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(01.02.19)

 





「れいのうりょくしゃって? - 12.除霊」を参照 



 
 除霊は大変難しい技です。なぜなら、人間の中に入っている霊魂を見る事が難しいからなのです。

 たとえば、こうです。ある霊魂が人の体の中に完全に入ったとします。そして、その霊魂は顔もあれば胴体もあるのでしょうから、顔は顔、胴体は胴体に入っているとします。その時、果たして、霊能力者はその霊魂の顔が分かるでしょうか。

 つまり、仮にあなたが体を持たない、空気のような意識だけの存在ならば、相手がどんな人間でも、そして、たとえ頭の中にでも侵入することができるかもしれません。ところが、あなたは体を持っています。ですから、他の人の体の中に入る事は本来できません。

 同じように、あなたが仮に死んで空気のような存在になったのであればともかく、今と同じような顔を持っていたとすれば、おそらく、人間の体に入るのは容易ではないでしょう。


 それでも、テクニックを駆使して何とか人間の体に入り込んだとします。その人の体はあなたの体と基本的には同じ形をしていますが、身長も違えば体格も違います。ですから、なかなか完全にはダブれません。それでも幽体は肉体とはかなり性質が違います。そのため、何とか重なる事ができたとします。

 目の位置に目があり、口の位置に口があります。他人の顔と重なったために、あなた本来の顔とは少し違っているかもしれません。いやむしろ、顔はその人間そっくりかもしれません。


 さて、霊能力者は人間に入った「あなた」という霊魂の元々の顔を、正しく見る事ができるでしょうか。

 ましてや、江戸時代の格好をした霊魂とか、平安時代の僧侶とか、言い当てる事が可能でしょうか。

 あなたはそうした事を言って相談者を感心させている霊能力者を見て、お腹の底から笑っていることでしょう。

 そんな霊能力者がいくら気合いを掛けても、九字を切っても、あなたはビクリともしません。いえ、それ以前に、出たくても出られないのです。簡単には他の人の体には重なれませんでした。ということは、今度は、それを元に戻す事も大変なことなのです。

 あなたは他人の体から出て霊能力者を驚かせてやろうと考えました。ところが簡単には行きません。困ったあなたは、仕方がないので、そのままにしていました。

 そうこうしているうちに、無事、除霊が終了しました。あなたは、むしろ自分を出してくれる霊能力者を探したいくらいだ、と言って笑うのでした。そして、数日後、やっと、自力で脱出できたのです。


 

 これはあくまでも仮定の話です。霊魂の憑依はかなり複雑なもののようです。また、いろいろなケースがあることでしょう。どの場合も、霊魂の正体を見抜く事は霊能力者といえども簡単ではない、という事をお伝えしたいと思います。

 実際、除霊という技法は単純ではありません。人間の力でどうにかなると思ったらほとんど失敗します。あくまでも、人間を上回る高貴な霊魂方に協力してもらう、という考えが大切なようです。

 霊魂を軽く見てはいけません。中には霊能力者に復讐する為に、わざわざ邪悪な霊魂を呼んでくる霊魂さえいるそうです。それで勝てなければ、今度はそれ以上にもっと強力な霊魂を連れてくるかもしれません。もちろん、その種の霊魂はいかなる説得にも耳を貸しません。地上の暴力団よりも邪悪な霊魂も大勢いるのです。人間の言葉など聞いてくれるものではありません。

 こうした霊魂を相手にして除霊とか浄霊とかしようとする方々は、本当に尊敬するに値します。普通の人では到底できないことです。

 ただし、そうした恐ろしい思いをしなくても除霊を成功させる事は可能です。それは、除霊をする人に協力する霊魂が、半端でなく強力だと相手に思わせることができれば良い、のです。

 人間はどんなに高度な霊能力者であっても、限界があります。人間である以上、肉体を持っています。そのために、食事も要りますし、入浴もします。二十四時間ずっと、霊魂と戦ってなどいられないのです。

 結局、恐ろしい霊魂に勝つには、彼らにとって、更に恐ろしい霊魂が控えている、と思わせるしかないのです。そうなれば、必ず勝てるのです。

 除霊は甘くありません。ちょっと霊が見えるといった程度の人が手を出す技術ではありません。

 それは、霊的な修行を充分に行ない、霊魂にある程度まで対抗し得る霊的な身体を造り、更に、邪悪な霊魂達が恐れるような高貴な霊魂を味方に付けなければ、決してできない高度な技なのです。

 もちろん、神伝の法の一定の段階の実習者ならば、それが可能であることは言うまでもありません。


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