国際主義労働者全国協議会21回総会コミュニケ

現代の過渡的綱領のための闘いが必要である

                            国際主義労働者全国協議会

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 国際主義労働者全国協議会は10月下旬第21回総会を開催した。
 今総会では、来年開催の第4インターナショナル第16回世界大会決議案(事前配布)の国際討論との一体的な討論をめざし、6人の同志が以下の問題提起を行った(レジュメ提起4、口頭提起2)。
 @気候変動についての報告(口頭)
 A世界の政治・経済枠組みの歴史的変容と反資本主義左翼に問われる課題並びに「東アジア共同体問題」の歴史的意味(レジュメ)
 B歴史的転換/選択が問われる新しい時代にどう闘うか(レジュメ)
 Cテーゼのために…社会主義革命の戦略の確立(レジュメ)
 D新しいインターナショナル・反資本主義左翼と日本における組織統合の展望並びに実践的課題(レジュメ)
 E労働者運動の現状と今後の課題(口頭)

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 すべての報告は、あらかじめ委任されたテーマに応じて、あるいは諸同志の個性を反映してアプローチや切り取る角度に一定の違いはあったとしても、世界が直面する歴史的で根底的な危機が客観的に要請する世界の抜本的な方向転換と、そこに向けて労働者民衆が必要とされる闘いのあり方並びにそこでのわれわれの任務に、共通に焦点を当てていた。結論を言えば、現在が深い危機の時代にあるとの認識を出発点に、そこからの脱却を基本課題とした戦略的な闘争の目的意識的な追求が必要不可欠となっていること、したがって、そのための戦略的な路線設定とそれに基礎付けられた活動の具体化への着手を強く意識した課題提起、またその観点からの討論を求める報告である。当然ながらそれらはいずれも、現代世界に生じているさまざまな側面から、また労働者運動の歴史的経験をも下敷きに、深く検討を必要とする問題提起だった。
しかしそれぞれの報告がレジュメ提起あるいは口頭提起であったことそれ自身が示すように、また当然ながらわが組織の力量を前提とすれば、今総会がそれに十分にふさわしい討論を可能とし、一定の結論を見出す段階にはなかったこともまた明らかだった。討論の多くは今後に残され、またそこには、われわれを超えるはるかに多くの知見と経験が統合されなければならない。まさにそれ故にこそ、新たな反資本主義左翼としての結集が求められる。
 にもかかわらず、例えいかにまだみすぼらしいものであったとしても、戦略的な闘いに向けた、いわば現代の過渡的綱領とそれに基づく一貫した実践のあり方を具体的に探り出すための、討論とそれに必要な活動は始められなければならない。今総会はこの立場から組織された。
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 議事は、第1報告に関する討論、第2〜4報告に関する一括討論、第5、第6報告に関する討論と進められたが、討論そのものは、内容的に相互が関連する連続した一体的討論となった。そして討論は、各同志の日常的な活動を素材的根拠として、広範囲な問題領域の具体的な経験と照らし合わせる形で、きわめて活発なものとなった。
 いくつか取り上げれば、労働者民衆の日常に現れている危機の諸相とそこからの脱却方向に関連して、労働のあり方やベーシックインカムとして提起され始めている民衆生活の社会的下支えの問題のみならず、医療や介護の現場で貧困がひとびとの絆をずたずたにする形で貫徹する問題、あるいは完治を告知できないがん患者が遭遇するような、病気を抱えた労働者の社会復帰の問題などを前に、シングルイッシューでは済まない総体的な社会構造の変革を、具体的な形で打ち出す必要が確認された。それらの必要性には当然のこととして、財・資源の抜本的な社会的再配分の課題が内包される。したがって、さまざまな論題において、そこにおける国家の位置づけ、官僚制、さらに社会主義の再定義の問題も繰り返し論点にのぼり、見解の交換が行われた。
