REVIEW

part9
(最終更新日2001・6・27)


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「もうPHOTOSHOPはいらない? GIMPを使う理由」

celelon500MHzHD6GB15monitorWin98付で50000円足らずでパソコンが買えてしまう。ううむ、安いもんだ。PS2と1万円くらいの差しかないのだ。とりあえずパソコンを買ってみようという人にとっては良い買い物に違いない。
CGとか描いてみたいななどと思う人はここでアプリ選択に悩むことだろう。ネットで目にする王道グラフィックソフトはPHOTOSHOP,PAINTERである。そしてそれらがハードよりはるかに高額なことに驚き肩を落とす人も多いだろう。
懐は寂しいのだけれども描きたいという意欲は誰にも負けないという人にとってこのGIMPは最大の効用を発揮するだろう。レイヤー機能、フィルタ機能、エフェクトはPHOTOSHOPに匹敵するし、ブラシに至ってはPHOTOSHOPを凌駕している部分もある。そんなに高機能なのに全くのフリーなのである。(http://user.sgic.fi/~tml/gimp/win32/でダウンロード可能)
最近描いたマリアの絵もGIMPを使用したものだが、PHOTOを使用したことがある人なら直観的に操作できるインターフェースでありマニュアル本に頼らずとも基本的な操作はほとんど問題無しである。ヘルプのデザインもクールで可愛く仕上げられているので、仕事一点ばりというようなWindowsアプリのそっけ無さとは違い、人なつっこい印象を与えている。(この部分は結構重要なことなのだ。)
あえて短所をあげるとすれば、印刷会社ですんなり入稿といかない部分ぐらいのものか。(CMYKに対応していないので他のアプリでコンバートしなければならない。色見が変わる可能性が有るので「ホカノアプリデデータヲサクセイシテクダサイ」と多分言われるであろう)
CGを描いてWebにアップするというぐらいの用途なら十分に耐えうるはずだ。
マニュアル本としては「GIMPですみからすみまで使いこなす本」(江神ケイス著 秀和システム 2400円 ISBN4-7980-0063-9)がわかりやすい。
なお、MacについてはOSX対応版が開発中との情報もあるので、Macユーザーも気にしておいた方が良いだろう。お試しおすすめのフリーです。
(byもんぺーる)
(2001/6/27)


「スリムホワイトの逆襲・・・New iBook」

(http://www.apple.co.jp)

Appleの敵はマイクロソフトではない。
ここ数年の(ジョブズ以降、iMac以降と言ってもよい)Appleの動きはOSでの優劣よりは、プロダクトデザイン、ハードウェアへのフェティッシュ・神話性を高めることによる再構築に腐心された。
「手元に置き、それを触ることが楽しいと思えるマシン、インターフェース」を具現化するために、MacOSを進化させてきたのである。
近年のSONYの成功の象徴とも言えるVAIO505は、ユーザーのフェティッシュを充足するマシンであるとともに、SONYが従来得意としてきた映像・音楽機器との融合・ネットワーク戦略を打ち出した点で、Appleにとって非常に気になる存在となったことは間違いない。

今回発表されたiBookは、まさにVAIO505キラーデザインである。
軽量・薄型になり、スノーホワイトで統一されたシンプルなデザイン。強力なマシンスペック(PowerPCの500MHzというクロック速度はWindowsマシンとは比較できないので要注意。大体Pentiam1GHzぐらいに匹敵するだろうか?)。低価格(最もローエンドなマシンで158000円。ほぼiMacの価格に比肩する。)。

ううむ、このデザインは日本人好みであることに間違いない。
加えて、最近デジタルディバイドによるリストラを恐れた親父達がVAIOを持ち始めたことから、どことなく親父臭くなったVAIOにイヤンな感情を抱いていた女性層の圧倒的な支持を集めることは間違いない。普段Wordと一太郎とExcelとソリテアしか使わない親父が「ええっ今時Macだって?あれって遅いよ。この間出たG4が700めがへるずだけど、俺のマシンは1ぎがへるずだよ。うちの情報システム部だってMacは駄目だって言ってるし・・・ほら、それにフロッピー使えないし、メールだって文字が化けるんだってさ・・・」なんて、したり顔で講釈するのに辟易していた女性達が次々とスリムホワイトを持ち始めるのである。文句を言おうとするWindows親父の前で、彼女達は嫣然と微笑む。

