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独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで10日、公正取引委員会が立ち入り検査に踏み切った家電量販店最
大手「ヤマダ電機」(本社・前橋市)。
突出した販売力を背景に、家電メーカーなど納入業者に不当な要求を繰り返していた疑いが浮上した。量販店各社
との激しい安売り競争を勝ち抜き、業界初の年間売り上げ1兆円を達成した急成長の裏側で行われていた取引の実 態について、公取委は解明を進める。
「7、8人出してくれ」。ヤマダ電機に納入しているメーカーの営業担当者は昨年、ヤマダ電機のある新規店がオープ
ンする2週間前、着任予定の店長から、そう求められた。
開店数日前、メーカー販売員「ヘルパー」2人に加え、都合のついた営業担当者ら2人の計4人で出向いた。命じられ
たのは、他メーカー商品の陳列作業。「こんな配置はダメだ」という店幹部の一声で、並べ直したこともあったという。
開店後の仕事は、接客と商品の補充作業で、数日間続いた。他メーカーも社員、ヘルパーを大量に動員しており、そ
の数は店の正社員を上回っていたという。
他の量販店より安く売るには、より安く仕入れなければならないため、大量仕入れで仕入れ価格の引き下げをメーカ
ー側に要求することも多い。あるメーカー担当者は、「量販店から値引きを求められることはよくあるが、ヤマダ電機の 値引き交渉の厳しさは群を抜いている」という。
メーカーが人件費を全額負担するヘルパーを何人、各店舗に提供するのか。これも「実際には値引き交渉の延長線
上」と、メーカー関係者は証言する。他の大手量販店でも、同様の交渉があるという。
ヤマダ電機は、松下電器産業の系列専門店から、他社製品も扱う量販店になった。全都道府県に大型店を展開し、
この10年間に急成長。2002年3月期に、売上高でコジマを抜き、業界トップになった。
大手家電メーカー幹部は「これだけ大きくなった量販店には、大手メーカーでもなかなかモノが言えない。力関係が完
全に逆転してしまった」と漏らす。
(2007年5月10日15時23分 読売新聞)
家電量販店最大手・ヤマダ電機(本社・前橋市)が家電メーカーなど納入業者に対し、店舗で働く販売員らを不当に派
遣させていた疑いが強まり、公正取引委員会は10日、独占禁止法違反の疑いで本社や複数の店舗を立ち入り検査し た。
公取委は、ヤマダ電機の行為が、独禁法が禁じる「不公正な取引方法」のうち、取引上の優越的な地位を利用して不
当行為をする「優越的地位の乱用」にあたるとみて調べている。
関係者によると、ヤマダ電機はここ数年の間、関東地方の複数の店舗などで、最大手の販売力を背景に、家電製品
やパソコンの周辺機器などを納入しているメーカーに対し、「ヘルパー」と呼ばれる販売員を店舗に派遣するよう要求。
ヘルパーは、メーカーが自社製品の販売促進のため人件費を負担して派遣するものだが、ヤマダ電機は、出勤日を
指定したり、他社製品のキャンペーンで販売ノルマを課すなどしてヘルパーを管理し、自社の業務までさせていた疑い が持たれている。
新規開店のため、ヘルパーに商品の陳列作業をさせたケースもあるとされ、「求めに応じないと自社製品を販売して
もらえなかったり、他社製品と差別した取り扱いをされたりした」などと証言している納入業者もいるという。
有価証券報告書などによると、ヤマダ電機は1983年設立で2000年に東証1部上場。郊外型の店舗展開で業績を
伸ばし、05年2月に家電量販店として初の売上高1兆円を突破した。06年3月期の売上高は1兆2839億円で、同期 売上高が7146億円で業界2位のエディオン、同6012億円で3位のヨドバシカメラに大差をつけている。
直営・系列店は300店に上り、業界で初めて全都道府県に出店するまでに店舗網を拡大。05年度は41店舗を出店
し、大阪市浪速区に初の都市型大型店舗「LABI1(ラビワン)なんば」店も進出させたが、契約関係がなく、人件費も負 担していないヘルパーを実質的に管理していたとして今年3月、職安法違反(労働者供給事業の禁止)で、メーカー数 社とともに是正指導を受けた。
