業再編、他が続く。

(2)新自由主義的反改良の加速ーヨーロッパ

 ヨーロッパの諸政府は、賃金労働者と失業者に対する新たな攻撃遂行の命を受けている。その指令の根源は、ヨーロッパ諸国の支配階級、そして特にヨーロッパ、アメリカ間の国際的競争がもたらす作用だ。この攻撃は、社会的国家の解体、フランス、ドイツにおける社会保障の破壊、年金改変、社会的諸関系の規制解体、フランスでの労働基準への挑戦、など多岐にわたる。
 この政策を遂行している者は今日、右派政府―フランスのラファラン、スペインのアスナール、イタリアのベルルスコーニの各政府のような―にとどまらず、左派社会自由主義政府―イギリスのブレア政府、ドイツのシュレーダー赤緑政権―にも及ぶ。
 この新たな攻撃は、階級闘争の条件を苛烈にする。これは社会的国家の後退と、労働者、移民、それらの組織や協同体により抑圧的な警察国家へと導く。それは権威主義的政策展開に向けて、右翼諸党の連携を促している。新自由主義的資本主義に順応してしまった伝統的労働者運動がこうむった世界的後退状況の中で、ファシスト、あるいはネオファシスト諸党が目覚しい発展を遂げつつある。イタリア、オーストリアなどの一連の諸国では、権威主義的右派との連携の中で生じたそれらの再生が、民衆階級への攻撃政策を強めている。
 ヨーロッパブルジョワジーは目下、政治と制度の側面で、彼らの支配を確保するために必要となる道具の型について、品定めの途上にある。ジスカール諮問会議の失敗が証明したものは、ブルジョアジー全てが持つ企ての二十五ヶ国全体を貫く統一にまつわる諸困難だ。それが証明するものはまた、フランス、ドイツ枢軸を中心に単一の「ヨーロッパ権力」構築を進めようとの、いくつかのブルジョア陣営の意思だ。

(3)ラテンアメリカの危機

 ラテンアメリカでは、以下の状況が特徴となっている。即ち、深い不安定性、新自由主義政策のもつ残酷さ、諸闘争と社会諸運動の爆発、人口の重要な部分の目に映る新自由主義的反改良政策の非正統性、さらに、全般化された危機という意味における「国全体の」社会・政治危機の数々だ。
 国際機構―IMFと世界銀行―の圧力と組になったアメリカ政府の圧力が、構造調整政策と新自由主義的改革の深化を、各国政府に強いている。「アメリカ州自由貿易圏(FTAA)あるいはFTAAの光明」という、生産とアメリカ州内貿易においてアメリカを利する強制枠組み、また対外債務返済要求が、社会的予算の削減、公共サービスの解体、全般的私有化へと導いている。
 FTAAの前回会合では、ベネズエラのチャベス政権を除いて、ラテンアメリカの全政権がアメリカと列を並べるさまが見られた。
 ルーラ政権は、前政権がIMFと交わした国家的約束の継承を確約した。この政府は、最良の生徒の一人とみなされてすらいる。
 アルゼンチンに対してIMFは、より大きな収益性を追求する政府機関改革を要求し、経済援助をめぐる脅迫を続けている。
 ボリビアでは、主要な天然資源の一つである天然ガスの私有化が、中心的課題になっている。
 帝国主義支配の数世紀が残した結末が国家の分解と結合した場合、新自由主義政策のもつ近年の作用がどれほどのところまで行き得るのか、このことをハイチの混乱は示した。
 この圧力が、支配階級と国家の頂点における腐敗と寄生性を、さらに悪化させている。マフィアを下支えにした政治的、金融的ゆすりは、支配のこの型においては不可分の一部だ。
 アメリカの圧力下の、アメリカ全州に亘るこの新しい統治は、多様な形態を取った諸財貨の、大帝国主義グループとその子会社に向かう再度の巨額の移転を意味する。それ故、それがボリビアであろうと(ガス私有化拒否)、ベネズエラであろうと(原油生産統制)、この移転の拒否が、民衆が立ち上がる主題となる。
 結論的に、新自由主義政策の作用が生み出したこの不安定性は、アメリカ帝国主義の政治・軍事戦略における転換点に関わってくる。しかしそれは、コロンビアとベネズエラにおける蜂起対抗戦略、ボリビアでのクーデター準備、アルゼンチン、ブラジルにおける不安定化工作を伴ったものなのだ。アメリカ支配から発せられる経済的で戦略的な命令は、ここでもまた、特に「社会自由主義」タイプの全経験の故に、各国政府の術策の余地をますます狭めることになる。

