ことのは の うみ
      たゆたい
       ながれ
       あがき
      いきつぐ
だれ も みぬ もの
しふく の かんのう
きりきりきりりと巻上げられた
鋼の線を張り詰めさせて
倍音の波が 呼び合い 響き合う
どんな歌だって
私は歌える
あなたの指が打ち叩く
その想いのたけを
歌いあげる
高らかな声でファンファーレを
優しく甘い声でセレナーデを
哀しみの声でレクイエムを
どんな歌だって
私は歌える
あなたが奏でるごとに
張り詰めた心を和らげながら
そしていつか調律も忘れたころ
私の声はあなたの声に重なる
 
満月がささやく
あまい眩いを呼び起こす
ざわめく血潮の叫びを軋ませながら
 
ふきあれ て
 
あめ と とも に
ながれて ゆく 
いくせん の
はなびら
 
まいちり まいあがる
あだなす は 
くれない の いかずち
ゆきがとけたから
        ねぇ、おおいそぎ
         いちにちなんて
         いってらんない
      こんなにまっていたの
         きたのくにには
           ながいふゆ
    あさのかたくななつぼみは
       おひさまにであって
いまにもこぼれおちんとひらくとき
   うめもさくらもねぼすけさん
         あとであわてて
        はっぱとでといで
あたしはいちばんのりのつつじだよ
   こぶしのはなにもまけないよ
だって、はる。