−カウントダウン−
『おーい。明日香ぁ!!』
「あっ、こっちこっちー!」
『ごめん...。遅くなっちゃって。』
「そうだよ。もうすぐ始まるのに...。」
『ごめんごめん。心配かけちゃって。思ってたより電車が混んでたからね。』
「そりゃあそうだよ。だって今からカウントダウンが始まるんだもん。」
『カウントダンショー、ってやつだね。こういうの初めてだから、なんか緊張しちゃうなぁ...。』
「ひゃーっ...。変わってるぅ。」
『そんなに珍しいものを見るような目で見ないでよぉ。それに、今年は明日香が一緒だったから行こうって決めたん
だから。』
「またまたぁ...。煽てたって何にも出ないよー。いや、逆に授業料を払ってもらうべきかなぁ...。」
『分かってるって。後で食事おごるよ。』
「やりぃ!じゃ、行こうよ。こんなとこにいたってつまらないから。」
『はいはい。先生、よろしくお願いします。 』
「オホン。それじゃぁ、しっかり勉強するように。なーんちゃって♪」
「ほら、もうすぐだよ。」
『うん、そうだね。何だかドキドキするね。』
「そう!それがいいんじゃない。この何ともいえない高揚感...。うーん、燃えてきちゃう。」
『なるほどね。今まではテレビでしか見たことなかったから分からなかったけど。』
「そうでしょ?こうやって大勢の人達と一緒に新しい年を祝うのって、楽しいじゃない。」
『そうだね。こういうのも悪くないね。』
「ってことは、他にお気に入りの場所かなんかあるわけ?」
『いや。場所はどこでもいいんだけど、好きな人と二人きりで過ごすのも悪くないかな...、ってね。』
「えっ...。そ、それも悪くないかもね!」
(それじゃぁ、もうすぐ今年も終わるよ。今からカウントダウン、スタート!)
(...5...4...3...2...1...、A Happy New Year〜〜っ!!)
「あけましておめでとう。今年もよろしくね!」
『うん、おめでとう。こっちこそよろしく。でも、やっぱこうやって改まって言うとなんか恥ずかしいなぁ。』
「まあいいじゃない。...あっ、花火が上がってる!ほら、もっと近くまで見に行こうよ!」
『うん。あっ...明日香、待ってよー』
「だって、早く行かないと終わっちゃうもん。ほら、は・や・く!」
『わ、分かったから、そんなに手を引っ張らないで。』
「ふーっ...。面白かったー。」
『そうだね。でもさ、小さい頃から思ってたんだけど、たった1秒の違いで年が変わって「おめでとう」って、変だと思
わない?自分の中身は全然変ってないし、何が終わったわけでもないのに。』
「それはそうだけどさぁ...。でもいいじゃない。楽しいんだから。」
『そう...だね。ま、もともとあんまり深く考えることじゃないんだろうけど。』
「そうそう。でも、私のカウントダウンはこれからだもんな...。」
『えっ...?』
「う、ううん。何でもない...。それじゃあ、初詣にでも行こうよ!」
『うん、そうだね。』
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