危機にある私有化−保線の再国有化
          脱線ジャルビス、ブレアを逆送線へポイント切換え        
                   
 ネットワーク・レイルは全ての保線作業を事実上再国有化した。トニー・ブレアの新自由主義私有化戦略にとって、これは大きな後退だ。以下でピアース・モスティンが、この展開の背後にあるものと、他部門での戦闘にとっての意味を考える。

<現実が強制した再国有化>
 2003年秋に私有化されたレイル・トラック社の破綻に続き鉄道施設諸社(線路と駅を経営)が公共管理に移され始めた。しかし、保線作業は依然外部契約されることになっていた−市場の地位に対する新労働党の理念的関与が推進するものとして−。
 次いで10月、受注社ジャルビスは、実行できない仕事があり、3500人分を公共部門に戻すと発表した。ジャルビスがそうさせられたというよりも自らそうしたのかどうか、それに実際的意味はない。
 ジャルビス自身が言うように、その仕事はもはや収益的ではなく、彼らを「世評上のリスク」にさらしたのだ。即ち、英国鉄道網の維持におけるジャルビスのぞっとするような実績は、他の場所での彼らの利益を脅かしていた、ということだ。
 貪欲を動機にジャルビスは、事業売却を最後まで試みた。しかしネットワーク・レイルはその業務を手中に置いた。ポッターズ・バー駅の致命的な衝突と他の数々の過失履歴に対するジャルビスの責任を前提とすれば、他のどれであれ大規模な逆行のきっかけになっていたはずだ。
 しかし上記の経過の上でも、保線の60%は未だ私的管理に残された。これは明らかに筋道の立たないことだった。鉄道労組RMTは、全ての再国有化という彼らが長期に保持した要求を追求した。10日後にネットワーク・レイルは、残りの60%をも手元に戻した。不適格ランクと、この分野における詐欺行為記録保持者の故に損害賠償請求を受けているただ中で、ジャルビスはまだ軌道更新に関わっている。そして旅客諸団体は、まさにこのことに憤慨している。
 労働党は元々は、保守党政権が進めた鉄道事業私有化に反対だった。しかし政権に着くと再国有化できなかった。そして致命的な数々の衝突事故、無能力、利用者と労組が率いた公開調査とキャンペーンの6年を、この政府はやり過ごした。それ故公開調査とキャンペーンは、いやがり抵抗する政府を、再国有化にまで引っ張っていくためだった。この経過を見れば、今回の現実を、政府の文字通りの敗北ではなく何か政策決定であるかのように装うことは、どれ程の情報操作を積み重ねようと不可能だ。

<次は地下鉄だ>
 照明は今ロンドン地下鉄に向いている−最近になってこの事業は、30年契約の私的保線に組み入れられた。しかしそれは、私有化と闘うためにケン・リビングストンを市長に選出したロンドン市民の、圧倒的な敵意を向こうに回してのことだ−。
 全国の鉄道での破綻にも拘らずジャルビスは、今も地下鉄では中心的会社だ−北線に責任のある事業資金団であり、この線で10月に2つの深刻な脱線事故の1つが起きた−。
 地下鉄に関する新労働党の政策がいかにすれば維持可能となるのか、それを知ることは難しい。まして、市長選において僅か13%の得票率で4位に沈んだ党をもってしてはなおさらだ。ロンドン地下鉄諸労組は、ストライキ支持投票による圧力行使に一斉に踏み込むつもりだ。

<事実はごまかせない>
 3つの主要な党はいずれも、利潤のために経営される公共サービスという理念を後押ししている。しかし、保健、教育、鉄道において何十億ポンドもの価値をもつ公共部門契約を抱えた、英国の頂点に立つ建設エンジニアリング会社が、どのようにして基礎的保守契約を満たせなくなるようなことになったのか、このことを説明できる者は誰もいない。
 これらの企業は定義からして利益を上げることが必要だ。この利益はたとえすぐさま入らないとしても、それは大きくかつ保証されたものでなければならない。これをもし何かが脅かすとすれば−見苦しくない賃金、保健、安全、質の良いサービスのような、あるいは市場の移り気ですらも−、それらの企業はもろいのだ。
 従ってそれらは、労働者への払いをケチリ、手抜きをし、短期かつ柔軟な契約で働かせる。これは、基準の切下げ、高い転職率を伴った志気が低く、経験の浅い、未熟練の労働力、いかなる戦略性もない作業計画、そして民主的な説明責任の全くない経営に行き着く。
 私有部門支持者の主張は、保線の問題は独特のものだ、ということだ。しかし、私鉄、私バスの諸企業は、完全にいかさまの「市場」で活動している。道路運送産業のようにそれらは、ただのあるいは不公正な安い基本施設、維持管理、情報サービスその他の形をとった、巨額の隠れた国家補助金に完全に依存している。もしもそれらが真の価格を払わざるを得なかったとすれば、さっさと逃げ出しただろう。
 このような批判のある優遇された経営であるにも拘らず、運輸に関する議会特別委員会の報告は仮借のないものだった。即ち、列車、バス、地下鉄の超過密がひどい程度に達した、と指摘したのだ。何千という利用者は、いつも200%以上も詰込まれたいくつかの通勤列車のおかげで、「日常的トラウマ」に直面している。「効率性」と「より大きな投資」と引換えになったものは、これ程に大したものだ。

<公共サービスの私有化は機能しなかった!>
 そして保線の挫折は、他のところにも及ぶ。私有化された教育は紛糾の渦中にある。WSアトキンスはいかがわしい支払いを受けた上で、サウスワークの教育を管理する契約から、5年で1億ポンドという契約期間の途中で撤退した。ハックニーの教育は、破綻しかけているノルド・アングリア(この分野でのトップ企業)から引き上げられざるを得なかった。さらに、現金での利益配当を守るために諸目標が低められたにも拘らずセクロが破綻したために、政府指名の調査委員会がブラッドフォード私有化教育局(国内最大)に投入される事態となっている。
 配電もまた危機状態にある。ナショナル・グリッド・トランスコは、13年間にわたる最も供給力の細った電力の苦境について、今年冬の15%きっかりにまで減退した余剰能力と合わせて警告した。専門家は、この状態はロンドンとブリングハムの数十万人に影響を及ぼした最近の停電時よりも悪い状態かもしれないと恐れている。それは又、イギリスが、イタリアやアメリカの数地域で見られた全面的マヒに向っていることへの恐れだ。私有化と規制解体はシステムを、主要な関心が費用を最少化し利益を最大化することである企業の手中に置き去りにした。
 保健部門でのPFIスキャンダルも又数多くあるが、それは別に取上げる。
 ここには1つのパターンがある。利潤のための公共サービス経営は、機能しなかった。惨害、活動水準の低落、金銭の浪費、そして新労働党のスターの衰えの後を追って、一般的幻滅が全面化の途上にある。
 再国有化は今、先ず列車運行企業と地下鉄に焦点を合わせつつ、日程にのぼっている。
 トニー・ブレアは、バックギヤーは全くない、と主張している。しかしそれでも問題はない。最近のできごとが示したことは次のことからだ。即ち、労働組合と左派によって、「利益以前に人民だ」のスローガンの下に、ブレアを逆送線に送り込むポイント切換えは可能だ、ということだ。(「ソーシャリスト・レジスタンス」11月号)
 
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