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三菱 ランサー セレステ

 

こんなクルマ、みんな知らんのとちゃうか。2台くらいしか売れへんかったんちゃうかこれ。
それでもワシの兄貴が18歳で初めて買った新車で、ワシも好きだった。
当時のワシは小学6年生だったんで、セレステがええか悪いかわからんかったけど、
とにかく「ええなあ、クルマって!」っちゅうような、単純にクルマに対しての
憧れみたいなものはあった。そして、これに乗せてもらっていろんなところに
行った思い出がある。フロントを全く違うモンに変えていたので、伊勢神宮に
行った時なんかは、修学旅行の学生に「うおおおおおおおお!!!!」と
言われたものである。「なーんや。スーパーカーかと思ったのに」とまで
言われたからな。「なーんや」とはなんやねんっちゅう話やけども。

 

このクルマは兄貴がホンマに大事にしてて、いつ見てもピッカピカだった。
そらもう、おじいちゃんがハゲ頭をタマゴで磨いてる以上にピカピカだった。
雨が降って、翌日見てもピッカピカになってたくらいである。
どこで洗ってん!いうくらいいつもピカピカだった。
ピカピカピカピカ、言い過ぎた!
兄貴は自分の部屋ではなく、なんか作業のついでにクルマの中で寝るくらい
アホみたいにクルマが好きだったのである。

 

このクルマが酔っ払いに追突された時のエピソードだが、
運転席以外はグシャグシャに潰れて、兄貴自身も挟まれてドアもひしゃげて
出れない状態だったらしい。その時、兄貴がとった行動は!

 

なんと靴を脱いで、ドアの内側を蹴り開けたのである。
普通、靴なんか履いたまんま蹴るだろうが、それが出来んかったらしい。
救急車が来て、タンカで運ばれていった時に兄貴がチカラを振り絞って
振り返ってみたその時に、セレステはなんとそれまでなんともなかったのに
兄貴を呼ぶようにライトが点灯して、クラクションが急に鳴り出したらしい。

 

鳴り止まないクラクションを背に、涙が出たらしい。
イッてもうとるなあ、兄貴よ。

 

兄貴はそれを単なる偶然とは思えず、それ以来「クルマは生きとる」と
信じている。日頃可愛がっていたから助けてくれたんや、と信じてるらしい。
まあ、わからんでもないけどね。ただの鉄のカタマリです。本当は。
この事故で、昭和51年排ガス規制後のセレステの新車を加害者に
買ってもらったが、「前の彼女の影を追っかけてるようだ」みたいな理由で
以前ほど好きにはなれんかったみたいである。ワシもなんとなくそれに
似たような気持ちになったことを覚えている。

 

 

セレステはそんなにカッコええクルマでもないし、スポーツカーの部類でもないけど
2ドアやし、そこそこ良かったけども人気はイマイチだった。
しかしワシら兄弟には非常に思い出深い、大好きなクルマのひとつであった。

 

 


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