ヤマダ電機経営企画室は「公正取引委員会の立ち入り検査があったかどうかも含めて、コメントすることはない」とし
ている。
(2007年5月10日14時33分 読売新聞)
5月11日18時31分配信 R25
東口に現在建設中の店舗は「LABI池袋店」。店舗面積は約5000平方メートルで、ヨドバシカメラ秋葉原店(2万平方
メートル)などと比べれば小さいものの、真横にあるビックカメラ本店、真向かいのビックパソコン館本店と比べれば圧 倒的に大きい。ビックカメラ側が必死になって防戦することは間違いなく、両社の間で壮絶な低価格戦争、サービス合 戦が繰り広げられるはずだ。
まさに敵の本拠地へ殴り込みをかけるヤマダ。なぜ、こんな大胆な戦いを仕掛けてくるのか。下のランキングを見てい
ただきたい。これは株式を上場している家電量販店の株式時価総額を大きい順に比較したもの。いわば、その企業に どれだけ価値があるかを比較したランキングだ。一見して分かるように、ヤマダは2位以下を圧倒する、ダントツの1位 だ。売り上げ規模も1兆円を軽く超えるヤマダは2位のエディオンのおよそ倍の規模。しかし、山田昇社長は現在の規 模に満足していない。「売り上げ3兆円、家電販売シェア30%が目標。これは必ず達成できる数値」と、こともなげに言 い放つ。ヤマダの目標は敵なしの「量販の王」として君臨することなのだ。
過去を振り返ると、第一家庭電器、ダイエー、ベスト電器、コジマと、家電量販のトップ企業は数年ごとにめまぐるしく入
れ替わってきた。ヤマダがコジマを抜いたのも02年であり、それほど昔のことではない。「トップ企業が長くは持たないと いうジンクスがこの業界にはある。ヤマダがいつまでも勝つとは限らないよ」と他の量販店社長は強がってみせる。
とはいえ、ビックカメラも4月に池袋にある5店のうち2店を新装。迎え撃つ体制は万全だ。消費者が望むのは1強では
なく、多くの量販店が元気よく“安値日本一”を競い合う構図だろう。仁義なき家電量販店戦争は始まったばかりだ。
(R25編集部)
家電量販店最大手のヤマダ電機は15日、マツヤデンキ(大阪市)など中堅量販店3社の持ち株会社、ぷれっそホール
ディングス(東京・港)を買収すると発表した。新生銀行系列の投資ファンドから、ぷれっその全株式を取得する。年間 売上高の単純合計は2007年3月期で1兆5000億円を超え、2位のエディオンの約2倍となる。ヤマダはぷれっそ買収 で、手薄だった中小型店舗を強化する。
ぷれっそはマツヤデンキとサトームセン(東京・千代田)、星電社(神戸市)を傘下に持ち、売上高で業界11位。ヤマダ
は6月末、新生銀行系のエスエヌ投資事業有限責任組合からぷれっその全株を33億円で取得する。 ぷれっそ買収で 手薄だった中小型店出店を加速し、地方都市など小商圏での収益基盤を固める。(07:00)
大手家電量販店が店頭で働くメーカーからの派遣従業員「ヘルパー」の受け入れ体制を見直し始めた。ヨドバシカメラ
は今後2年でヘルパーを全廃し、正社員に切り替える。他社でも費用の一部負担などの検討が始まった。メーカーへの ヘルパー派遣強要の疑いで、公正取引委員会が最大手のヤマダ電機を立ち入り検査したことを受け、ヨドバシはメー カーとの不透明な商慣習を見直す。
ヘルパーは自社製品の宣伝・販売を目的に、メーカーが無償で家電量販店に派遣する従業員。製品を直接、消費者
に訴求できるというメーカー側の利点もあり、家電業界の商慣習として1960年代から続いてきた。 (07:00)
ヨドバシは今後、新規出店時などのメーカーへの派遣要請をやめる。既存店のヘルパーも契約期間満了時に順次、正
社員に切り替える。発売イベントなどメーカー側が求める宣伝要員は受け入れるが、販売業務から外す。同社の従業 員の内訳は正社員約三千人に対し、ヘルパーは平常時で約七百人。年末年始は二千五百人にのぼる。ヘルパー廃 止に伴い、年間の人件費負担は約四十億円増加する見込みとのこと。
2005年の公取委の大規模小売業告示では、納入業者への従業員の派遣要請を原則禁止し、例外として派遣元の商
品のみ宣伝・販売する場合を認めている。だが、多くの量販店では無関係の商品を販売させることが常態化している。
