マックマニア


世の中のコンピューターユーザーには色々な人がいます。その中で、異質 な存在感を示す人達として、古典的な分類方法としてマニアとゆー部類に属する 人がいます。マニアとゆーのは「憑かれてる人」に意ですが、例えばマックマニ アの場合、マックに憑かれたとゆーよりは、マックに憑いたと表現した方がよい かもしれません。近代的な分類方法ですと、「ヲタク」とゆーグループのコンピ ュータ系のアッ◯ル科に属します。今回はマックマニア又はマックヲタクと呼 ばれる人達について考えてみましょう。

第1章マックマニアの夜明け

マックマニアは、近代的な分類名である「ヲタク」と呼ばれるグループに属 している事実を非常に嫌います。これは現在衰亡の危機に瀕しているオーディオ ヲタクと同じく、その構成メンバーの年齢層が比較的高いという事実に基づく為 だと思われます。端的にいえば、彼等が特異なグループであることを示した1980 年代末期にはヲタクとゆー分類がなかったこと、また、本来の意味であるヲタク (狭義のヲタク)が某国民機ユーザーでもあったことなどが理由だと思われます。 近親憎悪に近い印象を感じる場合もありますが、このグループの人を指す場合、 マックヲタクと表現するよりマックマニアと表現する方が喜ばれることが多く、 感情的な対立を避ける為にも注意すべき点と思われます。このグループは1980年 代半ばに成立しました。マックマニア達には1984年は神聖な年であると伝えられ ています。それは1984年にマッキン◯ッシュが開発された年である為で、その後 に伝説として語られることの多い1984のコマーシャルを中継の間に放送した、当 時のスーパーボウルを見ていたかどうかはあまり重要と看做されません。また彼 等の聖遺物である初代マッキ◯トッシュは異国である日本では入手が困難である 為か、代わりにマッキン◯ッシュプラスが聖なるものとして扱れています。これ を所有していることは、彼等の中で限られた層に属します。その理由は、独特な 形態とその価格が非常に高価であった為で、そのような物を購入するには金銭的 な余裕と独特な嗜好が必要とされた為です。マック発売以前のアッ◯ル社はパソ コン黎明期の事実上標準機であるApp◯e IIを販売する偉大な企業でした。Appl◯ IIは仕様が公開されていた為、多数のクローンメーカーが存在しており、コンピ ューターユーザー、特にプログラミングなどを趣味とする人達にも支持されてい ました。しかし、Appl◯ IIとマックは仕様の公開などの点でまったく逆の存在 でした。クローンメーカーの存在を苦々しく思っていたアッ◯ルでは恐らくこの ような意見が唱えられたのでしょう。「ところで諸君、クローンメーカーは滅ば されなくてはならない」。Appl◯ IIまでのユーザーの多くが自由にパソコンを 組み立てることを好んでいた為、彼等はアッ◯ル社に裏切られたと感じ、そのク ローズドな仕様に従わない者はアッ◯ル社の市場から追放されていったのです。 マック登場以降に発生したマックマニアの多くはGUIに代表されるインターフェ イスと開発者ではないユーザーとしての立場に大いなる価値を見い出した人達で す。ですからマックマニアをいわゆるコンピュータマニアと考えてコンピュータ 言語などを話題として持ちかけるようなことは避けたいものです。マックマニア の一部特殊な人達を除いて、ほとんどのマックマニアはプログラミングは彼等と は縁遠いものと考えており、場合によっては劣等感をもっているケースも少なく ありませんから、彼等を傷つけない為にも、そのような話題は避けるべきで、同 様の理由からAppl◯ IIの話題も避けた方が賢明です。

