悲しき別れ:夏穂編
夏穂、いいかげんに降りておいで
・・・・・・・・・・
せっかく、恭子ちゃんが遊びに来てくれたのに
今、誰にも会いたくない
ふう、恭子ちゃん、なんか夏穂のやつ最近おかしいんよ
なんかあったんですか?
さあ?
あまり話したがらないから
それにあの男の子も来なくなってしまったし
もしかして?
お婆ちゃん、もしかして、夏穂・・・・
上がりますね
恭子ちゃん、夏穂をお願いね
(まさか振られたのかなんて聞けないし・・・・なんて言えば)
・・・・・・・・・・・とんとん・・・・・・・・・・
夏穂、私、恭子だよ
ちょっとここを開けてくれるかな?
・・・・・・・・
夏穂、久しぶりに会いに来た親友と会わないで追い返すわけないよね?
・・・・・・・・・・
夏穂、いい加減にしないとい怒るよ
あんたが何を落ち込んでるのか知らないけど
私ら親友じゃなかったの?
何でも話そうねって言ったの嘘だったの?
お互いに辛い事も嬉しい事も話そうねって約束嘘だったの?
・・・・・・・・・・嘘じゃないけど・・・・・今、誰にも会いたくないの
・・・・・・・夏穂・・・・・・
なあ、少しでいいからここを開けてくれないかな?
久しぶりに夏穂の顔を見に来たんだよ
なっ、お願いだから
・・・・がちゃ・・・・
・・・・・・・・・・恭子・・・・・・・・
夏穂、ありがとう
中に入るよ
・・・・・・ぐすっ、ぐすっ・・・・・
あ〜あ、夏穂、そんなに目を腫らして
いったいどのくらい泣いてたの
そんな夏穂の姿、初めて見たよ
・・・・わ、私だって泣く事ぐらいあるよ・・・・
そうね、それで泣き虫の夏穂さんは、何があったのかな?
お姉さんに話してみない?
誰がお姉さんよ
ふふ、少し笑ったね
・・・・・・恭子・・・・・
ねっ、一人で落ち込んでないで話してみない?
少しは、すっきりするかもよ
それとも私じゃ頼りないかな?
・・・・・ぶんぶん・・・・・
そう、じゃあ、話してくれるよね
・・・・・・・・・・・・
私、彼に・・・・あの人に振られ・・・・・た・・・の
・・・・・・・・
(やっぱり・・・・そうだと思ったけど・・・・)
他に好きな人が出来たから会えないって
・・・・・・・・それで
それで、夏穂は、どうしたの?
それで、彼に・・・・・
あなたの事が好きだった女の子が居た事を偶には思い出してねって
ふ〜ん、じゃあ、しょうがないじゃない
どうして
だって、夏穂、諦めちゃったんじゃない
その彼に偶には思い出してねって事は、もう、諦めますって事でしょ?
・・・・・・・
本当に好きだったんならそんな事言えないと思うよ
私だったらなんで私じゃ駄目なのか聞くけど
だって・・・・彼にそう言われたから・・・・
言われたから諦めますって?
そんなの本当に彼の事が好きじゃなかったんだよ
言われたぐらいで諦めるなんて本当にその彼の事がす・・・き・・・・
・・・・・・ばちぃ〜〜ん・・・・・・・
そ、そんな風に言わないで
私は・・・私は・・・・彼が本当に好きなの
それをそれを・・・・・・・なんでそんな風に言うの
・・・・・・夏穂・・・・・・
ならなんで諦めるの
諦めてない
諦めてる
こんなとこでイジケてないで彼にもう一度会いに行けばいいじゃないの
行かないって事は、諦めてる証拠でしょうが
・・・・・・・・ぱ〜〜ん・・・・・・・・
恭子の恭子のどあほ
あんたなんかに・・・・・・あんたなんかに私の気持ちが分かるもんか
はん、分からないわね
こんな所でイジケて泣いてばかりいるあんたの気持ちなんて
私の知ってる夏穂なら今頃その彼の元に会いに行ってるはずだからね
私の知ってる夏穂ならこんな事ぐらいでいつまでも泣いてなんかいない
・・・・恭子・・・・
なあ、夏穂、あんたが辛いのは分かるつもりよ
でもね、いつまでも泣いてたってしょうがないでしょ?
本当にまだ、好きなら今よりももっと良い女になって彼に後悔させるぐらいになったらいいじゃない
そうすれば、彼だって夏穂の事を惚れ直すかもしれないじゃない
恭子
ごめん、2度もぶったりして
まったくよ
この奇麗な顔が台無しじゃない
ふふ、誰の顔が奇麗なのよ
あー馬鹿にしたな夏穂
これでも高山の小野小町って呼ばれてんだから
あはは、嘘嘘
むかー信じてないな夏穂
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
じゃあ、私、帰るね
泊まってけばいいのに
うん、でも、お父ちゃん一人だし
夏穂が元気出してくれたからそれでいいよ
その代わり、今度家に遊びにおいでよ
うん、必ず行くよ
じゃあ、ばいばい
ばいばい、恭子
ごめんね、そして、ありがとう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
終わり
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