公取委は今月十日、ヤマダ電機がメーカーにヘルパーの派遣を強要したとして、独占禁止法違反(不公正な取引)の
疑いで立ち入り検査に入った。同社は「早期に改善に取り組む」としており、ヘルパー費用の一部負担などを検討す る。
ヨドバシは「派遣の強要はしない」との立場だが、他社製品を含めた棚卸業務など任せた例はあるという。
ヨドバシカメラが「ヘルパー」の全廃を決めたのは、公正取引委員会が大手家電量販店によるメーカーへの従業員派
遣の要請を「優位的地位の乱用」にあたる可能性があるとして問題視しているためだ。ヤマダ電機への立ち入り検査も 「最大手の検査で業界全体に警鐘を鳴らす」(公取委幹部)狙いがあるとみられる。
家電業界のヘルパー制度は、1960年代の不況時にメーカーが生産ラインの休止で生じた余剰人員を量販店に派遣
したことが始まりとされる。ただ、近年は人材派遣会社を通じて雇った契約社員を派遣する例が増えている。メーカー は量販店の人件費を肩代わりすることで、より良い売り場の確保など有利な条件を引き出している。
公取委が2002〜04年に実施した調査では松下、東芝など主要メーカー九社のヘルパー派遣が年間延べ三十三万
四千人にのぼった。公取委の動きを受けてメーカーがヘルパーの人員を縮小すれば、量販店は無償の従業員を前提 とした従来の出店・営業戦略の見直しを迫られる。公取委の告示は量販店がヘルパーに他社製品の販売や陳列など を指示することを禁止している。ヨドバシは「ヘルパーが他のメーカーの商品に一切触れないよう管理するのは難しい」 (総務人材開発)と考え、ヘルパー受け入れをやめる。 薄型テレビ3強激突・シャープ、松下など巨額投資競う
急拡大する薄型テレビ市場で「勝ち組」3強が巨額投資に動いている。シャープは大阪府堺市に世界最大規模の液晶
パネル新工場を建設し、今後数年間で5000億円規模を投資する方針を固めた。プラズマテレビ首位の松下電器産業 は2800億円かけて新工場の建設準備に入り、韓国サムスン電子・ソニー連合も新工場の稼働が間近だ。最新鋭設備 でコスト競争力を高めるため、3大陣営が投資競争を繰り広げる構図が鮮明になっている。
シャープの新工場は新日本製鉄堺製鉄所の隣接地に建設する。面積は約120ヘクタールで、亀山工場の敷地の約4
倍。ここに縦横約3メートルの「第10世代」と呼ばれるガラス基板を使う工場を建設する方向で検討している。50型から 60型台の大画面液晶テレビを効率的に生産できる最新技術だ。2009年までに稼働を始め、月産3万枚(ガラス基板投 入ベース)体制を整え、その後に同6万枚に能力を高める案が有力。設備投資計画の詳細は夏までに最終決定す る。 (07:00) HD-DVD東芝事実上撤退へ
東芝が「HD−DVD」企画の新世代DVDから事実上撤退する見通しになった。これにより電機業界を二分してきた新世
代DVDの標準規格争いは、BD方式の勝利で決着することになる。
新世代DVDの世界標準獲得をめぐる競争は、流通や消費者など「市場」が流れを決めた。
映像媒体の規格争いは1970−80年代の「VHS」対「ベータ」のVTR戦争にさかのぼる。勝負はソニーのベータ方式の
商品化からVHSへの転換まで十四年かかった。今回の新世代DVDでは規格提唱から五年、商品発売からわずか二年 で決着した。
争う時間が短くなったのは、規格競争になれた流通や消費者が早めに商品を選択したからだ。経営者も市場の圧力
を受け、傷を深める前に決断せざるを得なかった。約三十年前、VTRはレンタル方式で普及で始まった。店側は同じタ イトルを二方式で在庫するより、一つに絞ったほうが効率がいい。販売が中心の今も状況は同じだ、ワーナーのHD離 反に伴うウォルマートの方針転換が致命傷となった。
VTRの規格争いはベータ方式でソニーが先行したが、VHS方式を担ぐ日本ビクターと松下電器産業が米国の流通
市場に働きかけ、勝利を獲得した。規格競争はさらに八ミリビデオやレーザーディスク、DVDへと続く。東芝は、VTRで ソニーと組んで裏目に出て以来、ソニーと一線を画した。現行DVDでは松下電器や日立を巻き込み、規格統一を主 導。その際、重要な役を演じたのもタイムワーナーだった。 NK
家電リサイクル法の対象4品目について、環境省と経済産業省は新たに「リユース(中古)基準」を策定する方針を固
