I've to Be Moved
これ、何だと思います?かなり昔、日本IBMでは、社名の意味は
こうだって社員の間で噂になっているといわれていたジョークです。意
味するところは、失敗すると、すぐ飛ばされるってことで、まだ、外資
系スタイルの就業形態が定着していなかったころのお話です。実際のと
ころ、本当にそうだったのか、社員がそう言っていたのかどうかは、知
らないんですが、外資の象徴の1つであるIBMを揶揄したのか、うら
やんだのかは分らないのですが、一部でこんなジョークが神話のように
語られていました。そのIBMですが、最近、Linuxにとっても力を入
れています。
不思議なことですよね。下はパソコンから、上はスーパーコンピュ
ータまで、チップのアーキテクチャから製造まで、全部一人で作れちゃ
うIBMがLinuxに力を入れてるなんて、考えてみたら、信じられない
話です。Linuxが、なんかメジャーになっちゃった時にIBMがLinuxを
サポートすると宣言した時も、ここまでLinuxは存在が大きくなったか
と思う反面、まあ、お付き合い程度だろーと思っていました。ところが、
まあ、大手のメーカーの中では驚くほど力を入れています。なんで?っ
って思っても不思議はないですよね。
IBMの場合、最も力が発揮されるのは大規模なシステム構築です。
これは大型コンピュータからパソコンまで、全部作れるからなんですが、
逆にパソコン市場でのIBMは、屈辱の歴史を歩んでいます。実際的な
パソコンとゆーものは、アッ○ルなどが作った歴史です。マックじゃな
く、Apple IIとゆーやつですが、IBMは我関せずでした。んでもって、
パソコン市場が形成され、事務作業に使われるよーになると、ビジネス
マシーンが看板であるプライドを傷つけたのか、いわゆるATを作りま
した。当時のIBMは、そんなチャチなもん、やってらんないと思った
のか、噂では手がまわらなかったとかで、マイク○ソフト社にDOSを
制作させてOSとしました。んで、当然とゆーか、Apple IIの成功を鑑
みてオープンアーキテクチャとした訳です。マックは逆にクローズドア
ーキテクチャになっちゃいました。ですから、Aplle IIのファンから、
ATのファンに主旨変えした人も多くでました。何故アッ○ルがクロー
ズドアーキテクチャにしたのかはIBMが証明してます。つまり、互換
機が沢山できて、大元の方は売れなくなっちゃったんですね。もっとも
お値段が高くても買ってもらおうとゆー態度に問題があるよーには思う
のですが、ジョブズにはApple IIのことがトラウマになったのか、互換
機を徹底的に否定してることでもこれは証明してます。IBMはその後、
自分で先頭になってパソコンの規格を進めようとして失敗したり、OS
を自分で作ってみてユーザーに受けなかったりと失意の時期が続きまし
た。問題は、自分自身が大企業にありがちな高飛車な態度なのか、図体
が大きくって小回りが効かないせいなのか、と考えたのでしょー。90
年代、特に後半はかなりIBMが変ってきています。
IBMがパソコンに注目したのは、恐らく端末としてユーザーが使
うのがパソコンだと気がついたのでしょーね。まあ、80年代のパソコ
ンじゃーそれすら困難ですが、とにかくパソコンをもたないと自分の土
俵である大規模システムを作る時、受注者に受けないんでしょーね。ん
で、自分が過去に作った某OSは諦めて、マイク○ソフト社のOSを載
せたパソコンを販売します。性能を上げ(これはIBMには簡単ですが)、
値段を下げ、涙ぐましい努力をしました。でも、CPUはイ○テル製ですし、
OSはマイク○ソフト製で、この状況をなんとかしようと打った手は、
アッ○ルとモト○ーラとの共闘です。立場的には近いはずですが、アッ
○ルは抜けちゃいました。つまり互換機の排除です。snowdogはこの時、
マックの市場シェアでの勝利はなくなっちゃったと思います。まあ、
PowerPCの製造では協力してますが、アッ○ルはPowerPCのアーキテクチ
ャを買いとって、IBMとモト○ーラに販売する形をどーも目指してる
ようですし、製品開発でもG3路線を押し進めるIBMとG4、G5を
目指すアッ○ル&モト○ーラの間にはちょっと開きが出てきてるみたい
です。チップ製造に関してIBMは、とーっても強力なメーカーですか
ら、手を切ることは無いでしょうが、両者の温度差はあるみたいです。
個人的な意見として、温度差があるのは、IBMとジョブズの間だとは
思ってます。IBMはパソコンOSをマイク○ソフトに牛耳られてる状
況をなんとかしたい訳で、アッ○ルにもふられたので、しかたがないか
らLinuxへの参加となったのだと思います。こうして考えるとマックOS
のファンにとっては痛手でしょうねー。だって。IBMの強力なバック
アップが期待できたハズですからね。それに魅力的な互換機が出たら、
アッ○ルはユーザーにもっと気を使ったマックを作るでしょ。サブノー
トやCD-R/W搭載モデルがもっと前に出ているハズです。しかし、マイナーだから
マックが好きな人も多そうですから、好ましい結果なのかもしれません。
それはともかくとして、IBMの立場では、マックOSでもマイク○ソ
フトのOSでも、お金を払って買うしかなくって、OSの改良なんかも
やりにくいのですが、Linuxの場合は無料で使えて、勝手に自分のやり
たいよーに改造できます。もしかしたらIBMにはこの方が有利だった
かもしれません。この手のOSの改良は得意分野の1つでしょうし、U
NIX系のソフトの手持ちも多いでしょうから、マックよりは楽かもし
れません。んで、これで端末や低レベルサーバーを作って、とゆートコ
までは理解できるのですが、なんか、IBMは大規模データベースにま
でLinuxを使用しはじめて、2001年度には10億ドルをLinuxに
投資するんだーって宣言してます。なんで?
