イギリスレスペクト大会―後退と好機
          「ソーシャリスト・レジスタンス」

 レスペクトの第2回年次大会が11月19、20日の両日、ロンドンで開催され、ここには350人の代議員(10人に1人を基準として)並びに50から100人のオブザーバーと来賓が出席した。「ソーシャリスト・レジスタンス」(SR)は、地域支部代議員として12人を確保し、大会における基軸的な論争に参加した。それらの論争は、市民的自由、保健サービスと教育の防衛、さらにLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々)の権利、そしてレスペクト建設を巡って闘わされた。SRは大会での論争を深めるために19日夜分派集会を開いたが、これは非常に有意義な集会となった。
 SRはレスペクト建設に今も全面的に関わっている。それは、これまでの長期に亘るイギリスの左翼の歴史を通じて、この事業が最も意義深い出来事だからだ。しかしながら今大会は深刻に気懸かりなものとなった。不幸なことに今大会は、新労働党とその新自由主義的進路に対する広範な基礎を持つ代替勢力としてのレスペクトの長期的発展に関し、1定の疑問符を付すものとなった。大会は、この国の多くの左翼を包含できるような、真に多元的な組織として発展するレスペクトの能力に疑問を抱かせたのだ。レスペクトの未来は、その中で左翼の大多数が違和感を抱かずにすみ、一定の役割を果たすことのできる、そのような開かれた多元的な組織としてしかない。大会はこのことを痛切に思い起こさせた。

気懸かりな議論

 レスペクト支持者は、ジョージ・ギャロウェイの東ロンドン選挙区中を行進していた。ここには以下に見るように、深刻な問題があった。
 大会は、昨年達成した疑問の余地ない成功を総括し、さらに前進に向けた地図を作成する大会とならなければならなかった。そこには、いかにして新たな党員を獲得し、彼らを長期に亘って統合するか、いかにしてレスペクトを「大衆的な党」として発展させるのか―レスペクト全国書記のジョン・リー並びにSWP(社会主義労働者党)指導部の多数はまさにそのように強調した―、いかにして強力な地域を打ち固め、弱い地域にレスペクトを建設するか、他の左翼勢力をいかにしてレスペクトに合流させるか、できる限りの多くの地域にいかにして機能的な地域支部を発展させるか、選出された代表と共に議会と地方自治体双方で活動できる組織として、レスペクトをいかにして発展させるか、ただ反戦だけの党ではない反戦の党としていかにして知られるか、などの課題が横たわっていた。大会は、姿を現しつつあるブレア政府の新自由主義的攻撃と対決する運動の中にいかにしてレスペクトをしっかり配置するか、また今始まりつつある市民的自由に対する強襲にいかにして対決するか、これらを議論する必要があった。
 大会は確かに、これらの課題に関し立派な諸決議を採択した―NHS(イギリスの保健システム―訳注)、教育、また年金に関し―。大会はまた気候変動に関しても重要な議論を行った。さらに大会は、イラクにおける戦争に関し強力な声明を採択し、予定されている平和会議を支持した。
 大会は戦争と市民的自由の防衛について、そして今議会を通過しようとしている「反テロ」法に反対する一連の立派な決議を採択した―ただしこれは、「人種的宗教的侮蔑扇動処罰法」に大会が反対を示すことができなかったことによって損なわれた―(本紙HP上に関連記事)。今上げた法は、今まさに議会を通過し掛けているが、現存する不敬罪法の拡張となり得るものなのだ。しかしSWPはこの法案を支持し、レスペクト内部でその支持を力説してきた。
 さらにもう1つ残念なことがあった。それは、複数の支部の支持を受けた、LGBTの権利を支持する現在のレスペクトの政策を将来の選挙公約に含めることを呼びかけた決議(この政策は総選挙公約には盛り込まれなかったが、それは紛糾を残した)が、提案者も決議それ自身もイスラムには全く触れていないにもかかわらず、論争の中でイスラム嫌悪として歪曲されたことだ。決議それ自身は採択された。しかしこれがそのように敏感な問題となる理由を知ることは難しい。LGBTの権利は、進歩的な見解の範囲では主流をなす課題であり、レスペクトはそれを考慮すべきだ。
 しかし主要な問題は、レスペクト建設に関する分科会で頭をもたげた。この分科会は、SSP(スコットランド社会党)のコリン・フォックスが主宰したが、レスペクトの将来に関わる限りでは鍵となる分科会だった。
 組織としてレスペクトを発展させることを目的とした1団の決議―より改善された運営、より民主的な機能のあり方、党員並びに支部とのより健全な連絡、より集団的な政治討論、そしてレスペクト自身の出版物―に対して、ジョン・リーとジョージ・ギャロウェイ(レスペクト議員)は、たぶらかし的な演説と忠誠に対する粗野な訴えをもって否定的に対応したのだ。反対の決議もそうでない決議もあった。しかし論争の色合いは、先に示した諸決議は不必要であるか、もしくはレスペクトの財政に法外な要求を持ち出す、というようなものだった。

