WORLD EXPO (付録)
前回のWORLD EXPOで、大した行事ではなかったと書いたところ、アッ◯ル社が
DVD用の編集ソフトやMP3用のソフトなどを発表しているので、大したことがないと
言いきるのは如何なものか、とゆー意見を頂戴しました。そーゆー訳で、これらにつ
いて、ちょっと考えてみましょう。ただ、そーとー辛口になることが予想されます
ので、いいのかなー。(^^;
これらのことを取り上げなかったのは2つ理由があったんです。1つは、アッ
◯ル社のソフト重視の方向は問題があるかもしれないと以前に書いたので、繰り返
しになっちゃうからやめた方がよいかなと考えたからです。2つめは、動画や音楽
などに関する技術は、今、方向がちょっと予測しにくく、さらにこれらはフォーマ
ットなどの問題から、シェアの小さいアッ◯ル社の影響力に疑問があることです。
まず、アッ◯ル社のソフト問題ですけど、これは人によって判断が別れるとこ
ろだと思います。WORLD EXPOでアッ◯ル社がソフトを発表した背景には、恐らくMac
OS Xのことがあったのでしょう。以前のアッ◯ル社の約束やsnowdogの予想してた
のより、少し(^^;遅れたのですが、ともかくMac OS Xは3月末には、製品版が販売を始
めるみたいです。そこで問題なのは、Mac OS X用のソフトでしょう。エミュレーター
が機能するといっても、新しいOSの機能を目一杯使うソフトが欲しいのは人情です
し、なによりMac OS X用のソフトが豊富に揃っていないと、わざわざMac OS Xに乗
り換えるメリットは感じられません。OSというのは、結局のところソフトを動か
す為の裏方さんですからね。LinuxやBSDがうけている理由の一つに、UNIX系の膨大
なソフトが動かせることがあったりします。Mac OS X自体はものすごく話題になっ
てますが、Mac OS X用のソフトで目立ったものは今のところ少ないよーに思います。
まあ、いくらなんでもどのくらいユーザーが存在するか不明な新OS発売前には、ソ
フトメーカーも動きにくいでしょう。なによりMac OS 9がバージョンアップしたり
してますから、ここは様子見してから本腰を入れようと考えても不思議はありませ
ん。これに対して、アッ◯ル社はMac OS X用のソフトを出すことで盛り上げようと
思ったのかもしれません。ただ、アッ◯ル社の今回のソフト発表って、過去のクラ
リスの吸収もそうですが、かなり危険な判断かもしれません。まず、一番の問題は
OSの製品版発表前にそのOS用のソフトをOSメーカーがつくっちゃったことでしょう。
確かにβ版は事前に販売してますが、細部に変更はあるハズです。それらの情報な
どを持っているアッ◯ルがソフトを作ってしまった場合、マック市場で活躍してい
るメーカー、特にアッ◯ルから優遇を受けられないような小さいメーカーや新規参
入社にとって、フェアな競争をアップルはするつもりはないと宣言してると受け取
られる可能性があります。例えアッ◯ルがクリーンルームで開発しているといって
も、やっぱり不信感はあるでしょう。アッ◯ル社って、クリーンルーム方式でソフ
トの開発してるんでしたっけ?さらに、ただでさえマック市場は小さい中で、その
市場の中で最もブランドネームのあるアッ◯ルが、ソフト開発と販売に乗り出して
くると、その他のソフトメーカーのやる気を削ぎ、マック市場からの撤退を促進す
る可能性があります。某OS市場と同じ思いをするなら、市場の大きい某OS市場
でした方がマシでしょう。なにせ販売したソフトが市場で同じシェアをとっても、
10倍売り上げがあるんですからね。そんな形でソフトメーカーが減って、ソフト
数が少ないと市場自体の活気が低下する可能性がありますから、下手をするとアッ
◯ル社は自分の首を絞めることになるかもしれません。マック市場は、市場価値で
保っているのじゃなくって、マックに対する愛着でなりたっているのですからねー。
もう1つの理由の動画や音楽の問題は、もっと深刻です。これはパソコン業界
自体の問題を含んでいるように思います。事務仕事など処理には、ちょっと前から
十分な能力をパソコンは持っていて、パソコンの買い換え需要が落ち込む理由の1
つになっています。性能アップしたパソコンを事務処理能力ではアピールしにくく、
新製品が買ってもらえません。そこでパソコンの利用方法を広げる為にも、最近はイ
ンターネットも絡めて動画や音楽を利用形態に取り込もうとしているみたいです。
んで、インターネット回線の問題もありますから、動画や音楽を圧縮する必要があ
ります。んでこれはとっても重い仕事ですから、メーカー側はパソコンの性能をア
ピールして、製品の買い換えなどの需要を喚起しやすいと判断しているみたいです。
ちょっと前のカラー写真の入った年賀状と同じような販売促進方法でしょう。さて、
ここで問題なのは、これらの重い仕事を何にやらせるかです。1つはCPUの能力の
高さをもてあまし気味なCPUメーカーで、これらを強力なCPUで行おうとする立場で
す。もう一つ勢力があって、専用のチップを開発して、これにやらせるとゆーもの
