REVIEW part2
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☆昔はこれが欲しかった、第4弾(10/10)
「シェーズ・ロング」
この物欲は現在進行形だ。
退屈な特集ばかりでうんざりしていたBRUTUSの表紙に「しぇーず・ろんぐ」が。
やっぱり欲しい。ひったくるようにして雑誌棚から取り出して、レジに向かいましたね。
昔から、インダストリアル・デザインとしての椅子が好きで好きで堪らなく、「LC4」や「シェーズロング」の無駄の無いラインを羨望していた。
だが、庶民に手の届くのはせいぜいイノベーター。少し色褪せたパルピットに、廃番の黒のスタンスチェア。機能的なデザインには満足しているものの、やはり「しぇーず・ろんぐ」は別格だ。
硬質でセクシーなクロームメッキの曲線。ストイックなピロー、クッション。た・ま・り・ま・せ・ん。
これに寝転がって、ゆっくり本でも読みたいなあ。プルーストでも読めそうなくらいにこのフォルムは魅惑的だ。十分にこの椅子の快適さを堪能したなら、ニコンF2にモノクロームのフィルムでも詰めて、フェティッシュに撮りたい。
「しぇーず・ろんぐ」に横たわるのは、誰がいいだろう?
ティルダ・スィントン?
シャルロット・ゲインズブール?
シャーロット・ランプリング?
いや、やっぱりシャーロット・ペリアンかな
しぇーず・ろんぐに横たわる彼女は、時間からも空間からも開放されているような気がする。
(モンペール旦那)
☆「京都島原調教地獄 花闇」 (10/10)
(秋本玲於奈著 フランス書院 1500円)
良質なポルノグラフィーは非常に少ない。
スポーツ新聞や、オヤジ週刊誌のエロ小説は氾濫しているけれど、本当に読まれているだろうか。想像力をかきたてるような、先を急いで読むようなポルノグラフィーの何と少ない事だろう。
女教師、女医、女子高校生、OL…ああ、もう勘弁してくれ。君たちにはもう素敵なエロティック・ドリームを見る事ができないんだ。
永久時計が時を刻む「死霊」(はにやゆたか著)じゃあないけれど、今日でもない、ここでもない、一つの閉鎖空間が欲しいのですよ。
この「花闇」は完全なクローゼットランド。
主人公の綾は、数えの14才。太夫を夢見る薄幸の素人娘が、ああされて、こうされて、もう大変なのである。その描写がなんともねっとりと妙に生理的なのだから堪らない。
女達に声ばかり張りあげさせる男の観念の産物ではない。綾の肌と肉は間違いなくこの瞬間を感じている。そう思わせるだけの力量がこの作者には有る。(若干のほころびは有る。でも気にはならない)
久々に楽しませてもらいましたね。
高校生の時にどきどきしながら買ったアポリネールやジャン・ヌ・ド・ベルクと同じくらいに、この世界は魅力的です。
ついでに、ぱっと見が文芸風のデザイン(宮尾登美子の「蔵」を連想させるね)だから、買う時にはそれほど恥ずかしくないと思います。内容は結構ハードですけれどね。好奇心の旺盛な高校生にはおすすめの一冊です。(本当かよ!)