めた。温暖化対策のため、省エネルギー効率の低い老巧家電が中古市場に出回るのを防ぐ一方、資源回収の目的で 海外へ横流しされる「偽装中古」を見分けたり、まだ新しいのに解体・再資源化される「もったいない事例」を減らす狙い もある。今月中にも両省で検討委員会を設け、来年には省令改正して導入する方針だ。
基準は、古い家電や正常に動かない家電などを仕分ける狙いで、家電の種類ごとに「寿命」の目安年数を決める。省
エネ性能で劣る製造後5〜6年以上の家電は「中古利用は不適」とする見通し。また、老巧家電が中古品と称して中国 などに輸出される。「偽装中古」を防ぐ狙いもある。家電製品は、電子部品に金や銀、エアコンの室外機に銅など、貴 金属、希少金属が使われている。これらの資源を国内で有効利用するとともに、技術力の伴わない国で抽出による環 境汚染が発生するのを防ぐのも目的の一つだ。
05年度に排出された使用済み家電4品目2287万台のうち約34%の771万台が輸出され、かなりの部分が「偽装
中古」と見られるという。
特に11年のアナログ地上波停止を機に大量排出が見込まれるブラウン管テレビの横流し防止を狙うが、「海外では
まだ使える」との反論も予想される。一方、製造後5年未満で廃棄、解体される家電も少なくない。ある家電量販店の 場合、中古市場に出回るのは回収台数の1.3%という。両省は「もったいない精神で、リユース率向上などの議論が 深まることも期待している」と話す。
中古家電をめぐっては、家電製品の安全性を示す「PSE」マークがないものの販売を禁止する電器用品安全法の規
定が中古業界の反発で棚上げとなり、混乱を招いたとして昨年9月に経産省職員が処分された。このため今回は、検 討委に中古品販売・輸出業者の代表を加え、慎重に検討する。
H20.02.17 MAINICHI
GW、百貨店・家電量販店は苦戦 は前年を上回った。小売りでは在庫品などを格安に販売するアウトレットが客足を伸ばした。ただ、百貨店では不信が 続くなど、個人消費全般に回復の兆しが広がっているわけではない。 ゴールデンウィークの動向
小売りで盛況だったのはアウトレット。三菱地所子会社のチェルシージャパンが運営するアウトレットでは、九州各地か らの客でにぎわった鳥栖プレミアム・アウトレットが17%増となった。 一方、百貨店は振るわなかった。高島屋は全国店舗の平均で入店客数が前年同期を4%下回り、売上は8%減。小 田急百貨店新宿店は入店客数は4%増えたが、売上高は前年を6%前後下回った。「顧客の購買心理が冷え込んで いる」という。家電量販店も苦戦した。政府は15日から、省エネ家電の購入支援策として「エコポイント」を支給する。G W期間中は様子見の消費者が多く、ヤマダ電機では既存店売上が10%減少した。「国からの支援率が高いテレビを 中心に購入を見送る客が目立った」という。 ヤマダ電機、初の純利益減少
前期32%減 ポイント発行拡大で
ヤマダ電機が7日発表した2009年3月期連結決算は、純利益が三百三十二億円と前の期に比べて32%減少した。 連結業績の公表をはじめた03年3月以降では初めて。新規出店をてこに増収になったが、顧客の囲い込みを狙った ポイント発行の拡大や人件費、減価償却費の増加で採算が悪化した。家電量販店最大手のヤマダ電機も消費低迷の 影響を吸収できなかった。 売上高は一兆八千七百十八億円と6%増えた。商品別に見ると、地上デジタル放送対応需要が拡大しているテレビは 22%伸び、ビデオは25%の増収。白物家電では冷蔵庫が13%、洗濯機が8%それぞれ増えた。 経常利益は646億円と21%減少。販売費・一般管理費の内訳を見ると、ポイント販促費が1534億円と約600億円 増えた。店舗数の増加で給与手当てと減価償却費もそれぞれ100億円増え、売上高販売管理費率は4.2ポイント上 昇した。10年3月期は一兆九千八十億円と前期比2%増、純利益が432億円と30%増える見通し。消費低迷で既存 店の売上はマイナスになるが、今期は34の新規出店を計画。昨年12月から取り組むコスト削減と合わせて増収益を 目指す。
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