−それは誰のせい?−

「あけましておめでとうございます。」
『おめでとう、若菜。』
「昨年は大変お世話になりました。今年も...。」
『待った!』
「えっ?」
『そういう堅苦しい挨拶はなし。それに若菜ももう言い飽きたでしょ?』
「はい、そうですね。でも、昔からお爺様ににそうしつけられてきたものですから...。」
『うーん...。確かに癖みたいなところあるよね。若菜は。』
「す、すいません...。」
『い、いや...。別にそんなつもりで言ったんじゃないんだ。ただ、もうお互い知らない仲じゃないんだから。ねっ
?』
「はい。そうですね。では、今年もよろしく。」
『うん。よろしくね。』

『ところでさ、この料理全部若菜が作ったの?』
「はい。そうですけど...。まさか、なにか変なお味でもしました!?」
『いや、そうじゃないんだけど...。』
「良かった...。でも、それが何か?」
『うん。これだけ作るの大変だったろうなぁ...、って思って。』
「いいえ、そんなことはありません。」
『そう。それは良かった。』
「はい。それに私お料理作るの大好きですから。」

「あの...。」
『何?』
「ちょっとだけ...。ちょっとだけ試してみません?」
『えっ...。何を?』
「はい。これです。」
『それって...。お酒!?』
「ふふっ。正しく言えばそうですけど、お屠蘇です。」
『あ、そっか...。でも、どうして?』
「はい。家は来客が多いものですから、いつでも切らさないようにたくさん用意してるんです。」
『でも、お祖父さんにしかられるんじゃない?』
「いえ、それは大丈夫です。」
『どうして?』
「はい。だって、お爺様は私を怒れないほど飲んでらっしゃいますから。」
『なるほど。すでに上機嫌なんだね。』

『ふーっ...。お酒なんて初めて飲んだよ。』
「私もです。」
『でもなんだかちょっといい気分。』
「はい、そうですね。」
『でも今日の着物もよく似合ってるよ。さすが若菜、何を着てもよく似合うね。』
「えっ...、いえ...。そんなことはありません。」
『ホントだって。とっても綺麗だよ。』
「いえ...。あの...。」
『あっ!...顔が赤くなってる。カワイイな〜』
「もうっ...。からかわないでください。」
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