第四インターナショナルの声明

「この戦争は全民衆への軍事報復行為である」
                
九月十一日の攻撃とアフガニスタンへの攻撃に関する
                                    第四インターナショナル国際執行委員会の決議         

  
1、アメリカが発動した帝国主義の攻撃は、歴史上はじめてアメリカの心臓部そのものを直撃した二〇〇一年九月十一日の攻撃に対する反撃とされているが、正当な自衛の行動ではない。それは全民衆に向けられた軍事的報復行為であり、先日のセルビア民衆や一九九一年以来今日までのイラク民衆と同様に、民衆はその支配者たちへの処罰罰という名の下に、現在爆撃にさらされている。
 またこの攻撃は「テロリズム」を根絶する手段でもない。反対に、テロリズムにたいして帝国主義の国家テロで応えることで、被抑圧民衆のなかに憤激と憎悪を増大させている。それは自らの陣営に属さないというだけでどんな人間の生命をも侮蔑することを抑圧者と同等に分かち合っているような人々のテロリスト的無分別を育ぐくんでいる。
 この第三番目の攻撃は、アメリカの軍事費が一九九九年以降に再び増大に転じるなかで行われている。軍事費は数年の間いわゆる「冷戦」期の平均レベルに落ち着いていた後に、上昇に転じたのだ。
 この十一年間の三番目として、アメリカは新たな、大規模の帝国主義的攻撃に身を投じ、それによってポスト冷戦期における覇権主義的、干渉主義的路線選択を確固としたものにしている。
 新たな重大な段階として、コソヴォ戦争に際して踏み出した段階を引き継ぎ、NATOの地理的制約のない軍事干渉同盟への転換が採用されてきた。
 
2、抑圧者の行為がいかに恥ずべきものであり、嫌悪すべきものであろうとも、人は 非戦闘員である市民たちの大虐殺、いわんや九月十一日に行われたような恐るべき大量殺戮はいかなる意味でも正当化はできない。
 ここにおける問題は、革命的人道主義、すなわちすべての抑圧者に対する闘いにおける社会主義者、国際主義者の道徳的優位性を裏打ちする基本問題だけではない。さらにまた闘いの性質およびその戦略的前提条件への自覚が問われているのである。
 帝国主義の支配はただ、二つの前提条件において打倒されうる。すなわち被抑圧国家における被抑圧民衆の大衆動員、および政府が遂行している帝国主義戦争に抗する、支配的国家内部での大衆運動の圧力、である。
 この観点から九月十一日に発生したような忌まわしい攻撃は二重に非道である。
 *陰謀的ネットワークによって遂行された攻撃は、彼らが擁護すると主張している人々を、二つのテロリズムの衝突に対する無力な傍観者の地位にへと引き下ろした。
 *彼らが闘っている国家の民衆を無差別に虐殺することによって、彼らはこれらの人々をその政府に走らせ、それを通じてそれらの政府が好戦的、抑圧的政策を強化するままにさせるのだ。
 これらの攻撃は反帝国主義とは何らの共通点もなく、反帝国主義の歪んだものですらない。大規模なテロの使用は民衆の基本的権利を抑圧する反動的な政治、運動の表現である。
 ビン・ラディンタイプの原理主義者は資本主義を支え、防衛しているのだ。彼らはブルジョアの一部やサウディ君主政治、パキスタンやスーダンの独裁制のような反動的国家機構の諸々の機関と結びついているか、あるいは結びついてきた。
 これらのグループはムスリム民衆に、偏執的で宗教的な、反帝国主義というよりは反西洋、反シオニズムというよりは反ユダヤ主義の思想を押しつけようと望んでいる。彼らはタリバン体制のような超反動的神聖政治の政治体制を押しつけようとし、その反動的目的を覆い隠すためにパレスチナの運動を利用している。