四、伝統的左翼及びブルジョア民族主義の進化

(1)労働者運動における社会自由主義の挑戦

 資本主義的蓄積様式における変化及び新自由主義的反改良の加速は、伝統的労働者運動並びに伝統的民族主義諸党内に構造的変化を引き起こし、それは今も続いている。
 世界的諸関係の内的論理及び諸国支配階級の利害は、与党となった左翼諸党が新自由主義に順応してしまうほどに、諸国家と諸政府に圧力を及ぼした。選択の余地はないのだ―これらの諸党が経済と資本主義諸制度をうまく遣り繰りしようと願う以上は、彼らはゲームのルールを受け入れるしかない。
 政府内で彼らは、支配階級の政策の、そしてまた、EUやFTAAのような国際組織と支配階級が交わした約束のリレーなのだ。

2)減少する術策余地

 術策を可能とする社会・経済の余地は狭まり続けている。内需を復活させるための、公共サービス、賃上げ、家計消費刺激を組み合わせた政策展開、ないしは新たなケインズ主義政策のための余地は全くない。
 ジョスパンとルーラ各政府―フランス社会党とブラジル労働者党がその本性で例え違うとはいえ―は、新自由主義的反改良の論理に順応するに至った。具体的には、公共サービスの予算削減、最富裕層に有利な租税政策、私有化、社会保障と年金の改変、IMFが課した基準、特に対外債務返済の基準に対するルーラ政府の同意、が上げられる。
 ペロン主義の民族派は、反ブッシュ政権の主導性を見せつつも、彼らの政策をIMFが要求する枠内に統合している。
 これらの諸党はこうした展開の中で、質的変化を進行させ続けている。その変化とは、それらの社会的基盤における変化、選挙基盤における民衆諸層との乖離、そして金融資本と国家の頂点との強まる一方の相互浸透だ。そうであってもしかし、これらの諸党が政治地図から消し去られるわけではない。伝統的右派の危機を前にしたとき、これらの諸党は依然として権力に留まり、あるいは返り咲くことが可能なのだ。これらの諸勢力は今も、民衆階級のいくつもの層を代表し続けている。この事実はそれ故、諸闘争と社会諸運動の統一した行動、という問題を提起し続ける。それでも尚これらの諸党は、ブルジョワ的輪番制という枠組み内で、支配階級が保持する道具の一つなのだ。

(3)共産党と他の「反新自由主義」諸潮流への圧力増大

 上述の圧力は共産党にも及んでいる.またこれらの党は、容赦ない後退という同一の趨勢を味わっている。フランス共産党、スペイン共産党、ドイツ民主主義的社会主義党は今、社会民主主義に依拠する「戦略的随伴」を受け入れるに至った。新自由主義的ヨーロッパ建設の中での、ETUC(ヨーロッパ労働組合連合)の統合政策が、この趨勢を助長している。この圧力がイタリアのPRC(共産主義再建党)にも及んでいる。これが新しい要素だ。この党の指導部は今、統合政策の確定途上にある。その政策は成り行きとして、中道左派政府連合となり、そしてこの政府は、新自由主義的EU委員会委員長のプロディが率いるものなのだ。
 最後に、特に触れるべき問題がある。それは、「反新自由主義」への共鳴を主張する一部の指導層や潮流の、否定的進展についてだ。これらの人々の主張に欠けているものは、経済と資本主義諸制度との関係における独立及び統一を内容とする反資本主義政策だ。それ故これらの潮流には、政府あるいは権力の問題に直面する中で、「資本主義的統治能力」という論理に順応する共通の傾向がある。これが、ブラジルのルーラ政権、エクアドルのグチエレス政権に関係する事実だ。後者は、イラクでのブッシュの戦争を支持する点にまで進んだ。