「これはパーソナルなマシンなんです。」

WindowsかMacか、と言ったような二者択一の思考自体がもう時代にそぐわなくなっている。
Linuxは着実に浸透しているし、Mac自体その最新のOS、MacOSXはUNIXベースになっている。また企業内部であってでさえ、多様なOSの混在を求められているのである。
あれか、これかという二者択一の思考ではなく、一応のオペレーションを試行してみた上で、臨機応変にOSやハードウェア、アプリケーションを扱える人間が求められているのである。(これはパソコンに限らない。企業は、パソコンを使えない人間を放逐しているのではなく、これまで通りの業務しかできないと主張する人間を放逐しているのだ。)
しかしこのことを、几帳面に「ああ、それじゃあLinuxも覚えなきゃ!BeOSもやらなきゃ!」なんてあせる事は、全く無い。
肝心なことは、今どれだけの知識を持っているかということではなくて、新しいOSなりアプリケーションを2、3週間で理解しオペレーションする吸収力が有るかどうかということである。その吸収力を養うために大切なのは、遊び心である。
このNew iBookは、遊び心を充分に満たしてくれるツールだ。おそらくこのiBook1台でできることはかなり有る。デジタルビデオカメラでも有れば、簡単に映像の編集だってできるのだ。音楽活動をしている人間には簡単にビデオクリップだって作成できるだろうし、アニメおたくを自称するマニアであれば、実写映像からアニメを起こすことだってできるに違いない。そんなクリエイティブなことまでできない、というのであれば、DVD搭載モデルでも買ってベッドサイドで好きな映画を楽しんだり、あるいはiBook自体をAudioマシンにしてしまって1日中音楽を楽しんでいてもいい。パソコンの前に行儀良く座ってさあパソコンをするぞ、というような使い方ではなく、コミュニケーションや表現の道具、あるいはAV機器のインターフェースとして割り切って使った方が、寧ろ幸福なマン・マシン・インターフェースを楽しめると思うのである。

仕事でちょっと煮詰まっていたり、何か新しいことに挑戦してみたい、という女性にはお奨めのツールだと思います。
(by もんぺーる)

(2001・5・3)



「ねえ、何か面白いSFを知らない?って聞かれた時の為に」

「新・SFハンドブック」(ハヤカワ文庫 ISBN4-15-078501-5 0)

先日、札幌市内「愛はダイヤ」書房発寒店内でのことだ。
中学生ぐらいの女の子が、女性書店員に文庫本の分類について尋ねたのだろう、女性書店員は丁寧に本の分類について説明していた。ひとしきり説明を終えた後で、女性書店員は微笑を浮かべて、「お客様がお探しの本はどのような本ですか?」と尋ねた。
女の子はきっぱりと、「面白い本を探しています。」と答えた。
女性書店員の額に縦線が入り微笑が凍りつくのを私は見てしまいましたね。
私が書店員なら、いけないオジサンになって、バタイユやアポリネール、団鬼六、千草忠夫、山口椿あたりを推薦図書として薦めるのだが・・・
人気が合って面白い本だと言われている本でも果たしてその人にとって面白いかどうかなんてわかりっこないのだ。
どちらかと言えば本好きな私だが、「ハリーポッターと賢者の石」なんて読まないし、「昔は滅茶苦茶やっていたけれど今はきっちりやっています。」なんていう女性弁護士の「苦労しました本」なんて絶対に読まない。「昔は滅茶苦茶やっていたけれど今はきっちりやっている弁護士」の話よりは、「昔はきっちりとした主婦だったけれど、今は「サクラ3」にはまって滅茶苦茶な生活をしている主婦」という方が余程面白い。
結局、人に聞く以上に自分で探さなければならないのだ、自分にとっての面白い本を。
そうは言っても確かに道標なりコンパスが無ければ、迷うのは必至で、未知のフィールドに飛び込むには準備というのも必要である。
この「新・SFハンドブック」に選ばれているSF小説は多少の好き嫌いは別にしても、読んで損のないレベルの本が多数紹介されている。
私が夜が明けるのを気にしながら一気に読み切った本も数多く紹介されているので、思わず、うんうん、そうだそうだ、とにんまりうなづいていたのである。そして、読んでいない本でわくわくする書評を見つけると、むらむらと本探し意欲が湧くのである。そして、今日もおそらく「愛はダイヤ」書房やBOOKOFFに狩りにでるのだ・・・
面白本探しというのは、こんな風です。わかりましたか?「愛はダイヤ」書房で面白い本を探していた女の子へ。
(by もんぺーる)
(2001・5・2)



「囁きのテーゼが、ああ、乾いた心にしみるのだ」

EVANGELION -THE BIRTHDAY OF Rei AYANAMI-

どうも、囁き声というのに弱い。
シャルロット・ゲインズブールの「Lemon Incest」を最初に聴いた時に、その囁くような、か細い声が、高音域で息絶えんばかりに震えるのが何ともリアルで扇情的で、私はもういても立ってもいられなくなり、部屋の中を三周くらい周り、「わん」と吠えた。それくらいにエッチだったのだ。
今回のこのCDは、3月上旬以来の連続深夜残業休日無的な状況下を一段落した私に、私の趣味嗜好を熟知している濃爆ふみえ先生が買ってくれたものなのだが、1曲目を聴いて、ああ、もう私は溶けてしまいましたね、LCLの中に。

完全に計算しつくされた抑制された囁き声。
虚無と自意識の危うい均衡。
死への欲動。

「・・・駄目なのね、もう・・・」
と、つぶやいて私は卓の下で手巾をわなわなと握りしめてしまいましたね。目の前で歯車がぐるぐる回って、腫れ上がった鼻をお湯につけて紀伊国屋書店の洋書棚に檸檬を置きたくなるくらいの狂おしい気分でした。

殆どが再録物ですが、これはこーゆーコンセプトアルバムということで思いきり甘い点を付けましょう。「綾波育成計画」を買おうという人間にとってはそんな事はどーでもいいんだ。なんたって綾波誕生記念アルバムだからね。おめでとうって、ぱちぱちと拍手をすればみんな気持ち良く補完されるのです。

(by もんぺーる)

(2001・5・1)