3、これらと好一対なものとして、帝国主義国家や従属的な国々でのブルジョア独裁のテロ行為は、「テロ根絶」と市民防衛の名の下に行われているが、それはただ市民をさらなる深刻な危険にさらすだけである。
 社会的公正さを欠いた政治的軍事行動の暴力は暴力を生む。抑圧者が発動する手段が圧倒的であればあるほど、被抑圧民衆の中で個々の反抗がおきてくることになる。それらの人々は、「別の側」、対立する陣営に最大の苦痛を与えるために最悪の極端に走るつもりであり、そして、不可避的に最も無防備な、すなわち市民を標的とするのである。
 テロリズムの真の根絶は、その欠かすことのできない前提として、すべての形態のテロリズムの根絶にある。それは政府によるかテロリストグループやネットワークによるかを問わない。それは物理的暴力によって持続されている政治的、社会的不公正が除去されるときにのみ可能である。
 自己決定権への民衆的権利を全面的に与えるための条件がどこでもつくり出されなければならない。すなわち、すべての国々における市民的自由と政治的民主主義、すべての民衆の自己決定権、そして法と平和に基礎を置く国際的関係の再組織が必要である。
 人間の生命への尊重が選別的であってはならない。
 ●イラクへの経済封鎖。それは過去の十年間においておよそ百万人の市民の 死の原因となったし、国連の統計によれば毎年十万人を殺している。その半分は幼児である。これは停止されなければならない。
 ●銀行と富裕な諸国によって被抑圧国に課せられている債務は飢餓と貧困を恒常化し、かつ発展を阻んでいるが、それは帳消しされなければならない。
 ●世界の最貧地域、とりわけアフリカにおいて全住民を破滅させているエイズのような伝染的疫病を一掃できる薬品の大量生産と配布が義務とされなければならない。
 
4、九月十一日にアメリカを襲ったテロリストの偏執は特別な源は、アメリカ政府によって育成され肩入れされてきた風潮の中にある。アメリカ政府とその石油の要塞、サウディ王制―世界の最も蒙昧で反動的な国家―は、進歩的民族主義や「共産主義」と闘うなかでイスラム原理主義を広め利用してきた。
 この利用はアフガニスタンでの二十年に及ぶ原理主義の分派を共通に援助するということで頂点に達した。魔術師の弟子として振る舞いつつ、こうしたやり方で、彼らが教え込んだ方法を今現在彼ら自身に向けている者たちの訓練をしてきた。
 西側帝国主義は不断に限りのない冷笑的態度と偽善性を露わにし続けている。この原理主義がイランの場合のように反西洋の顔をとるとき、彼らは民主主義と女性たちの権利の名においてイスラム原理主義の敵であると断言する。他方、そのイスラム原理主義がサウディ王制の顔をとるときには、最も完全な専制主義と最もひどい女性抑圧に抗する言葉を彼らは一言も持たない。サウディ王制は、世界の主要な石油の宝庫であるアラビア半島の資源開発に免責特権を与えられた帝国主義の道具なのである。
 