こんなに投資する理由は2つあるみたいです。1つは、マイク○ソ
フト社や○UNなどの競合企業の力を削ぐためなんだそーです。パソコ
ンやワークステーション市場でLinuxがシェアをとれば、Linuxと距離を
置いている他の企業の力を削げる訳です。嫌がらせみたいなものですね
ー。そしてもう1つは、商品が変ったとゆーことらしいです。今までI
BMが売ってきた主力商品は、ハードウエアでありソフトウエアだと考
えてきたけど、実際は違うんじゃないのって考えてるみたいなんです。
結局、自分のとこで何でも作れちゃう技術力を基本にしたサービスを含
めたモノ、彼らは「eソーシング」って表現してますが、これが商品だ
と今は考えてるみたいです。パソコンやデータベースなどの個々がバラ
バラで働いてもお仕事に有効ではない訳で、パソコンにはサーバーが必
要ですし、データベースも必要です。そしてこれらを部署間や支店間で
連携させないと有効利用は困難です。さらにそれを保守して維持しなき
ゃなりません。これらをなんとかしまっせーといって、んで商売にしち
ゃってるみたいです。んで、利益はしっかり出てるみたいです。ですか
ら、Linuxコミュニティとうまくやる為に、少々自社で開発した技術を
提供したり、Linux用としても販売しても、結果的には損にはならない
と考えてるらしいです。だって、その技術成果自体は商品の一部でしか
ありません。コミュニティもIBMとゆー看板ができて、安心して発展
に専念できます。その成果が持つ信頼は、結局IBMが商品を売りに行
く時に役立ちますよね。IBMだからできる技とは言えるかもしれませ
んが、ユーザーと企業の利害が一致してる部分が結構あるとも言えます。
Darwinがオープンソースでリリースされましたが、アッ○ルの態度
や進む方向はIBMとは違うみたいです。さて、どのくらいの人がDarwin
に興味を示すのでしょう。だって、Darwinじゃなくっても、同じような
ものは入手できますよね。例えばmklinuxなんて、ベースは同じです。
特に最初の次世代マックOSの開発はmach2.5ベースで、mklinuxは3.0
ベースで開発されました。そしてDarwinも3.0ベースです。だから、公
開しなきゃまずいでしょ。アッ○ルがオープンソースに理解を示した訳
じゃないと思った方が良いと思います。そしてアッ○ルのMac OS Xの場
合、OSとソフトを繋ぐ部分は、完全にクローズドのままです。アッ○
ルの方針はハードとOSが商品の全てとゆー感じですが、バラバラなパ
ソコンって、そんなに能力があるんでしょうかねー。マックファンが職
場でマックが使いたくても、サーバーに繋ぐには制限があり、データベ
ースとやりとりしようにもソフトが無い場合があり、PDAともリンク
できないことがある。そして、マックを持ち歩くのも大変。これじゃ、
使いたくても使えないんじゃないでしょうか。マックの不人気、または
シェアが増大しない理由は、単体のパソコンメーカーだからのよーに思
えます。単体のパソコンメーカーのOSでもシェアがせめて3割あれば、
他の企業の厚いサポートが期待できますが、1割前後だと、かかるコス
トと得られる利益のバランスが開発の自粛を求めてくるでしょう。それ
にDarwinをオープンにしても、Mac OS Xで動くユーザーインターフェイ
スを含むソフトは、一般人には開発できませんから、やっぱりアッ○ル
の態度は、クローズドです。これがどんな影響を示すかとゆー例を挙げ
てみましょう。マックはその誕生時からネットワークの概念を持ってい
たのですが、snowdogが職場でマックを使うユーザーに一番喜ばれたのは、
FreeBSDで作られたサーバーで、フリーソフトのnetatalkを動かして、
マックのサーバーとして使うことができるようにしたことです。とって
も皮肉なこととは思いませんか?また、Mac OS Xのテスターが喜ぶ理由
として挙げたものの1つに、UNIX系の強力なフリーソフトが、修正
無しに動くことがあります。お金を払ってまでβテストに協力するよう
なファンですら、これらのソフトを必要としてるのですから。ファンで
はない場合、BSDかLinuxを選択しちゃいそーにも思えますが、それでも
アッ○ルの進路は変らないんですかねー。アッ○ルにサービスを期待す
るのは無謀なことかもしれません。最近特に高飛車です。
IBMがOSやハード自体じゃなく、それらを含めた技術やサービ
スを商品と見定めたことにはもう1つ、メリットがありそうです。つま
りいつも同じ土俵に競合相手と立ってる訳で、サービスや技術力頼みで
すから、気が緩んでこれらが低下したり高飛車になったりしたら、すぐ
業績に影響しちゃいます。いつでも緊張感を持っていないといけません。
大企業であるIBMには大企業病の予防になるかもしれませんが、社員
は大企業だからといって悠々とは構えていられないでしょう。中小企業
と同じように、厳しい環境で働くことが要求されそうです。もしかした
ら今、I've to be movedかも。
snowdog 2000 12/16
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