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私 |
人類は環境破壊や核戦争の危機を乗り越え、何とか生き残らなければと思うのですが、どう思われますか。 |
霊魂 |
私はその考えに反対です。 |
私 |
なぜですか。 |
霊魂 |
人間達は自分の事だけしか考えていません。これまでの長い歴史において、環境を破壊してきたのは人間です。その上、巨大な爆弾で人間ばかりではなく大勢の動植物を殺しています。人間が地上に生きていても人間以外の生物には何の利益もありません。 |
私 |
確かにそうでしょう。ですが、人間もこれまでの事を反省し、今後は環境や他の動物との共存を考えています。これまでは、そうした事を自覚していなかったという面があります。 |
霊魂 |
では、聞きます。ある人が誰かを差別したり、奴隷を使ったり、人をピストルで撃ったり、あるいは、誰かの赤ちゃんを崖から突き落としたとします。それでも、その人はそけが悪い事であるという自覚がなかったとしたら、それまでに行なってきた事は許されるべきだと思いますか。奴隷を使い得るような地位や身分のある王様のような人なら、他の人にはできないような乱暴な事も出来ることでしょう。 |
私 |
これまで人類は多数の罪を犯していると思います。それでも、それは人類全体としてのことです。今、生きている各個人に責任はあるのでしょうか。 |
霊魂
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あります。地上では国家と個人は別でしょうし、過去の人物の責任など取る必要はないのでしょう。ですが、霊魂から見るとそうはいかないのです。 |
私 |
たとえばどのような事でしょうか? |
霊魂 |
たとえば、動物を食べています。動物であれ植物であれ、食べられたい訳ではありません。それなのに、狭い場所に押し込められて、運動もろくにさせてもらえず、時期がきたら殺されて食べられます。こんな事が許されるはずがありません。 |
私 |
ですが、人間は食べないと生きられません。動物性の蛋白も必要です。仮に、動物は食べないとしても、とにかく、植物は食べないと生きる事は出来ません。 |
霊魂
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そこなのです。地上の人間は何か食べなければ生きられません。生まれたからには食べるしかないのでしょう。 |
私 |
では、人類の過去の罪とは無関係なのでは、という私の問いの答えはどうなのですか。 |
霊魂 |
人類は過去の人間達の罪の上に社会を築いています。ですが、それは、今、霊魂となっている私達の犯した罪でもあるのです。ですから、私達は地上の人達が心配なのです。 |
私 |
それでは、人間は皆、キリスト教が言うように罪人なのですか。 |
霊魂 |
そうです。仮に、戦争や人種差別、個人的な殺人や暴力、それら全てが何一つ悪い事ではなく善い事であると考えるのであれば、人間は罪人ではないかもしれません。 |
私 |
キリスト教の言う罪は“原罪”という神話の世界の話なので、少し意味が違いますが、いずれにしても、人間は自分達の犯している罪に気付こうともしていない訳ですから、消滅した方がよいという事ですね。 |
霊魂 |
私はそう考えています。皆、新しい出産さえ防げば善いのですから、簡単な事です。その結果、他の生命体を過剰に殺さなくても済むのです。その上、死後の世界は食べなくても済むのです。まさに理想の世界です。 |
私 |
他の霊魂の方々も同じご意見ですか。 |
霊魂 |
いいえ、とんでもありません。いろいろな考えの霊魂がいます。それに、私はいわゆる高級霊魂ではありません。 |
私 |
そうですか、安心しました。 |