スリランカ左翼
左翼に力を−新たな時代を求めて
                                            新左翼戦線

我々の問題は何か

 我々は今、我々の社会が直面している経済的かつ社会的諸問題を討論している。人々は貧困、失業、そして戦争に苦しめられている。この危機の根本原因は、我が社会が発展の道に入る可能性を奪われていることにある。マヒンダとラニルの両者はこれらの問題について語っているとはいえ、その双方ともが現在の状況に対して責任があるのだ(マヒンダ・ラジャパクサは統一人民自由連合の、ラニル・ウィクラマシンハは統一国民党の、各々の大統領候補。ラジャパクサは現職首相であり、ウィクラマシンハは元首相−訳注)。そして彼らは、解答を示すことなく互いに責任をなすり付け合っている。それ故、明確な道筋に基づいてここからきっぱりと抜け出すことは、新左翼戦線(NLF)に託された課題だ。我が社会がぶつかっている障害とは何だろうか。
 第1に我々は、世界的な資本の圧力の下に置かれている。我々は債務の罠に縛り付けられている。我々に提供された諸計画が例え成功したとしても、我々は借款を返済しなければならなかった。しかしそのような成功はこれまで起きた例はなかったのだ。このような際限のない返済に我々は責任があるのだろうか。そして多国籍資本のシステムが行使する圧力が、国内市場を無力にし、地場の生産を押し潰し、我々の経済を閉じ込めてきた。
 我々は、我々には責任のない対外負債を帳消しにするために圧力を加えなければならない。我々は、我が市場と地場の生産力を保護するために、輸出入、為替レート調整、さらに関税を使わなければならない。我々は最低でも、効率的に経営されてきた、あるいは我が経済において極めて有益な役割を果たしてきた、そのような企業を再国有化すべきである。そして我々は、世界資本主義のいわゆる開放経済を放棄すべきである。我々は、世界社会フォーラムに表現された世界的な民衆運動に合流しなければならない。科学と技術を求めて多国籍諸企業に哀願する必要はない。我々は、国際的な労働者運動に、特にインド亜大陸の運動と結合しなければならない。
 第2に、戦争がこの社会を野蛮へと押しやってきた。経済と市場は、国家と「イーラム解放のトラ(LTTE)」の体制との間で分断されている。無人地帯には無秩序が広がっている。北部の内陸部と海岸地域は軍隊が占領している。3万人以上にのぼる脱走兵は、経済のあらゆる側面に否定的な影響を及ぼす地下的な力を生み出してきた。戦争は、政府軍の側では30万人以上の人員を抱え、LTTE軍の側では2万人以上を抱える1つの産業となってきた。これらの軍隊に対する供給もまた、何千人という人々を雇用している。武器や弾薬や装備、また輸送その他に対する支出は、何10億ルピーにも達している。国は多くの専門家を失ってきた。彼らは先進国へ脱出した。
 それ故、タミール民族問題に対する解決を基礎とする平和が絶対に必要である。我々は1974年以来常に、平等、自治、自己決定権を基礎とした解決を提案してきた。現在それ以外の抜け道がないことは明らかだ。LTTEのような残忍な運動は、タミール民族問題に対し解答を見つける代わりに抑圧が行使された結果なのだ。
 第3に、国家の独裁的性格並びに憲法の非民主的性格が、いかなる発展計画に対しても深刻な障害となっている。国家は依然として、地方と都市の貧困にのしかかる機構として存在している。それは、国家歳入と公共の資産を守るために存在している。社会的サービスですらが、恩着せがましい姿勢を手段に実施されている。開発は政治指導者のために確保されている。国家の当局者達は、自身を発展に向けた推進者とみなすことができていない。カチチェリ(訳者には不明)と裁判所は、救済を求める人々の費用と時間を何ら考慮することなく活動している。無視されている人々は多くの場合女性だ。選出された代表者の大多数ですらが、国家のこの疎外を強めた性格を弱めることがなかった。執行権力を持つ大統領制と比例代表制を基盤とする政治体制は、ただ問題を悪化させたに過ぎなかった。職場の専門性と労働現場における代表性を基礎にして、即ち人権の全側面を強化する仕組みを基礎として、参加型の民主主義を創出するために先の政治構造を変革することが必要だ。特に守られるべきものは、環境に関する諸法律、労働組合の諸権利、そして女性の諸権利だ。
 第4に、沈滞に陥っている地方の社会構造は、発展にとって明らかな障害となっている。地方の経済に対する市場の浸透は、実のところ今尚現実の姿ではない。それ故市場に基礎を置く発展は地方に達していない。土地所有に関する不和、不在地主制、他の種類の生産諸手段に対する不在所有制、生産を可能とする保証の欠落、生産条件の保持が不可能な状況、農業に賦課された法外な高金利、反動的な伝統、これら全てが地方の生産を最低水準のままに留めている。これらのものを克服するためには、本質的に広範囲にわたる農地改革が必要だ。自治省、プレデシア・サブハ(政府機間の名前と思われるが訳者には不明)、農業省、産業技術省などの権力を統合した単一の地方開発機間が不可欠だ。人々を発展の道筋に導くためには、独裁的な政治体制と官僚制を民主的な国家構造を手段として変革することと同時に、人々を反動的で保守的な農村システムから抜け出させることが必要だ。