党へか、それとも連合のままか

 これは矛盾した状況を作り出した。大会はレスペクト建設に関しいくつかの重要な決議を採択した。しかし指導的メンバーが繰り出した言い回しはそこに、これらの決議の優先度は低い、との趣旨を付け加えた。
 ジョン・リーはこの分科会での口火を切る発言の中で、レスペクト建設の問題は議事録や報告の問題ではなく、政治指導性の問題であり、彼と他のメンバーはそれを提供してきた、と語りつつ、大会を強く叱りつけた。ジョージ・ギャロウェイと共に彼と他のメンバーは、反戦運動の中で指導性を発揮し、さらにレスペクトの中で彼らはそれを発揮している、このように彼は述べた。さらに彼は、反戦運動形成以降彼と他のメンバーが先頭に立った政治的指導性の実例の目録をも示した。彼の結論は、レスペクトがもし彼に、事務所のコンピュータの前で座っていることを望むのであれば、別の全国書記を見つけるべきだ、というものだった。
 もちろん我々全ては、レスペクトが機能的かつ実践的な、そして運動と密着した指導部を持つことを願っている。我々全ては、政治的発展に打てば響くように対応できる指導部を望んでいる。しかしそれは、レスペクトの党員と選出された委員会を通じた、全体としての集団的な政治的発展に基礎を置くものでなければならない。それは、指導部以外のメンバーが疑問をもたずに付き従うことを期待するような、指導部の個人的先導性に基づくことがあってはならないのだ。
 論争は、これら全ての背後ではもちろん、レスペクトが1つの党として発展すべきか、それとも緩やかな連合であるべきか、に関わっている―確かに、レスペクトが今より多くの組織的構造を持てばそれに応じて、レスペクトには党の性格が刻印される―。しかし、レスペクトがもし機能的かつ民主的な組織として発展する道を進もうとするならば、組織的構造の強化を避ける道は全くあり得ない。
 他の全ての政治的諸党と対抗しつつ、またその歩みの途上で提起される全ての問題と格闘しつつ、全国的規模でも地方の場でも、レスペクトがもし政治的勢力へと挑戦するつもりであるのならば、レスペクトはその努力を効果的に組織し、路線を発展させることができなければならない。そしてレスペクトは、党員達がそれらの努力と1体的に結び付いていると実感できる内部生活を、確実に実現しなければならない。レスペクトは、メンバー達が今3加している諸組織とは別の、レスペクト独自の政治生活をそれとして確保しなければならないのだ。それをどう名付けるかは重要な問題ではない。しかしいずれであれレスペクトは、1つの政党としての性格を帯びることを避けることはできないのだ。
 ヨーロッパ中から他の左翼諸政党が招待され、これらの諸政党は大会で発言した―イタリア共産主義再建党、ポルトガルの左翼ブロック、ドイツの左翼党、SSP―。これらの組織全てが党と呼ばれているわけではない。しかし確かなことは、それらは全て自身をいわば党として組織している、ということだ。