第2章マックマニアの発展

マックはアッ◯ル社の支配者であるスティーブ・ジョブズ氏が、先を憂えた 重役会のクーデターによりCEOの任を解かれてから発達してゆきました。このと きのクーデターの際、ジョブズ氏は「スカリーよ、おまえもか」と発言したと伝 えられています。独裁から重役による評議会の指導体制へ移行したアッ◯ルは発 展してゆきました。GUIの採用などより、マックは一部の特権的な人のみがコン ピュータを支配する体制から、普通の人にもユーザーに参加することを可能にす るものとして熱狂的なユーザーに支持され、マックマニアは増大してゆきました。 しかし、マック自体が非常に高価でもあった為、全ての人がユーザーに参加でき るわけではなく、マックマニアは金銭的に余裕がある富裕階層に限られていまし た。彼等はアッ◯ル社が西海岸のメーカーであったことや、当時、数少ない画像 処理用のソフトが存在していたことなどから、オシャレとのイメージを持たれて いたのは事実でしょう。これは現在でも同様のイメージがあるのか、マックマニ アに属す人々は比較的清潔で、服装がカラフルである場合が多いとの報告がなさ れています。これらは「ファッショん」と呼ばれ、そのような格好を「ファッシ ョなぶる」と言います。これは「色男ぶる」とか「知ったかぶる」といったよう に「ファッショなふり(格好)をする」といったような意味のようです。ヲタク と評されることを嫌う素地はこの時期つくられたといっても良いかもしれません。 マックは日本で強力に支持され、当時の円高も相まってアッ◯ル社のドル箱(こ のような表現が妥当かどうかは疑問がありますが)になりました。為替相場を無 視した価格にもかかわらず、マックを購入するユーザーは増加し、マックマニア と呼ばれるユーザーグループが勢力を延ばしていったのです。この時期にマニア になった人や、価格の為に涙を飲んだ人達はIIciやQuadra 700や900といった機 種に憧れや思い出を持つ場合が少なくありません。さらにプロフェッショナルな ユーザー層が成立したのもこの時期です。DTP分野が成立し、デザイナーを始め とした関係者がマックを支持し、印刷やデザイン分野でマックが重要な地位を 占めるに至りました。それまで一般市民がユーザーであったなかで、職業的なユ ーザーである印刷関係者やデザイナーがマックマニアに加わったのもこの時期で す。

第3章マックマニアの分裂

マックのファンは色々な分野に存在します。そのファンの中で最もマックに 影響を与えた人物としてビル・ゲ◯ツ氏をあげることが出来るでしょう。彼はマ イク◯ソフト社の代表ですが、彼がマックの熱烈なファンであることは有名な事 実です。彼はマックのGUIを愛しており、また「金さえ払えばメーカーがなんとか してやるからグタグタ言うんじゃない」というマックの精神の熱烈な信奉者でも あります。恐らく彼の思想とジョブズ氏の思想は同一のものであり、マックマニ アには魅力的な存在であるといえるでしょう。そのことはマックマニアが割と InternetExpl◯rerが好きなことやMicr◯soft officeを支持する点からも証明さ れます。彼の問題点はマック以外でマックの精神を実現してしまった点でしょう。 マイク◯ソフト社のwind◯ws 3.1はマックと同等の機能を安価なPCで実現してし まい、さらにアッ◯ル社がモタモタしている間にwind◯ws 95でMac OSでは実現し ていないプリエンティティブマルチタスクを実現してしまいました。さらに、マ ックマニアの期待を裏切ることも起こりました。マックは個人用の小さなパソコ ンとして開発されました。ジョブズ氏の言葉を借りれば「手で持てないパソコン は信頼するな」といった所でしょう。パソコン技術の進歩により携帯用パソコン、 いわゆるモバイル用のパソコンはマックのポータブルとして世に生を受けました が、その後、ノートパソコンと進化してゆき、日本人の小さきものを愛でる文化 と、体力的な制限からサブノートパソコンとして特異な発達をとげました。マッ クの発達の経緯からも、さらにアッ◯ル社の経営状態を支えていたのは日本市場 であったにもかかわらず、決してアッ◯ル社は2kgをきる重さの携帯用のマック を販売することはありませんでした。この時期マックマニアはPCに移行する者と マックに止まる者の2者に別れました。マックの精神を受け継ぐ者がマックと Wind◯wsに別れてしまったのです。マックマニアの帝国は東海岸のマイク◯ソフ ト社と西海岸のアッ◯ル社の東西に分裂してしまいました。

終章フリーウェアの侵攻

マックマニアと意見を違えるAppl◯ IIユーザーは、PCに移行した後もマイ ク◯ソフト社の支配を潔しとせず、基幹業務を行っていたユーザー層、インター ネットを形成したUNIXとGNUのメンバーと合流を果たしていました。彼等はさまざ まな対立の元になっていたハードウェアの違いを無視し、フリーウェアを信じる か否かだけを問題とする姿勢で人々をまとめていきました。彼等は勢力を延ばす 際に、その教えを伝えると同時に、対抗する市販ソフトとも戦うことで知られて いました。その姿は、片手にGPL、片手にキーボードとして今に伝えられてい ます。フリーソフト主義者はパソコンサーバー市場で勢力を伸ばしたあと、手付 かずであったマック市場にもPPC LinuxやBSDを尖兵として侵略の手を延ばし始め たのです。彼等は敵対する人々に、フリーソフトかオープンソースか、然らば戦 いかの選択を迫りました。そして過去がどうあれ、フリーソフトを認めるなら、 分け隔てなく扱い、仲間に取り込んでゆきました。この考えは須くクローズドで あるべきだというマックマニアの考えとは真っ向から反対する存在です。そう、 Appl◯ IIとマックのように。これからマックマニアとフリーソフトの間で激しい 戦いが起こることが予想されます。

アウアウ(^o^)。

snowdog 2001 1/25