深海からの物体

 この作品、偽善コメントの宝庫である、あの東京Walkerに1ページ丸々使って酷評された伝説を持っています。ちなみに、そのページを大事にスクラップしている私って人としてどうですか? 許容範囲ですか?

 話は5人の若者が沈む夕日を見にゴムボートで海に出る所から始まります。見始めて2秒後に20年前にタイムスリップしちゃったような映像があらわれます。忘れちゃいけませんが、この作品は1999年公開です。そしてお約束通りガソリンを忘れて夜の海で遭難します。えぇ、もちろん、遭難しなくちゃ話になりませんからね。そりゃ夜の海にゴムボートで出るってもんです。

 真っ暗な海のシーンは照明代をけちってるのか一個の懐中電灯のみの灯りで撮影されているので何も見えません。「嵐になったらどうするの?」「この季節に嵐は来ないよ」そんな会話の直後のシーンは大嵐です。展開が突然すぎます。夜の海と嵐でマイク達がパニックになってる状態の合間に意味不明で非常にチープな絶叫と殺戮シーンがチープな効果音と共に繰り返されます。そんな不必要きわまりないシーンを挟んで5人は手でゴムボートをこいで進みます。

 5人は船を見つけて乗り移ります。最初に入った部屋は変な魚がホルマリン漬けになっている研究室。研究室にある正体不明の粉末をいきなり舐めるボビー。なめないだろ、普通。後にマイク(主人公)の調べから分かるのですがボビーはエロチックな刺激をうけると凶暴化するという物体Xにやられちゃったらしいです。

 その後、豪華な船室へと移動し、腹が減ったと言いだし冷蔵庫にある正体不明の魚を焼いて食います。だから食べないだろ、普通。魚を食ったドロシーが夜中に苦しみだしバスルームで嘔吐します。ちなみにこの映画の中で最もリアルなのは、この嘔吐物です。そのゲロの中には何故かクワガタが……。最終的にドロシーは頭からカニばさみを持つ変な魚が出てきます。こいつは話をするほどの知能を持っているけれど、その宿主を殺して自滅します。いや、その後、最後まで部屋のドアノブがクルクル動いているので部屋から出られないだけでしょうか、物体X

 主人公マイクが研究室のパソコンで船の秘密を調べている時にマーガレスが空飛ぶ魚に襲われます。食いつかれているシーンは悲しいかな、マーガレスが自分で魚を持って振り回しているだけです。その後、ボビーとマイクがその魚を退治しますが、串刺しにされた魚の動きはオモチャ屋に売ってる歌う魚の置物のソレです。

 こんな緊急事態にもかかわらずジュディーとボビーはおっぱじめてしまいます。何しろエロチックな刺激に反応する物体Xにやられちゃってるボビーは最中に変身しはじめちゃいます。これがまたグロイだけでギャグにしか見えない魚怪物なのですが、最もこだわっているであろうと思われる各種怪物達はコマ送りで動くのでリアリティがない。その後ジュディーは腹痛を訴えボビーの子である大量の魚卵を産みはじめ、主人公に「うわー、魚卵だー」と逃げられ置き去りにされます。あわれ。

 途中、生き残りの乗組員の博士を見つけるけれど、話が前へ進むどころか、狂っちゃって口から泡を吹き始めるわ噛みつくわで話になりません。この博士はことあるごとに変な液体を仕込んだ注射器片手に「アイツを倒す」みたいなことを口走って伏線を張っている風なのですが、出てきた物体X(たぶんボビー)にパシッと手を払われて注射器の意味ないわ、物体Xに食われるわで最初から最後まで全く役に立ちませんでした

 マイクが船を燃やそうと燃料ぶちまけてロウソクで簡易時限爆弾作ったと思ったら、何故か船が勝手に自爆しようとしてるし、箱から放射能がもれてるし、爆発は相変わらずチープだし。ジュディが産んだ魚卵を映すだけ映してほったらかしにされてるし。最後のシーンはほんとに何が何だかサッパリわかりません。ここまで付き合ってやったんだから最後くらいはつじつま合わせて終わらせてくれてもいいのにねぇ。

 くちをポカーンと開けたままになっていたかと思えば、理解不能になったり、そりゃないだろとツッコミ入れたりと忙しく見ることになるので、心地よくない疲労感が身体全体に広がったりしちゃいます。

 この作品を見たら是非とも感想くださいね。

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