五、社会的抵抗の根強い持続

 資本主義的攻勢の一方で、社会的、民主的闘争は今なお、世界政治情勢の決定的要素の一つだ。情勢に圧力をかけてきた一連の決起と社会的闘争を指摘できる。

(1)政治情勢を特徴づけた諸闘争

・二〇〇三年二月一五日の反戦デモ
・多くの国々で起きた、新自由主義的改革の結末に反対する数々の決起。
・数々の貧農運動、失業者運動。
・「国全体の危機」―ボリビア、ベネズエラ、ハイチなど。
・アメリカの軍事占領に反対するイラクの大衆運動、社会的抵抗の発展。
・イスラエルの軍事占領に反対するパレスチナ民衆の持続的抵抗。
・最後に強調すべきこととして、世界社会フォーラムの継続的成功。全体としては社会運動にとって困難な国際的政治情勢において、社会フォーラムは今もなお、民衆の国際的結集にとっての参照点であり、また反新自由主義、反資本主義、反戦、合流、これらのものの場であり、そして、人は資本主義的グローバリゼーションに抵抗できるということの実際的証明であり続けている。ムンバイの今回の成功はこの証明だ。これらのフォーラムが表現するものは、例え変形されたやり方であったとしても、階級間のより世界的な力関係であり、社会運動の一連の部分の、資本主義の攻勢への抵抗意思なのだ。

(2)社会運動の強さと限界

 この社会的抵抗は、反改良との対峙における、民衆諸階級の対抗能力を示す指標だ。この運動は、支配階級、その国家、政府、そして国際機構がもつ正統性についての一つの危機を反映するとともに、運動の中で先の危機を持続させてもいる。しかしそれでもなおこの抵抗は、世界的力関係の基礎的傾向を逆転させているわけではない。これらの社会運動は、「機械を故障させる」ことはできる。しかし大部分の場合、労働者運動にとってそれは、後退ないしは政治的で社会的な敗北に終わっている。これらの諸闘争は、社会運動を再組織する上で決定的だ。しかしそれは、労働組合、協同組織、あるいは「改良主義的」であれ「革命的」であれ政党など、それらの組織的成長を生み出していない。
 これらの諸闘争内には、再組織化に関わる中心的要素がいくつもある。しかしそれらは、労働者運動内部の力関係あるいは基本的な階級間の力関係に深い変化をもたらす条件を生み出すような位置には、まだ着いていない。確かに空間は押し広げられ続け、自由な領域として残されている。特に、社会民主主義と民族主義諸党の新自由主義的進化によって、また元スターリニスト諸党の加速度的後退によってそれは起きている。しかし急進的諸勢力は、そこをいっぱいに占領するには、まだ諸困難と向かい合っている。我々は、過去の世紀の敗北にまだ対価を払い続けている。確かに、再構築の進路は長期にわたる。

六、我々の政治的任務にとっての道筋

 我々の任務は、三本の軸に沿って遂行可能だ。
・行動の統一を追及する政策。
・反資本主義綱領の諸要素。
・反資本主義的、革命的左翼の結集に向けたいくつかの提案。

(1)行動の統一

 労働者とその組織全ての行動における統一という我々の政策は、我々の工作を形作る変わることのない側面でなければならない。「大衆が作る実体ある運動」における簡潔な統合という形をとった、大衆的諸闘争、協同諸組織、労働組合での統合は、政治的に活動するための第一の条件だ。同時にこの政策の前提条件は、政治的諸党派との関係で、大衆運動の自律性を確保することだ。運動の統一と有効性はそのことにより保持される。これに関し我々は、アルゼンチンの経験から教訓を引き出すべきだ。そこでは、各政治党派、とりわけトロツキズムと一体だとする諸組織が、大衆運動内部に(特にピケテロス運動内に)各自の系列運動を保持し、結果として民衆勢力内部の分断を深刻化しているのだ。

