EU
ボルケシュタイン指令を葬り去れ


         レオン・アギュレ

 −EU議会での討論を3週間後に控えた今、ボルケシュタイン回状反対の決起はいよいよ強力になりつつある。EU議会での討論開始の3日前に当たる2月11日にストラスブルグで予定されているデモに向けて、いくつもの準備が今進行中だ。LCRの週刊機関紙「ルージュ」に掲載された以下の論考は、先の指令の内容とそれに対する決起を扱っている−IV編集部。

ブリュッセルの反ボルケシュタインデモ

 EU議会は2月14日、「域内市場における諸サービス」に関する指令の第1読会について、採決を行うことになっている(保守派と社会民主主義派との間で、本論考でも触れられているようなある種のごまかしを含んだ修正が成立し、それが可決された。但し、左派が反対に回り、修正派が望んだ圧倒的支持には至らなかった−319対213対34−訳者)。問題の指令案は、いわゆる「ボルケシュタイン」指令の本質的特徴を蒸し返したもの以外の何物でもない。この文書はEUメンバー諸国の中に広範な反対の動きを巻き起こし、ヨーロッパ労組連合(ETUC)と世界的公正要求運動の幾つかの部分が呼びかけた2005年3月19日ブリュッセルでのデモには、10万人もが結集した。
 この指令に対する拒絶意識は、EU憲法案に対する「ノー」運動において重大な役割を演じた。何故ならばそれが、EUによって今もって指揮されている自由主義的諸政策を起点として悪化してきたあらゆる物事を、凝縮し象徴していたからだ。従ってその時シラクは、この指令を荒々しく批判し、それが終わりを告げ埋葬されたことはほぼ決まりだ、とまで触れ回った。彼にとってこのように振舞うことはその時点では、憲法条約案を救い出し、左翼の立場に立つ「ノー」の抑えがたい高揚を妨げることを賭けた問題だったのだ。
 しかしボルケシュタイン指令は、終わりを告げ埋葬されるどころか、決して放棄されなかった。そしてそれは、EU諸機構の回路を巡る自身の道を滞りなく巡った。こうしてそれは、域内市場と消費者保護について委員会による修正を経て今ここにある。
 出身国主義は「域内市場条項」と命名された。しかしその条項は、EUのある1国で活動する企業は他の全ての諸国で、その企業の出身国の規制に従って活動することが容認される権利を自動的に持つ、という事実を何1つ変えていない。
 これは明白に、社会的規制、会計規制、また環境保護や消費者保護に関わる諸規制がもっとも弱体である諸国に向けた企業の再配置に対する、いわば奨励を意味している。もちろんそこには、労働者の権利の低い水準での均等化が付け加わる。
 さらにこの指令案は、無料のものを除く全てのサービスの自由化を準備しているという事実をも変えていない。そこで以前よりも広げられた変更可能な部分は、唯一対象サービスを狭める可能性だけである。しかし、これらの対象縮小が例えば保健事業のような高度に注意を要する領域に導入されたとしても、これらの制限も短時日の内にあやふやなものになるだろう。EU構築の歴史はそのことを示しているのだ。それ故、今狙われているものは事実上全てのサービス事業だ、と言わなければならない。
 ドイツのIG−メタル労組指導者のホルスト・シュミッテナーは、あまりに僅かにしか触れられずに過少評価されているこの指令案の1つの側面を、結論として次のように説明している。即ち、「ボルケシュタイン指令の採択は、単にソーシャルダンピングの激化に導くというだけではない。それはさらに、力関係への影響を通して、資本と労働の諸関係に深く悪影響を与える可能性が高い。例えば、ストライキ権は一体どうなるだろうか。この指令案が資本に可能とすることは、EUの法律に訴えることによって衝突を回避するという方策だ。その法は、紛争になっているサービスを供給する別の企業を探す助けとなるのだ。こうしてストライキ権は、EUの諸文書に例え公式的には書かれていたとしても、飛ぶこともできない<針のないススメバチ>へと無力化されるだろう」と。