ラニルが提示するもの

 資本の陣営に立つ両者は、上述した課題に合理的な方法で取り組むことに完全に失敗してきた。国民的民主主義の名前の下に、いくつものスローガンが次から次へと持ち出されている。しかし何事も起きなかった。事態は悪くなるばかりに過ぎてきた。
 ラニルは、1977年に始まった開放経済と「再生スリランカ」と称する路線の有効性を力説してきた。彼は明らかに、世界資本主義諸大国の代理人として語る保守的な仲買人である。
 タミール民族問題に関して彼は、世界資本主義の指導者達が同意する程度に応じて前進する準備はできている。LTTEは既に、開放経済陣営に入るよう強制されている。タミール民族の若者達に達期待されていることは、彼らが苦労の末に勝ち得た母なる大地の資源を、多国籍資本システムに引き渡すことだ。
 一方彼には、国家あるいは憲法の変革については何の計画もない。例え少しでもあるとしても、彼の望みは現行大統領制の安定化でしかない。「パラクラマバフ」と名付けられた新たな黄金時代に関する飾り言葉を除けば、地方の権力構造に必要とされている変革は何も語られていない。

マヒンダ−JVP連合の経済計画

 「マルクス主義者」を称するJVPの叫び並びに国有企業防衛というこれらの宣言に反してマヒンダは、世界銀行と援助国との間で5月16日・17日に結ばれた協定へと彼の内閣を導いた。これは、再構築という口実の下に、CEB(訳者には不明)、銀行、給水事業、保健事業、空港、港湾、そして主要な国有企業を私有化するという協定だ。エッパワラにある燐酸塩鉱床は既に中国企業に売り払われた。JVPとJHU(訳者には不明)もこの交渉には3加していた。しかし、タミール民族や他の少数民族に対する譲歩に関する問題の場合とは異なり、彼らはどのような抗議も示すことができなかった。アメリカ国務省次官、クリスティナ・ロッカに宛てて送られた2005年4月25日付けの手紙でJVPは、タミール民衆鎮圧のための援助を得るためにはいかなる犠牲も払う準備がある、との姿勢を示している。上述した2005年5月16日・17日における無料教育に関する彼らの裏切りを回復しようとして今彼らは、タラ・デ・メル(訳者には不明)が作成した合意について語っている。

抑圧に向かうマヒンダ

 先の協定によってマヒンダは、ラニルの「再生スリランカ」路線で設定された道を進むことを受け容れた。彼は、「津波復興行動調整機構」(P−TOMS)と権限委譲を公然と放棄したにもかかわらず、その一方で先の協定(国家権限の重要な後退を意味する−訳者)を拒否しなかった。それ故に、連邦主義も、権限委譲も、さらにタミール民族の自治もなしに、彼がどのようにしてプラバカラン(LTTE最高指導者?−訳者)との交渉を進めようとしているのかが曖昧になっている。規律と法と秩序についての彼の叫びは上述の計画と1体となって、彼を、民族的・宗教的少数派と労働者階級を攻撃してきた極端な傾向へと近付ける。彼は、都市と全国双方の不安を、討論と譲歩によってではなく、軍隊と警察の行動によって処理しようと計画しているのだ。

左翼は世界中で立ち上がりつつある

 これら2人の指導者は我々に2つの選択肢を提示している。それは、貧困と排除の下で世界資本の下積みとなるのか、それとも、国の分断を伴った排外主義的独裁という野蛮の中に吹き流されて行くのか、というどちらかの道だ。
 しかし、世界中の民衆はこの両者の結末に対して挑戦している。あらゆる大陸で新たな諸運動が発展してきた。それは、世界資本の命令を拒否し、排外主義と宗教的原理主義から身を引き離して考えを進める運動だ。民衆は、ベルリンの壁崩壊の時に感じさせられた後退感から抜け出してきた。今マルクス主義への新たな関心が生まれている。ベネズエラやアルゼンチンやブラジルその他には勝利がある。
 第3の選択肢を大胆に前進させる可能性が生まれている。ウォールデン・ベローは次のように語っている。即ち、「私達が今従事していることは、経済学の神話を解体することである。私達が今従事していることは、民衆が生産と消費を掌握し、それを疎外のない包括的な国民的発展へと移すことである」と。これは我々を、1970−75年に起きた発展に関する様々な議論に連れ戻す。
 当時左翼の指導者は2つの間違いを犯した、ということを我々は知っている。一方で彼らは、排外主義的資本家が優位に立つ連合を手段として、民族的かつ民主主義的な任務を完遂することが可能だ、と考えた。他方で彼らは、この後進的な諸条件の中で、孤立した社会主義的諸構想を実行しようと試みた。このようにして、腐敗と官僚的要素が成長する傍らで、民衆は情勢に対する彼ら自身の民主的介入力を失った。そして排外的な差別がその醜悪な姿で現れた。同時に、地場に根付いた産業の推進者や生産者は、嫌がらせを受け脅された。最終的に資本家は左翼指導者を投げ捨て、JR(統一国民党のJ・R・ジャヤワルデネ元大統領、新自由主義路線を推進−訳者)が権力を得る以前に早くも、政府を開放経済に押しやった。
 我々はこれらの間違いを正さなければならない。そして世界の民衆運動と共に前進しなければならない。我々はこの確認から始めることが可能であり、そして、先進的世界において労働者階級による重要な勝利が勝ち取られるその時まで、先の地点から進んで行くことが可能である。今から我々は、大衆運動を建設するためにこの綱領を基礎として闘わなければならない。
 このような運動は、今回の選挙で誰が勝利しようとも、体制に抵抗することができるだろう。民族解放の諸闘争と結合した勤労大衆の様々な闘いがそこにはあるだろう。人々に覚醒をもたらすために、そして、抵抗のための、またあらゆる抑圧された人々の諸闘争に方向を示す、そのような統一した左翼の運動に人々を合流させるために、我々は今回の選挙を活用しなければならない。
 民衆の諸闘争の新たな時代に向けて取り組む左翼を作り上げるために、皆さんの支援と投票を呼びかける。
 


 
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