(2)反資本主義的反応の結合

 同時に必要なことは、抵抗闘争そのもの、さらに社会運動の指導に積極的に参加するという最低限の水準を越えて進むことだ。必要となっているものは、綱領的なあるいは戦略的な次元における、より本質的な応答を前進させることなのだ。この種の論争に関する条件は、ここ数年で変わってきた。世界的公正運動内では、統一した運動の建設と反資本主義的な反応を、時を隔てずに結びつけることが必要になっている。「改良主義派」、「レギュラシオン派」(この傾向がもつそれ自身の目標は、資本主義システムの過剰の修正だけだ)、あるいは民族主義派に運動が向き合っているだけに、特にこのことが問題になる。根源的、かつ国際主義的な反応を助けることが必要だ。もう一つの世界を、と世界的公正運動は語る。必要なことは、それが何なのかを語ることだ。
 前述した必要性が必然的に意味するものは、以下のような綱領だ。つまり、社会的問題と階級闘争を優先させる綱領、解雇に反対し、賃上げを求め、富の別の配分を求め、私有化に反対し、などといった社会的で民衆的な要求を、限界まで推し進める綱領だ。従ってこの論理は、資本主義的所有性への踏み込み、つまり労働者と民衆による管理という問題を提出する。
 フランスで我々は、選挙綱領として緊急的反資本主義計画を、加えて社会闘争綱領を提唱している。
 アルゼンチンの経験は、職場占拠、所有者が放棄した生産の再開、そして労働者管理、という問題を提起している。
 ベネズエラとボリビアでは、国の社会的、政治的危機が、以下の要求を日程に載せた。即ち、私有化に反対し、天然資源―ガス、水、原油―の公共的、社会的収用を要求し、アメリカ帝国主義による富の略奪に反対し、民族的、民衆的主権の断固とした要求だ。
 この路線は、民衆的諸階級の自己組織化、自己決定、そしてひとまとまりになった諸提案の上に据えられなければならない。闘争や危機が先鋭化する状況においては、「下からの権力」建設に備えた機構を日程に載せることが求められる。肯定的な出口に向かって進むためには、このことがこれらの危機に際しては決定的だ。
 この全体路線は、政府あるいは権力の次元にも及ぶ。我々は、国家と資本主義経済の管理という定式には、全面的に反対だ。我々が防衛するものは、労働者とその組織の結集に依拠する労働者政府という展望だ。この立場により我々は、「社会自由主義」の政府に参加したり、それを支持したりすることを拒否できる。また一方この立場により我々は、政府ないしは権力の問題を、偽りなく提起できる。その点で我々は、一連の諸国や世界的公正運動内での、ハロウェイや他の人々の主張とは立場を異にする。これらの潮流の人々は、対抗力という限度内に、あるいは「権力の獲得なしに世界を変える」との幻想内に、民衆の決起を抑えたいと願うのだ。

(3)反資本主義派統一の追求

 国際的政治情勢の最近の展開は、ある種の論争を明確にする課題を日程に載せた―ルーラ政権ないしはイタリアPRC指導部の進化。その一方で、討論、見解の相互検討、共同行動に向けた、一連の革命派、反資本主義派諸潮流の積極的意欲をも日程に載せた。これはムンバイでの反資本主義諸党会合に反映されている。
 ヨーロッパ反資本主義左翼会議及び国際評議会(ムンバイで第一回会議開催)双方において、我々はこの方向に進み続けなければならない。形態や進展速度、また関係する政治勢力に例え違いがあるとしても、それが必要だ。ここで我々は、これまで我々を導いてきた二つの基準を強調すべきだろう。
A.階級闘争路線を重心とする反資本主義派会議。そこに組になっているものは、根源的要求、国際主義、さらに社会自由主義並びにその型の政府連合に対する支持に関わる明確な区分けだ。
B.移行途上の、あるいは意見交換や行動の場を求めている政治組織を含む公開代表者会議。この会合はこの意味で、ヨーロッパ急進左翼会議の階級闘争路線を保持する一方で、PRCや共産党などの勢力(討論を求める限りはどのような勢力でも)との討論の場だ。
 これに平行して我々は、革命的なあるいは反資本主義的な諸組織、急進的であってもセクト的でない基本路線に立つ特に世界的公正運動に合流している諸組織、との関係を深めるべきだ。我々が路線としている革命派の統一は、革命への単なる抽象的言及を基礎とするものでは決してない。我々の路線はそうではなく、出来事と任務について理解を共にすることに基づく合流だ。今国際委員会を含め、我々はいくつかの次元で先の意味における実践を具体的に追及している。
 結論として、急進左派にとっての空間、労働者運動の再編、政治的、戦略的課題が、幅広い反資本主義党という展望を日程に載せた。来る数ヶ月、数年の、階級闘争緊迫化という条件においてはそれが、大衆の政治的歩みの指導部に関わる中心的要素だ。それは結局のところ、特に社会自由主義から教訓全てを引き出すことを通して、建設途上の党あるいは幅広い組織の階級闘争成分を強める、ということを意味する。そしてそれはまた、インターナショナルの前大会が着手した歩み―前述した幅広い進路を豊かにするために、我々の組織を再活性化し、革命的マルクス主義者を結集し、我々の支部を建設すること―を継続する、ということを意味する。(「インターナショナル・ビューポイント」3月号。一部抄訳)
 
 
 
 
 
 
 
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