曖昧さのない、単純明快な撤回を

 今課題となっているものは、この指令案の曖昧さのない、単純明快な撤回だ。ATTAC−イタリアの指導者であるマルコ・ベルザーニが言うように、「修正を目的にした戦略全ては失敗を運命付けられている。何故ならば、指令の適用対象が当初制限されたとしても、出身国主義(PCO)というその原理は、後になって1歩1歩広げられる可能性を持っているからだ。<軽量の>ボルケシュタインなどというものはない」。
 港湾労働者は、EUの港湾数カ所を封鎖したヨーロッパ規模のストライキを決行し、ストラスブルグにおける大規模なデモを実現することによって、EU議会を屈服させることが可能だということを明らかにした。彼らは港湾指令案の撤回を手に入れた。この指令案は船主に対して1定の条件の下で、船荷の積み下ろしに際し自社の社員を使う(港湾労働者ではなく−訳者)ことを認めていたのだ。こうすることで、労働者が高度に組織されている部門における社会的規制が曖昧にされようとしていた。港湾労働者はまさに道を指し示した。ボルケシュタイン指令の撤回は、同じように闘うことによって可能となる。
 2月11日のストラスブルグデモは、諸勢力がひとつになる関係を築き上げるための基本となる部分だ。それ故我々は、その成功を確実とするために、必要なこと全てを実行しなければならない(下記統一戦線アピール参照)。また同日、ヨーロッパの数十の都市では、数え切れない程の働きかけが率先して取り組まれようとしている。そしてEU議会での討論の日である2月14日、ETUCもヨーロッパ規模のデモを実行することで、先の行動に続く予定だ。
 そして議会がこの指令案をもし拒否しないのであれば、その次には我々は、ヨーロッパ首脳会合の機会を捕らえて、結集を広げ、ヨーロッパ規模におけるストライキとデモによって、圧力を高めなければならない。この時彼らは、人々の怒りをかっているこの指令案について、立場を決めるよう迫られるだろう。
注)筆者はLCR政治局員。(「インターナショナル・ビューポイント」電子版2月号)

【補遺】統一戦線アピール抜粋
 ボルケシュタイン指令計画に反対し、統一戦線の決起を

 「域内市場におけるサービスに関する指令」案は、2月14日ストラスブルグのEU議会で第1読会を迎える予定だ。出身国主義(…)に基礎を置くこの文書は、諸国家と諸民衆間の競争に対するいわば扇動である。それは、消費者保護のほとんどないソーシャルダンピング、文化への脅威、環境や健康に関する基準の低劣化などを体系的に進行させる。この文書は事実上、サービス部門の企業に対する民衆による統制を不可能にする。
 この文書の中では、公共サービスは依然として商品とみなされている。指令案は全てのサービスを、その多様性を考慮することなく(…)自由化したがっている。この文書は依然として、企業家の自由とは相容れないと判定されている手段の長々と続く一覧票を掲げているが、しかしそれは、公共的政策にとっては基礎となっている手段なのだ。
 この構想は世論による圧倒的な非難に突き当たった。(…)この構想を葬り去るためには、1国規模においてもヨーロッパ規模においても双方において、社会運動、社会団体、労働組合そして政党、これらの間の統一が必要である。(…)
 とはいえ、この計画は命を失い葬られたとかつて公然と語ったことのあるフランス大統領は、今その責任をとるべき位置にいる。彼はそのように請合ったことを重んじなければならず、この指令が日の目を見ないように行動しなければならない。この約束が今も維持されていることに責任を持つことをフランス政府に要求するよう、我々は市民に呼びかける。
 ヨーロッパ諸民衆の決起が今日不可欠だ。我々は今、2月11日にヨーロッパ行動日を設定することを呼びかけている。それは特に、ストラスブルグにおけるデモによって目に見えるものとされるだろう。我々はまた、EU議会での討論の機会を捕らえた、ETUCが呼びかけた2月14日のデモにも参加するだろう。
 このアピールにはこれまでのところ、フランスの25以上の組織が署名した。そこには、共産党、LCR、社会党青年組織、ATTAC、農民連盟、フェミニスト諸グループ、さらに幾つかの労働組合が含まれている。

 


 
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