問題を隠蔽する危険な試み

 不幸なことだがある決定が、緩やかな連合モデルを守り、党的構造の発展を確実に先送りし今以上に進めないようにするために、SWPとジョージ・ギャラウェイによって下されたように見える。この決定は、政治的課題の広がり全体に亘る政治的力に向け挑戦する組織にとっては、実行不可能なモデルでしかない狭い組織化モデル、を強制することになる。
 あるいはそのモデルは現実に機能していない。自身が実現した巨大な成功にもかかわらずレスペクトは、その数的な強さとその政治的活力に関する限り、諸支部の間に大きな相違をもつ弱い組織のままに今尚留まっている。それでも指導的人物達からは、この点に対する評価は全く示されなかった。そして大会は、ただ成果にのみ目を向けることを促され、いくつもの問題に目を向けることは奨められなかった。
 レスペクトの全国評議委員であり、SRの指導的メンバーであるアラン・ソーネットは、以下のように力説した(サウスワーク決議案を提案しつつ)。即ち、昨年の総選挙でレスペクトが得た成果は非常に重要だが、それでも我々は、それ以降のレスペクトの歩みに対してもっとはるかに冷静な目を向けなければならないと。この時期は大きな好機が訪れた時期であったが、しかし党員数には変化がなく、左翼の新たな部分の3加も全くなかったのだ。さらに、いくつかの支部は強いものの、他の支部は弱く、そしてもがいている。これらを我々が認識しないのであれば、またその問題と真剣に取り組むことがないのであれば、レスペクトは深刻な諸問題に直面することになるだろう。
 レスペクト建設に関する平場の討論は、ジョン・リーの立場の支持者によって支配された。次々に立つ発言者は、レスペクトに必要な内部体制として、率直に言ってどのような労働組合でも大目に見られることのないような体制を要求した。支部と意見を交換し合い、政策をじっくり研究するような、そのような文書作りに時間を無駄使いする必要は全くない。我々に必要なことの全ては、最新の運動に各々3加し、それを建設し、レスペクトの見解を伝えることだ。このような発言が続いた。
 ジョージ・ギャロウェイの閉会挨拶もこの問題に関し同じ調子を続けた―論争はひとまず閉じられ、表決も行われた、という事実がありながら―。彼は、ジョン・リーが語ったことは「素晴らしい」、と語った。出された提案を実行する点で問題だったことは彼の場合、単に金銭やレスペクト事務所の要員の問題だけではなかった。彼は、レスペクトが新聞を持つことには常に反対だったし、今はもっと反対だ、と述べた。レスペクトは党ではなく連合であり、それはレスペクトが留まるべき道である。レスペクトが新聞を持つことになれば、人々は結局キューバやかつてのソ連の状況に陥ることになるだろう。このように彼は述べた。新聞に込められた問題として、このような法外なことを幾分かでも示唆した人物はこれまで例がない。
 ジョージ・ギャロウェイは、SRのチラシの中で提起された問題点に直接言及した。そのチラシは、レスペクトは総選挙以降、4、0人という党員から増大していないだけではなく、現に存在している左翼の新たな部分の加入を実現してもいない、と指摘していた。この言及の中で彼は、レスペクトの党員数は問題ではない、と何とか論じようとした。
 重要なことは票だ、と彼は述べた。「10、人の党員で100、0票を取るよりも、4、0人の党員で250、0票を取る方がよい。我々は成功しているのであり、それを噛み締めればいいのだ」と彼は大会に語りかけた。これは文字通り、党員を獲得したり、反戦運動や左翼のより広い層に自身を広げる点でのレスペクトの能力のなさを隠蔽するものであり、危険な試みであった。小さく基盤の薄い党が長期的に大量の票を集めることができるという考えは、全くの欺瞞である。
 ギャロウェイは、左翼の旧式的言語を捨て去る必要がある、と力説した。確かにそれが必要だ。しかし我々がガラクタとして捨てるべき最初のものは、指導者がいかに立派に仕事を成し遂げつつあるかについて、さらにその他の全てのメンバーがいかにして指導者に従うべきかについての、威圧的演説なのだ。
 SWPメンバーは上のギャラウェイの語ったこと全てにいっせいに拍手喝さいを送った。もっと悪い傾向すら現れた。即ち、自分が所属する支部で様々な決議案を支持した何人かのSWPメンバーが、大会ではその態度を変え、支部代議員達とのどのような討論も行うことなくその決議案に反対したのだ。このようなやり方に基づいて地域支部を建設することは不可能だ。

