−桜並木の下で−
ふと見上げた桜並木は
いつしか春の訪れを告げていた
静かに春風が耳元を駆け抜けてゆくたびに
何かに誘われるようにひらひらと
そしてとてもゆっくりと
私の手のひらの上にささやかな春を届けてくれる
ずっと昔に誰かがまいた種が
遙かなる時のはざまに揺られながら
今こうして立派に春を届けてくれる
でもずっと前にあのひとが
まいていったあの種は
いつになったら花を咲かせてくれるんだろう?
そして私も
今年の春一つの種をまいた
でもそれはとても小さくて
とても弱い私だけの種
そしてもうすぐ春の訪れとともにきっと芽を出してくれると
そう信じている
そしてきっと来年の春には
私にだけ
春を届けてくれると信じている
〜Image Artworksより〜
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