です。どっちも専用の回路でやることに変わりはないので、ユーザーとしては大し
た違いはないようにも思えますが、パソコンのCPUは実質的な寡占市場ですから、
チップメーカー同士、というよりチップメーカー連合同士の激しい戦いがあるみた
いです。これは実はとーっても昔からある競争です。ビデオカードがその代表でし
ょう。ビデオカード自体、CPUパワーの不足から発生してますし、それに対してCPU
側が能力をあげればビデオカードメーカーも、3D能力を強化するなど激しく戦って
います。最近では音楽のMP3圧縮などの能力をCPUメーカーがアピールすれば、逆に
周辺機器メーカーは、メディア用の統合チップの開発で対抗しています。普通、将
来の予想される利益と開発資金の問題で適当なところで収まるのですが、アメリカ
を中心としたハイテク株で行われるマネーゲームのおかげでお祭り騒ぎに拍車がか
かっています。さらに問題をややこしくしているのは、これらの分野は元々家電業
界の分野でもありますから、家電不況に悩む家電企業の参戦といった事情もありま
す。結構先行きが見えにくいんですよねー。ソニ◯さんみたいに家電が事業の柱の
場合、専用チップの方が後々、なにかと製品を開発しやすいですし、パソコン市場
ではイン◯ルを中心としたCPUメーカーが強いんですよねー。マックに至ってはモ
ト◯ーラの独占状態です。こーゆー現状を考えますと、アッ◯ルのこの分野向けの
ソフトって厳しいですよねー。アッ◯ルの場合、G4のベクトルプロセッサにものを
いわせた形でソフト開発するしかありません。これはG4の採用がその為だったりし
ますから、妥当な判断ですが、G4はマックだけしか存在しませんから、間違っても
G4にだけ有利な形の規格は採用されないでしょう。専用チップ用の規格が業界で採
用とゆーかデファクトスタンダードになっちゃったら、一気に存在感が低下しちゃ
う可能性があります。MP3はまだ大丈夫みたいですけど、動画を含めたコンテンツ
はJPEG2000とゆー規格が提出されてます。かなり重いみたいですが、画質や音質が
良くなりそうで、専用チップにより開花しちゃうかもしれません。その他にも幾つ
か規格があるみたいですが、主流になるのが何かでかなり変わってきちゃうでしょ
う。そーすると、アッ◯ル社のソフトの影響力はアッ◯ル社の製品であるが故に
小さいものになると思います。
DVDに関してはさらにもう1こ、深刻な問題があります。誰がDVDの編集ソフト
を使うのかとゆーことです。まず、プロは使いません。だって、DVD用のコンテン
ツのメインは映画などですから、それ用の器材が主流でしょう。この分野ではソニ
◯やパナソニ◯クなどが圧倒的に有利です。CG制作もア◯ファなどのクラスター使
用が最近の主流ですが、まあ、そーなるとマックじゃ無理です。となるとパーソナ
ルユースが中心で、これらのソフトの価格からもアッ◯ルもそう考えいるみたいで
す。DVD自体が現在のトコ、メジャーなメディアとは言いにくいので、編集作業し
たい人がどのくらいいるのかが不明です。正直に白状しちゃえばDVDがメジャーに
なるかどうか、かなり疑問に思っていたりします。決してDVDのせいではないんで
すが、中途半端だと思いませんか。大容量MO並とまではいいませんが、まあ、そ
れに近い印象を感じていて、バックアップメディアとしては、現時点では失格です
し、それ以外でパーソナルユースは、ねえ、どうなんでしょう。さらに問題なのは、
編集する素材が家庭用のデジタル機器から供給されることですねー。アッ◯ル社は
家電メーカーじゃないので、他社製品を利用することになりますが、家電各社とも
パソコンを生産していて、それと組み合わせてユーザーを拡大しようと考えていま
す。ソニ◯さんなどはデジタルビデオカメラに加え、今まで業務用が主体だったハ
ードディスクビデオなどまで投入して、この路線を強力に押し進めています。これ
らの周辺機器を持たないアッ◯ルは苦戦することは間違いありません。少なくとも
後塵を拝するのは必至でしょう。ソニ◯やIB◯のPDAがマックを無視しちゃっ
たのは記憶に新しいことですよね。そんな風に考えると、別に注目するようなツー
ルではないと思いませんか。iMac系でG4が主流になれば影響力も出てきますが、G4
PowerMacのユーザーが少ない現状では、どーでもいい存在でしょう。"i"シリーズ
がG4に完全に切り替わった後に注目した方が賢明とゆーか、当分の間、様子見です
ねー。それほど注目されないうちに、静かに消え去るんじゃーないかなーと思って
います。もちろんアッ◯ルは頑張って抵抗して一定のシェアはとるでしょうけど。
如何だったでしょうか。前回取り上げなかった理由のどちらも、今からのアッ
◯ル社の動きによっては、何とか成り、市場に影響を持てるとは思うのですが、ち
ょっと幸運を必要としそうです。(それもアッ◯ルが市場やユーザーの希望を読み
違わないというのを前提とした場合に、です。)どうもマイナスの影響力の方が大
きそうなので、暖かい目で(^^;見守りたいものですねー。
snowdog 2001 1/19