(モンペール旦那)
☆ゆうせん440・B24チャンネル(10/7)
今月のMONTHLYはLED ZEPPELIN
ゆうせん放送を入れていると、時々倒れてしまいそうなプログラムと出会える。今月のゆうせん440のポピュラーアーティストセレクションは私にとってそんなプログラム。
正直なんで今頃昔付き合ってた男の子とお茶しにいかなきゃならないの、と思いつつちょっとわくわくしながら逢いにいってしまったおばさんの心境です。
「若い頃には、人生いいことも悪いこともあったけど・・・」なんて、20歳になるやならずのRobert
Plantが歌いだしたら、6時間めくるめくLED ZEPPELIN三昧のプログラム。
1969年(!)のデビューアルバムから、80年のBONZOの死の後で出されたCO/DAまで。(コーダに関してはZeppelinとしてのアルバムに数えるのは不満なのですが。たとえ、どんなに大好きだった男の子でも、めめしく昔の手紙を持ちだされたら・・・・という気持ち)
まあ、こんなところでZeppelinの事を書く私も昔の手紙を持ちだしてるようなものですね。
数年前にニュースステーションにめまいがするほど歳をとったPage,Plantが出演して、見ている私も歳をとったとしみじみしたものですが、記録された音は昔のままに若々しいです。ため息。
ちょっと猫背ぎみに膝の上にダブルネックのギターを乗せて弾いていたJimmy
Pageと、ほんのわずかに遅れて入るJohn Bonhamのバスドラの音。レコードも捨てずに持っているし、いつでも聴けたはずなのになかなか聴く機会を逃している、大好きだった音。
CDになってから買い直しもしてないけれど、こんな風にゆうせんで再会出来てよかったです。昔大好きだった、James
Patrick Page様。やっぱり今でも好きだよ。
(ふみえ)
☆ガサラキ第1話を見て(10/4)
by モンペール旦那
ガサラキってさあ…
昔、読んだ森脇真末味のマンガで、ある展覧会に招かれた主人公がこんな台詞をつぶやく。
「うるさい……絵が誉めてくれ、誉めてくれってうるさいんだ…」
この映像(コンテンツを含めての)は自分にとって未知のものだと思う時は大抵、ざらざらとした異物感ばかりが残り、どうもすっきりしない事が多い。小樽のサードベースという小さな映画館で「ブレードランナー」を見た時、レンタルビデオで始めて「EVA」を借りて見た時がそうだった。凄いな、と思いつつどこか納得できない生理的な不快感…多分それは、未知の心的な映像が身体に侵食してきた時の拒絶反応なのだと思う。
高乃麗が主役をあてているというだけで観ている「ぐらんだーむさし」の後に放映していた「ガサラキ」
にはそうした拒絶反応が全く無かった。前述の引用と同様、絵が上手いだろう?映像が新しいだろう?世界最高水準のジャパニメーションだろう?と、とにかくうるさくて堪らない。
日本の伝統美的な能をモチーフにしている点も、海外受けしそうだなと冷めて見てしまう作りだし、EVAの影響だろうが、とにかく謎は多ければいいってなもんで説明も何も有ったものではない。謎が多くて緊張感ばかりが持続すると、段々シュールになってきてついにはギャグになってしまう恐ろしさを製作者はわかっているのだろうか?テンションの高いマリエンバードはとんねるずになってしまうのだ。美容室から出てきたばかりのような前髪一直線カットの綾波レイのようなキャラを見て思わず爆笑しそうになる私の心拍数は限りなく増大し、脈拍はついに零になった…青葉シゲルがハードボイルドしているし、甲殻機動隊のやくざもどきも携帯電話を掛けている…おおっ、神崎重工の会長もいるし、真宮寺さくらもどきもいる…唯一オリジナルといえば、サンライズ昔ながらの兵器的デザインのモビルスーツだけですね…これだけは、ダグラム、ボトムズ以降全く変化を見せず、最早、アニメ界の伝統工芸のような美学さえ感じさせる…わけないじゃないかああああ!!
血の匂いがする人型兵器「EVA」でほとんど決着がついているのだから、伝統工芸に縛られず、新しい
アニメリアリズムを作らなくちゃ。兵器が人型である必然性など全くないのだから、近接戦闘で合理的に戦闘できるフォルムをデザインしなきゃ駄目だと思うなあ…
一応厳しく批判しましたが、次回の放映を心拍数120で期待しています。
(注・グランダー武蔵RVを日曜日午前9時に放映してるのはテレビ北海道だからです。by編集長)
☆昔はこれが欲しかったシリーズその3(9・28)
パイオニアステレオオープンデッキRT−707
この間ニュースを見ていたら、気象庁のコンピューターシステムが新しくなり台風予測の精度が上がる、と説明があり、そうか、そうか、と感心していたら、ニュース映像の中では何と、昔ながらの巨大な磁気テープリールがぐるぐると回っているではないか!…ううむ、大昔からデータを蓄積しているのでなかなか簡単にメディアを変えることができないのでしょうね、多分。でも、いくら最新のスーパーコンピューターを使っても、アクセスの遅いシーケンシャルファイルじゃ性能を発揮できないのじゃないのかなあ。ええと、88年の台風のデータは確かこのテープに入っているんだよなあ、なんてテープを掛けているのかしらん?