レスペクトの建設と変革を

 このような進展に対し我々は、レスペクト構想の重要性を再確認し、その建設のための闘いを継続する必要がある。レスペクト建設は今のところ都会における試みに過ぎないのだ。レスペクト構想がもし崩壊することがあるとするならば、それは左翼にとっては大きな損失となるだろう。そしてその損失を取り返すためには膨大な時間を必要とするだろう。我々は、レスペクトからの離脱を提案している全ての人に、レスペクトに留まり大会決定を基礎としてその建設に手を貸し、必要なところではその変革のために闘うよう説得する。
 レスペクト建設に関するいくつかの重要な決議案は否決された。さらにギャラウェイの閉会演説には、採択されたレスペクト建設に関わる決議案の優先性は低いと示唆するものがあった。しかしそうであっても、1定数の重要な決議は採択されたのだ。そしてそれらの決議は、もし適切に実行されるならば、レスペクトを前進させ、レスペクトがこの間成し遂げたことをさらに積み増すことを可能とするだろう。
 サウスワーク決議案は、その組織の生命力の発展において演じるべき役割があると全ての党員が実感できるような、大衆的な党としてレスペクトは建設されなければならない、と力説している。それが意味することは、政治と組織双方の側面における、レスペクトとしての全国的なより強固な姿の建設である。
 1連の実践的諸手段が採択された。これらの決議の実行は、レスペクトの運営と集団的運動展開の改善に大いに役立つことになるだろう。さらにそれは、その他の左翼部分と労働組合運動を引き入れる機会を広げるだろう。それはまさにカムデンとバーネットの決議案に述べられていた。即ち、「より幅広い労働者運動の中の最も民主的で透明かつ多元的な組織、として認められた大衆的な党としての我々の進展のためには、それこそ決定的に重要である」と。

補足
 レスペクト建設に向けて大会では、次のような実践的諸手段が採択された。

●地域支部による強力かつ整然とした運動能力開発の奨励。
●党員加入を鼓舞し、新たなメンバーを打ち固め党に留めるために、可能な限りレスペクトを開かれたものとし、一体のものとすること。
●労働組合左派を含む、レスペクト以外の左翼部分に対する、今までにない新たな働きかけ方の開発。現在レスペクトにそれはまだない。
●成功を見たタブロイド版レスペクト新聞の続版発行による、我々の政治的姿の全国規模での強化。
●全国事務所と機関紙並びに選挙の間の時期における宣伝形態の強化追求。
●秩序だった討議と論争を通じた、自身の政治生活と文化を発展させる強力な地域支部の建設。
●全国評議会は、例えば住宅、保健、運輸、麻薬、市民的権利などの、特別な政治的領域に関わる諮問グループを召集しなければならない。このグループは、全国評議会と全体としての党が行う討議に向けた政策文書を発展させ、党員が使用可能な資料並びに宣伝物を作成するため、レスペクト支持者と関心ある党員が持つ専門的かつ職業的知識を活用する。
●全国評議会は、例えばレスペクト教員グループ、レスペクト保健労働者グループ、などの特別な労働領域に関わる特別な党員グループを作り出さなければならない(あるいは、その創出を力付けなければならない)。
●全国評議会の会議で処理された事柄について、その会議後に実行可能となり次第、全国書記は報告を配布すべきである。
●全国評議会の会議は、支部のオブザーバーに対して公開されなければならない。
●支部間のさらに関心を共にする領域を持つ個々の党員間双方の、情報の流れを奨励し促進するために、いくつかの仕組みが開発されるべきである。
●例えばより幅広い改善の一部としてレスペクトのウェブサイトは、党員のみがアクセス可能なブレチン部分を含むべきである−レスペクトに所属する他の諸組織が広く利用している記事−。
●販売用にかつウェブサイト上で利用可能な、網羅的なレスペクト政策集の発行。

注)SRは、イギリスの第4インターナショナル支持者によって、他のマルクス主義者との共同の下で発行されている社会主義的新聞。(「インターナショナル・ビューポイント」電子版12月号。)
 


 
    ホームへ戻る トピックスへ戻る