−この雪に願いを...−
『おめでとう、ほのか。』
「うん。あけましておめでとう。」
『いやー、やっぱりこっちは寒いね。』
「そうかな?今年は暖かいほうだと思うけどなぁ。」
『こんなに雪が積もってるのに?どう違うのかボクには分からないなぁ。』
「もう...。ホントに寒がりなんだから。」
『ゴメンゴメン。でも、こうして見るとこの銀世界も悪くないね。』
「えっ...。どうしてそう思うの?」
『だってほら、ボクの住んでるとこなんか雪は降らないし、周りはみんな灰色だし、別の意味で寒いかな。』
「うーん。そう考えると確かにきれいかもしれないけど、いいことばっかりじゃないんだよ。」
『それはそうだろうけど、ほら、何ていうか...。気分的な問題だよ。』
「そうだけど、住んでる私たちにとっては結構不便なのよ。もう慣れちゃったけど。」
『そうだろうね。でも、寒がりのボクはやっぱり住めないかな。』
「うふっ。そうかもね。」
「ねえ、これからどうする?」
『そうだなぁ...。ほのかに任せるよ。』
「ホント...?どこでもいいの?」
『とりあえずは、ね。』
「じゃ、せっかくだからちょっと付き合ってもらおうかな。」
『もちろん。ほのかと一緒だったらどこでも行くよ。』
「そんなことばっかり言わないの。でもその言葉、後で取り消さないでね。」
『えっ...?それって...。』
「もうダメだよ。さっ、行こう!」
『ち、ちょっと待ってよ〜...。』
「ここだよ。」
『へえ...。大通り公園の中にこんな所があるなんて知らなかった。』
「でも冬の間だけだよ。だからとっても人が多いんだけど。」
『だろうね。格好のデートスポットみたいだね。』
「うん。そうみたいだね。」
『ひょっとしたら、このために雪は降るのかもしれないね。』
「違うよ。」
『えっ...?』
「ううん、何でもない。でも何のために雪は降るんだろうね。」
『そうだなぁ...。幸せなカップルのためかな?』
「もう。またそんなことばっかり言って...。」
『ごめん。じゃあ、ほのかはどう思う?』
「そうね。きっとあなたのため、かな?」
『えっ...。寒いのが苦手なボクのため?』
「そう...。たぶんね。」
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