−この橋は未来への架け橋−

「あら...。もう来てたの?早いじゃない。」
『まあね。一応昨日からこっちに泊まってたし、それに...』
「えっ...?じゃあどうして連絡くれなかったのよ。」
『だってほら...。昨日は大晦日だよ。やっぱり家の人に悪いと思ってね。』
「そんなとこに気を使わなくてもいいの!せっかくあなたと...」
『えっ...何?』
「な、何でもないわよ。じゃ、行きましょう。」
『えっ...。ち、ちょっと待ってよ〜!』

『あれ...?初詣って確か諏訪神社に行くんだよね?』
「そうだけど、それがどうかしたの?」
『だってほら、こないだ行った時と道順が違う...。』
「そうかしら。この前もこの道を通ったわよ。」
『そうだったかなぁ...。結構こういうことには自信あったんだけど。』
「何よ。あたし言うことが嘘だ、って言うの?」
『そんなことないよ。晶と一緒にいる時が一番楽しい。ごめん..。』
「そ。ありがと。」

『あ...。ホントだ。神社が正面に見える。』
「だから言ったじゃない。こっちだって。」
『やっぱり地元の人にはかなわないな。それに川を挟んで橋の向こうに見える神社。このアングル、いいね。』
「でしょ?別にあなたをだまそうなんて思ってないんだから。」
『でも、お正月のせいか、なんだかカップルが多いね。』
「そ...、そう。気のせいじゃない?」
『そうだね。じゃ、行こうか。』
「ちょっと待って!」
『えっ...、何?』
「せっかくだから...、はい。」
『ホントに?晶と腕組んで歩けるなんて、正月早々長崎まで来た甲斐があったな〜』
「へ、変なこと言わないで...。ほら、早く!」
『う、うん。ありがと。』

「あのね、この橋には面白い噂があるのよ。」
『へえーっ。どんなウワサなの?』
「そうね...。もうちょっとしたら分かるかもね。」
『何それ?なんか変なの...。』
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