昔は「つーとらさんぱち」っていうのが今の「ぱわーぴーしーじーすりー」っていう位の羨望の響きがあったんですよね。なんといっても1秒間に38cmも磁気テープを消費してしまうその贅沢さにため息をついていたものです。買えもしないのに、ティアックがいいだの赤井がいいだの言ってましたね。
カセットデッキが主流になり、オープンデッキの大きさが少しかっこ悪いな、と思い始めた時、このRT−707が何とも魅力的でした。
7号テープで毎秒19cm、ステレオラックにきれいに収まりそうなそのルックス…硬質なシンメトリックなデザインは今でもなかなかのものです。
(モンペール)
☆ぼのぼの16巻/いがらしみきお(9・28)コミックス
いつも待ち続けている訳でもないけれど、忘れた頃にひょこっと現われて変わらない様子を見せてくれる友人。何をどうとかこうとか言う訳ででも無いのに、逢えば昔と同じにやさしい気持ちを思い出させてくれるそんな友達のような漫画。
作者のいがらしみきおがそれまでの作風とはうってかわった「らっことその仲間たち」による「ぼのぼの」を描きはじめてから12年。先日16巻目が出た。
ジャイアントケルプに包まれながらいろんな事をどうしてなのか考えてきた「ぼのぼの」ちゃんは途中で映画になったり、絵本になったり、テレビアニメになったりしてきた。
そんな「ぼのぼの」ちゃんを描いているいがらしみきおは、途中でにんぺんまんまるやその他の作品もいっぱい描いていたので、もしかしたらもう「ぼのぼの」を描くのはやめてしまうのかなぁと私をちょっと不安にさせたりもした。
もうカレンダーも書き下ろしはしないと宣言してから数年経つしね。今年はどうやら書き下ろしのカレンダーと、ぼのぼの絵本が復活するようで嬉しい。
最初のころ、自立してないとくさくなってどんどん「しまっちゃうよおじさん」にしまわれてしまうと泣いていた「ぼのぼの」ちゃん。16巻でも「ボクの中には、ある景色がある。キミにもある?」と問いかけてくる。
毎日忙しいなとぐちっぽくなっていたり、どうにも他人の評価ばかり気になってしまうような気持ちの時にタイミング良く現われて、やあ久しぶりだね、と声をかけてくれる昔なじみの友達のような1冊。
よかったら読んでみて。明日は元気になれるから。
(ふみえ)
☆The Cure / TEA PARTY
(9・13)ビデオ
今から15年ぐらい前のmusic video、いまごろ取り上げてもなのですが、VIRGIN
RADIO
を聴いていると大丈夫かな?という選曲なので。(VIRGIN
RADIOはゆうせん440のG3チャンネルで聴く事ができます。ちなみに。)昨日はそれこそThe
CureのClose to Meなどかかってたし。
7年ほど前にはこのビデオクリップ集の続きで、PICTURE SHOWというLDも出ています。
Robert Smithという人物をはじめてビデオで見たのはずいぶん前で、ディスコ(!)やカフェバー(!)とかでMTV等流れているのがお洒落(!)と云われた時代。
(何時の事でしょうね、うふふ)
いきなりキュウピイ人形にお多福のお面をかぶせて、ビニールプールの中で遠い眼をして踊っていた彼は素敵に怪しかった。
The Cureについては1970年代にイギリスで起きたいわゆるパンクムーブメントの落とし子として、ニューウエーブとの端境期に生まれたグループで、然も今だに頑張ってる、いや、現役のmusicianであると書いて置こう。(なんだか変な説明ですが)活動期間が長いのでそれなりにポジションも変わってきていますが、いわゆるBritish
Invasionの時期と重なったため仇花的な扱いを受けてきたりしても、当のRobert自身はマイペースな人なので、インタビュウでも、watchin'
telly, sleepin' and drinkin' milk がon という素敵なキャラクターなのです。
(ますます変な説明ですね)
CDは全アルバム入手可能なはずですよ。
今、日本のミュージシャンのビジュアル系と呼ばれている人達のファンのかたは、ぜひ一度はみてもらいたいですね。ビジュアル系のルーツの一つとしては忘れてはいけないグループですよ。
後は、 Culture Club, Soft Cell,The Style Council 等もチェック忘れないでね。ビジュアルファンのかたたちならもうとっくにご存じかな?
(ふみえ)