5、石油―資本主義システムの中心的靱帯であり、エコロジカルな不安定性の主要な原因である―は常にこの地域での帝国主義政治の中心的動力であり続けてきた。このことは、ブッシュ親子政権のような直接に石油利害を代表する政権が座につくときにより明白になる。
 これが、いかにして「反テロの闘争」という口実がこの装いとは無関係な計画の口実となるのかの理由である。アメリカは一方的に地球的な判事、陪審そして執行官を独占し、自らを法の上に、いかなる国際的法規制の外部におきつつ、世界の残りにはその命令を押しつけてきた。
 当初は数千人のテロリストネットワークの破壊を目標とした軍事警察行動としてアフガニスタンへの攻撃が示された。
 作戦の真の目的は極めて早く浮かび上がった。すなわち従順にアメリカ政府に従う別種の原理主義者たちやあらゆる種類の反動主義者たちの一群をカブールの権力の位置につけることである。
 手短にいえば、作戦の今日における真の目標は、四半世紀にわたるアメリカの不断の努力をその頂点に押し上げることである。それは地域全体を支配し、アフガニスタン支配を樹立することであり、隣接するパキスタンにおいて完全なものとなる地政学的計画の足場にすることである。
 当初、その主たる目標はソ連邦を揺さぶることにあった。ソ連崩壊後、アメリカ石油会社と政府の目的は、彼らの手中に中央アジアの化石燃料資源の確保に置かれた。   
 ただこれらの経済的、政治的計画だけが、アルカイダ・ネットワークのみが爆撃されたのではないことの理由を説明する。アフガニスタンへのコントロールを手中にするために、都市と他の住民の結集の場がアメリカとイギリスの空軍によって、「反テロ闘争」の口実の下に爆撃されているのだ。
 すでに爆撃によって直接にもたらされた数多くの犠牲者たちを別にして、おそらくは数十万人規模の犠牲者をもたらすであろう真に人道的災禍を引き起こす条件が作られている。さらに、現在の「テロリズムとの戦争」における帝国主義の目的のあいまいな性格はこのようなものであるから、計り知れない影響を持つ核兵器が使用されれば疑いのないことだが、事態は予測しがたい結果を伴う暴力のエスカレーションへと導かれることがありうる。核の使用はすでにアメリカの支配層内部で話し合われているのである。
 西側帝国主義の攻撃はいくつかのイスラム諸国で権力闘争を生み出しつつあり、その最も弱い環はパキスタンである。このようにして西側帝国主義の攻撃は、宗教的偏執者を、核兵器能力を持つこの国の権力の座につかせることもありうる条件をつくり出しているのである。
 
6、国際主義的急進左翼は今日、いくつかの戦線での闘争において緊急の課題に直面している。
 □アフガニスタンへの野蛮な爆撃を即時に停止させること。アフガニスタンの女性たちの権利とアフガニスタン民衆の自己決定権を防衛すること。
 □イスラエル政府によって遂行されているパレスチナ民衆に対する恒常的攻撃と国家テロの殺戮的エスカレーションに緊急に終止符を打たせること。パレスチナ民衆の正当な権利を防衛すること。
 □人命を危うくするイラクへの経済封鎖を解くこと。ロシアにおいてプーチン政府のチェチェン民衆への殺人的攻撃を止めさせること。
 □パレスチナやコロンビア、アイルランドに関して行われている交渉に関し、これらの国々を、世界規模の「反テロ闘争」の軍事的対象として考慮するように脅迫す帝国主義の圧力を告発すること。
 □人種主義と闘い、難民の権利を防衛し、他方において原理主義者のテロと闘い、一切の妥協を排してあらゆる形の偏執と闘うこと。いわゆる「西側の優越性」についての説教や移民たちが直面している西側諸国における人種主義の台頭を正面から告発すること。
 □西側諸国における市民的自由と民主的権利への正面攻撃に対する反撃を組織すること。警察による監視の拡大の対象となっているものは、もはや移民コミュニティだけではない。ほとんどすべての社会運動もそうである。シアトルからジェノバに至る、プラハとエーテボリを経由した新自由主義的な資本主義のグローバライゼーションに対抗する力強い運動の高揚を崩す狙いを持った抑圧のエスカレーションがこのようにして再武装され、固められている。
 □大量のレイオフと闘うこと。レイオフのための経済危機が口実に使われるが、まさにその瞬間において政府は絶え間なく公的資金を費やし、資本家の多くの部門での利益低落を埋め合わせているのである。
 □核軍縮と軍事費の急速な削減のために闘い、社会的費用と大量の開発援助に置き換えよ。
 □WTOの枠組みにおける新たなラウンド交渉開始と闘うこと。それは世界の最貧困民衆への巨大なコスト押しつけの下で、農業とサービスへの新自由主義的攻撃を拡大することを狙いにしているのだ。
 そして
 □タックス・ヘブンとマネーロンダーリング・ネットワークの除去を求め、同時に資本移動のコントロールと課税を要求すること。
 闘争においては大衆的動員の形態が多様であり、また参加の動機がさまざまであることを尊重しつつ、国際主義的急進左翼は、これらの資本主義的グローバライゼーションの攻撃のさまざまな側面に抗するすべての大衆闘争を前進させる義務を負っているのである。 
 
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