
フェアレディZ
フェアレディZとの出会いは、実はそんなに衝撃的ではなかった。
クルマと言えばハコスカや510ブルーバードのように箱型が基本だと
思っていたので、初めてあのビロロローンと伸びたノーズを見た時は
「なんじゃありゃ」くらいにしか思わなかったのである。
ところがワシの兄貴がZを買った。2シーターで、ZG仕様である。
2シーターというのは2座席という意味だ。ZGというのは、まあL24型という
特別なエンジンで武装したフェアレディZの中のレーシングタイプとでも言おうか、
そういったスペックを誇るマシンである。(普通のZは日産のシンボルでもある
L型という頑強なエンジンが搭載されていた)ZGの外観は、普通のZよりも
ノーズが尖がってて長く、オーバーフェンダーまで付いててヤル気満々な形を
していたのだが、ワシの兄貴はそのZGと同じ外観の仕様にしていたのである。
エンジンは3.1リッターのフルチューンだったので、ZGよりも速い。
かいつまんで言うと、2800�tのエンジンに積み換えて、それを3100�tにして
あらゆるところを改造した、ということである。
なんて女性に優しい説明文やろ。
ワシはコレに乗せてもらってから、「スポーツカー命」となってしまったのである。
シートバックに押し付けられたワシの背中は、夜中にコワイ夢を見て金縛りに
あった時のように全く動かず、その加速感に強烈な恐怖すら感じてしまった。
それでいっぺんにクルマに対する考え方が変わってしまったのだ。
もう、ものすごいカッコええ。それだけである。あとの理由はない。
兄貴は、ワシが言うのもなんだがワシよりも5000倍ほど男前で、実際モテてた。
いつも家に連れてくる彼女たちは、見た瞬間に正座して「こ、こ、こんにちは!」と
言うてしまうほどカワイイ彼女ばっかりであった。そんな兄貴がコバルトブルーのフェアレディに
乗り込み、ほとんど喋らず(ワシと違ってクールなのだ)、豪快なホイルスピンをさせて
疾走していく姿が、ワシの脳裏にこびりついてしまったのである。
そういった理由で、ワシのZに対する思いは特別なものであった。
もしかしたらワシも兄貴みたいにZに乗ったら、メチャメチャカワイイ彼女が出来るんちゃうんか?と
100パーセント不純な動機で購入意欲がメラメラと湧いてきたのもここで白状しておこう。
っちゅうワケでそれから数年後、ワシはその兄貴の乗っていたフェアレディZ(S30)よりも
ひとつ新しいS130型のZを購入することになったのである。当然2シーターだ。
これはS30型と比較すれば、ちょいカッコ悪いと思ったが、大筋では間違っていない路線の
クルマだったので(まあ、ほとんど似てるということだ)購入に踏み切ったのである。
誤算だったのは、メチャメチャカワイイ彼女が出来なかったことであるが、それはもうクルマよりも
本人の資質ということに気付いたので、ワシもサバサバしたものである。
この後もいろんなクルマに乗ったが、スポーツカー以外に乗ると5秒で飽きた。
まあ、仕方なくスポーツカー以外をチョイスしなければならんことも(金銭的に)あったが、
結局ワシはスポーツカーに戻ってくるのである。
そう!ワシにとってスポーツカーとは、港のようなものである!もう完全にマドラス気分だ。
今度からはクルマにギター積んでおこうと思う。
このS130Zのあとにも、Z31というのに乗ったが、これもまた素晴らしいZであった。
まあ、エンジンがL型と違って3000�tのターボやったから、そのテイストは全然異質なもんやったけど
基本的にZはZであった。もちろん2シーターである。Zには2by2という4座席のものもあったが、
それはルーフからテールにつながる、デザインの命ともいうべき直線的デザインが損なわれてた。
2シーターは実用性がないので仕方なく2by2を選んでた方もいるだろうし、それは否定しないし
好みの問題でもあるが、ワシはその部分だけは絶対に譲れないこだわりがあったのである。
まあ、今でもそうだ。だってスポーツカーって見た目が一番大事やもん。
藤原紀香や矢田亜希子に鼻や口やスタイルが似てても、腫れぼったいヒトエ瞼なら全てがパーだ。
それと同じである。
女の子はカワイイほうが得であるのと同じように、クルマはカッコええほうがよろしい。
その最たるものがフェアレデイZなのであったと、ワシは思う。
これが結論である。
ちなみにZ32は、ちょっと下品になり、新型Z33は上品になりすぎた感があるがいかがだろうか?
っちゅうかな、新型Zは「フェアレディ」というブランドで買ってる人が多い気がするわ。
あれ、全然ちゃう名前やったら今よりもっと売れへんのちゃうんかなあ?
Zの中ではS30型が最高に美しいと、ワシは思う。