 同時に上記の問題も現代では国内的に完結できない。現在の危機は一国的には解決不能な危機、いわば世界的に普遍化された危機である以上、労働者民衆の闘いも、国際的な枠組みにおける脱却という展望を不可避に必要とする。その点で、戦後の第4インターナショナルを規定してきた3セクター論を超える展望の問題が一つの軸として討論された。この観点から特に東アジアにおいては、中国の共産党官僚独裁の解体を具体的にどう展望するかについて、いくつかの経験を題材に議論が行われた。壁の一つは中国国内の民衆の動きが横につながれないことにあるが、例えば移住労働者問題をきっかけとした日本を媒介とするつながりの可能性、いわば反貧困を基盤とした国家を超えた共有空間の発展などが留意点として提起された。他方で、中国共産党は一枚岩ではないが同時に文化大革命の傷跡はきわめて深い、という問題も指摘された。要するに党内党外を問わず、中国国内における政治的分化の進行は単純には想定できず、いずれにしても、われわれにも柔軟な思考が要求されることが確認された。
 この国際的観点を土台に、第1報告に関する討論は、どのような闘いをめざすのか、を中心的問題意識とするものだった。討論を通して、世界大会議案も重点を置く「南」における生態系と生活基盤の破壊が現に進行している問題、並びに社会の構造転換の必要性に立って、「南」における食糧危機を含む貧困との闘いとの一体的闘争、という方向が共有された。その方向に関しては、一部に根強く残る「陰謀論」を克服する回路としても重要性が指摘された。そしてこの場合においても、財・資源(エネルギー資源を含む)の抜本的な国際的再配分は自ずから不可欠となる。人類史の経験は、市場がそのような配分を実現した事実が皆無であることを示している。そうであれば、気候変動との闘いを市場に頼るという方法は、基本的に排除される以外にない。
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 日本における「政権交代」の意義と民主党の政策がもつ客観的機能に対する評価は、以上の問題意識の中で議論された。討論では、「政権交代」が世界を規定する危機の構造の日本への貫徹であることが指摘され、日本の戦後ブルジョア支配の枠組みを破綻させたその危機の深さと容易には脱却不能である事実から今後を考える必要が強調された。その点で、ブルジョア政党である民主党が独自に一定程度であれ日本に新たな安定的な枠組みを作り出す可能性は小さい。民主党の政策の中に日本の伝統的理念を覆すものが含まれていることは事実だとしても、民主党の中に内発的にそれを進める力はないこと、それを社会変革の方向に引き出す課題はもっぱら独立した社会運動の力にかかっていることも指摘され、確認された。その意味で現局面における社会運動の意義は、人々の切実な要求を少しでも実現に持ち込む上で、さらにそのことで、今後の社会変革に向けた労働者民衆の主導性を高める可能性を開く点で、きわめて大きい。まさにそれ故に、われわれもその可能性を最大限に追求するために全力を注ぐ必要がある。
 しかしわれわれの活動をそこに留めるわけにはいかない。労働者民衆が必要とする社会の変革がその単純延長上に展望されることはないからだ。相当早期に、民主党と人々の要求は厳しく衝突するだろう。その根底にはまさに危機の深さがある。いわば危機が「友愛」を引き裂く。そしておそらく、今の政権後を含めてそのような展開の繰り返しは一定期間不可避となるだろう。それ故にまた、社会運動の独立性は決定的に必要となる。
 今総会はその見通しに立つものであり、戦略路線確立のための討論着手もそこに立脚していた。その討論も、それを支えるわれわれの日常の実践経験も明らかに決定的に不十分である。しかし今総会は少なくとも、始めなければならないという点での認識と討論基盤の共有を確認した。討論それ自体はいくつかの準備的な問題意識の交換にとどまっている。今後に残されたものは多い。
われわれ自身の意識的な討論の続行は前提として、同時にそこにおける重要な課題は、労働者民衆の共同行動の進展を支えとした、より広い基盤に立った討論の深化であり、実践経験による繰り返しの検証である。総会は、それらを進める上で、今夏始まった週刊「かけはし」の共同発行を第1歩の不可欠の足がかりとして確認し、その活動のさらに確かなものへの充実をめざすことを確認した。
以上。



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